食品安全情報blog過去記事

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論文

  • マルチオミクスが超微量ラウンドアップ除草剤への慢性暴露後のラットの非アルコール性脂肪肝を明らかにする

Multiomics reveal non-alcoholic fatty liver disease in rats following chronic exposure to an ultra-low dose of Roundup herbicide
Scientific Reports 7, Article number: 39328 (2017)
Published online:09 January 2017
Robin Mesnage, George Renney, Gilles-Eric Séralini, Malcolm Ward & Michael N. Antoniou
http://www.nature.com/articles/srep39328

(またSéraliniがオミクスの吐き出す膨大な意味のないデータから無意味な「統計学的有意差」をみつける論文を出している。そして環境活動家が「natureに発表」と宣伝している。
グリホサートを4 ng/kg bw/day相当飲料水で投与した実験の一部。肝臓の遺伝子や代謝物を網羅的に解析にかけている。数百以上の項目を数ポイントで検定してP<0.05を有意と判断しているので、もともと肝臓には脂質代謝系の遺伝子やタンパク質が多く「非アルコール性脂肪肝と関連する分子」に偶然有意差がつくのは当然。
むしろオミクス研究だのバイオインフォマティクスがこんな論文ばかりだと思われる)

  • Addiction

特別号:アルコールマーケティング規制:研究から公衆衛生政策へ
Special Issue: The Regulation of Alcohol Marketing: From Research to Public Health Policy
January 2017
Volume 112, Issue Supplement S1 Pages 1–127
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/add.v112.S1/issuetoc
全てオープンアクセスでアルコールの広告・宣伝に法による規制強化を求める

Folic acid supplementation recommended for prevention of neural tube defects
10-Jan-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-01/tjnj-fas010517.php
USPSTFは妊娠を計画しているあるいは妊娠可能な全ての女性に毎日0.4-0.8mgの葉酸サプリメントを摂ることを薦める。JAMAの1月10日号。これは相当な利益があるとかなり確実に言えるA助言である。

  • 食品恐慌の新しい分類がフードチェーンの障害を予防するだろう

New categorization of food scares will prevent food chain being compromised
10-Jan-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-01/uos-nco010917.php
British Food Journalに発表されたSurrey大学の研究者らによる提案
物理的性質(化学/物理的あるいは生物学的汚染)とその原因(意図的詐欺および/または透明性や周知の問題)で分類する。また食品恐慌'food scare'の定義についても「食品サプライチェーンと食品摂取パターンを突然混乱させる、現実的あるいは想定される食品事象への反応」とする。この提言は食品事象incidentを食品恐慌scareに格上げするのは消費者の購入するかしないかの決定に関する反応にあることを考慮している。
(リアルなリスクとは関係のない噂や想像で食品流通網を混乱させることを防ぎたいのなら、無意味なマーケティングで動く消費者を増やさないほうがいいのだけれど。目先のお金儲けのためにイメージ戦略重視の業者は市場を不安定化させているという自覚があるのだろうか。)

  • 低コストの減塩政策は世界中で数百万人の命を救うだろう

Low-cost salt-reduction policy would save millions of lives worldwide
10-Jan-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-01/b-lcs010917.php
BMJ。10年かけて10%減塩する政策はほぼ全ての国で極めて費用対効果が高い。減塩目標を定めて企業と合意し、減塩の公衆教育を行うことが最良の政策。

  • 肥満対策に特効薬はない、研究が発見

No silver bullet to beating obesity, study finds
10-Jan-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-01/uoe-nsb010917.php
多くの人が祭日の贅肉を落とそうと誓う1月に、新しい研究がどんな食生活やライフスタイルのたった一つの側面だけを目標にした対策は太りやすい成人の肥満リスクを減らすのには疑問だと指摘する。そうではなく多くの要因がウエストに影響し、最も強く影響するのが貧困だとExeter大学医学部のJessica Tyrrell博士らの研究が言う。特定のものだけを標的にした、例えば炭酸飲料や揚げ物を減らす、といった対策が肥満の特効薬になることはない。International Journal of Epidemiology。

  • コカコーラのクリスマストラックツアーは禁止すべき、と公衆衛生専門家が言う

Coca-Cola's Christmas truck tour should be banned, say public health experts
10-Jan-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-01/b-cct010917.php
BMJに掲載されたイングランドのFood Activeキャンペーン会長Robin Irelandらのエディトリアル。コカコーラがクリスマスに「ハッピーホリデー」トラックで宣伝する行為を禁止すべきと主張。
(コカコーラは目立つから名指しされているが基本は砂糖入り飲料は全て廃止したいということ)

  • 米国の半分近くの成人と1/4の子どもが定期的に人工甘味料を摂取している

Close to half of adults and one quarter of kids in the US regularly consume artificial sweeteners
10-Jan-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-01/ehs-cth011017.php
2009-2012 NHANESデータを用いて解析した結果がJournal of the Academy of Nutrition and Dieteticsに発表された。成人の41%、子どもの25%が少なくとも一つの低カロリー甘味料を含むアイテムを定期的に使用している。1999-2000のデータに比べて子どもで200%、成人で54%増加している。
これまでの報告でほとんどの親は低カロリー甘味料にネガティブな態度であったが「砂糖無添加」「ライト」といったものがより健康的だと思って与えているようだ。
ネガティブキャンペーンにも関わらず使用が拡大していることに不満な様子)

  • 大気汚染と運動しないことが中国の子ども達への競合する脅威となっている

Air pollution and lack of physical activity pose competing threats to children in China
10-Jan-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-01/osu-apa011017.php
Journal of Pediatricsに発表されたオレゴン州立大学の運動学教授によるコメント。大気汚染のなかで運動することのバランスをとるのが問題。
(大気汚染を監視しながらどのレベルなら運動するかを決めるってかなりハイレベルなタスク)