食品安全情報blog過去記事

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論文

Foodborne Disease Outbreaks Associated with Organic Foods in the United States
Harvey, R. Reid et al.,
Journal of Food Protection®, Number 11, November 2016, pp. 1828-2017, pp. 1953-1958(6)
http://www.ingentaconnect.com/content/iafp/jfp/2016/00000079/00000011/art00018
オーガニック基準は食品安全に関するものではないにもかかわらず、消費者はしばしばオーガニックをより安全だとみなす。1992年から2014年の間にCDCに報告されたアウトブレイク情報から、オーガニック食品が原因のアウトブレイク18件を同定した。患者779人入院258人死亡3人である。83%はUSDAによる有機認証製品である。食中毒統計は栽培方法については調べていないので慣行栽培との比較はできないが、オーガニックだろうと慣行栽培だろうと消費者は食品の安全性には注意する必要がある。生で食べることにはリスクがある。

Aspartame may prevent, not promote, weight loss by blocking intestinal enzyme's activity
22-Nov-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-11/mgh-amp112216.php
Applied Physiology, Nutrition and Metabolismにオンライン発表された研究。アスパルテームの分解産物であるフェニルアラニンが腸アルカリホスファターゼを阻害する。飲料水でアスパルテームを投与されたマウスは体重が増えメタボリック症候群の症状がアスパルテームを与えられないマウスより多かった
(これかな
Inhibition of the gut enzyme intestinal alkaline phosphatase may explain how aspartame promotes glucose intolerance and obesity in mice
http://www.nrcresearchpress.com/doi/abs/10.1139/apnm-2016-0346#.WDaNstP_paQ
要約からは濃度、実験条件よくわからない。高脂肪食との組み合わせ)

  • 米国の子どもの食事の質は低いが着実に改善している

Diet quality low but steadily improving among US kids
23-Nov-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-11/bu-dql111816.php
American Journal of Clinical Nutritionに発表された1999年から2012年の38000人以上のデータを調べた研究。100ポイントの健康的食生活指数(HEI-2010)で平均が42.5から50.9に改善した。

Current evidence does not support vitamin D supplements to prevent disease
23-Nov-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-11/b-ced112216.php
BMJビタミンD欠乏リスクの高い人には日光浴と食事と低用量のサプリメントは薦められるが、それ以外のヒトには健康的な食事と定期的に短時間陽にあたることを薦めるべき。
心疾患や脳卒中、がんなどの病気を予防するのにビタミンDサプリメントが有用だという質の高い研究はない

  • 飽和脂肪の大量摂取は心疾患リスクの増加と関連

Consuming high amounts of saturated fats linked to increased heart disease risk
23-Nov-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-11/htcs-cha112216.php
BMJに11月23日オンライン発表。Nurses' Health Studyの73147人の女性のデータとHealth Professionals Follow-up Studyの42635人の男性のデータを用い、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸の摂取量の多さが冠動脈心疾患相対リスクの24%増加と関連することを発見した。

エディトリアル
Saturated fat and heart disease
BMJ 2016;355:i6257
http://www.bmj.com/content/355/bmj.i6257
食生活全体のパターンに新たに焦点をあわせることが混乱の一部を解消するだろう
最近のメタ解析やコメントやベストセラー本が飽和脂肪を悪者扱いするのは終わりだというがその根拠は限定的である。今号のBMJには新しい解析で長鎖飽和脂肪酸の摂取量が5%多いことと冠動脈心疾患リスクが25%増加することに関連があると報告した。この結果はこれまでの。Nurses' Health Studyの報告と一緒である。一方オランダでは最近飽和脂肪由来エネルギーが5%増えることと虚血性心疾患リスクの17%の低下が関連した。何が原因で矛盾するのだろう?(略)
最初に、コホート研究の結果の解釈には常に注意が必要である。現在のツールで食事由来の脂肪の5%の差を真に捕まえるのは無理だろう。食事を与える試験は難しく費用がかかる。ガイドライン作成者は両方の根拠をみて、デザインが違っていても一貫性があるなら確からしいだろう。
二つ目に、食生活の文脈を無視して単一の栄養素について助言をするのは問題が多い。栄養素の研究は欠乏を予防したり栄養が摂れているかどうかをみるのには必要だが、慢性疾患予防のためのバランスはもっと微妙である。例えば「長鎖飽和脂肪酸を避けましょう」という助言はガイドラインにはできない。飽和脂肪酸だけの目標を達成しても他の目標が達成できなくなるかもしれない。食事パターンのほうがより適切な情報を提供するかもしれない。栄養科学者が単一栄養素に関心があるとしてもそのことが一般の人々を混乱させて食事ガイドラインの有効性を損なってきた側面がある。