食品安全情報blog過去記事

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飼料と食品中のエルカ酸

Erucic acid in feed and food
EFSA Journal 2016;14(11):4593 [173 pp.]. 9 November 2016
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4593
エルカ酸は脂肪酸cis-13-ドコセン酸の慣用名で、主にアブラナ科種のタネ(例えばナタネやマスタードシード)に高濃度に存在する。欧州委員会はEFSAに飼料と食品中のエルカ酸の存在に関する動物とヒトの健康リスクについての科学的意見を述べるよう求めた。ほとんどの人にとってエルカ酸の食事暴露の主要因は「ファインベーカリー製品」であった。乳児では主な暴露源が「幼児と小さな子供用食品」にあった。心臓が暴露後の毒性影響の主な標的臓器である。心筋リピドーシスがエルカ酸の慢性暴露の最も重大な影響として確認されている。この効果は長期暴露による可逆性の一時的なものである。若いラットと生まれたばかりの豚のリピドーシスの無毒性量0.7 g/kg bw/日を基にして、エルカ酸の許容一日摂取量(TDI) 7 mg/kg体重(bw) /日が設定された。様々な人口集団の平均慢性暴露はTDIを超えなかった。95パーセンタイル食事暴露量は、1.3 〜7.4 mg/kg bw/日の範囲で、乳児と他の子供たちで最も高かった;これはTDIよりも高い。これは幼い人にはエルカ酸高暴露リスクがあることを示す。豚ではエルカ酸量は健康上の懸念を示しそうもない。だが、家禽では最小毒性量(LOAEL)と暴露推定のマージンは小さく、最大含有率を適用すると健康リスクとなる恐れがある。十分なデータがないため反芻動物、馬、魚、ウサギのリスクは評価できなかった。