食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 大きな問題への小さな対応−Michelle Dickinson

SMC NZ
Micro-response to major problem – Michelle Dickinson
January 24th, 2017.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2017/01/24/micro-response-to-major-problem-michelle-dickinson/
化粧品のマイクロビーズ禁止提案はポジティブな一歩であるが、その問題はレジ袋やボトルや食品包装の害に比べると霞む、とMichelle Dickinson博士がNZ Heraldに書いている。

  • インド広告基準評議会

Advertising Standards Council of India (ASCI)
https://ascionline.org/
食用油でがんが治るといった類の根拠のない宣伝に警告を出している
(インド政府のウェブサイトよりよほど洗練されているのはどうしてだろう)

  • 死の間際の将校はがんを重曹で治療していた

The dying officer treated for cancer with baking soda
By Dr Giles Yeo and Tristan Quinn  19 January 2017
http://www.bbc.com/news/magazine-38650739
英国で最も人気のあるフードライターのNatasha Correttが称賛したアルカリダイエットの父であるRobert O Youngは免許なしに治療を行った罪で実刑判決に直面している。彼を信じた患者の一人が英国の軍人Naima Houder-Mohammedである。主に重曹の静脈注射であるアルカリ療法に数千ドルを費やした。
2009年にキャプテンとなったNaimaは翌年乳がんと診断された。彼女は治療を受けがんんが治ったと言っていたが2012年に再発した。状態は悪く終末期医療を受けた。彼女の医療の選択肢は限られていたのでインターネットで解決法を探しアメリカの代替医療ライターRobert O Youngのメッセージに出会った。彼女は彼とメールを交わし始めたが、それは疑似科学の提唱者がどうやって弱みのある人を操作するかを明らかにするものである。
(以下メールを紹介しつつ周辺の人物等の記述
「ライター」という人種の無責任さが際だつ)

  • 福島の住人の被曝は考えられていたよりはるかに少ない

Scienceニュース
Fukushima residents exposed to far less radiation than thought
By Katherine KorneiJan. 23, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/01/fukushima-residents-exposed-far-less-radiation-thought
市民科学は通常このような個人的なものではない。2011年、東北地震津波後、約65000人の事故の起きた福島第一原子力発電所近傍住人が自分の放射線暴露量を測定しはじめた。地上から数百メートル上空を飛行機で測定する伝統的線量推定方法が実際どれだけ正確なのか、専門家ですらわからなかったからだ。今や、この種の研究としては初めて、科学者が数千人の記録を解析し驚くべき結論に達した:日本のこの地域の空間線量観察は実際の被曝量を4倍も過剰推定している。
オレゴン州立大学の核科学技術学部認証保健物理学者Kathryn Higleyは「この仕事は、物流上困難な個々の人々の暴露を実際に調べていて、極めて重要である」という。
原子力発電所事故の後に個人毎の被曝量を監視することは希である。理由の一部は単純に避難しているからである。別の理由は個人線量計の費用と取り扱いの難しさが大きすぎるからである。チェルノブイリのような場所での個人の線量計の数値を集めた僅かな研究には限界があった。ほとんどがごく少数で、多くは事故のあった場所から遥かに遠い、あるいは時間が経ちすぎている。飛行機で測定するほうがしばしば簡単で安価で早い。
しかし日本の伊達市では、事故の数ヶ月後から、福島第一原子力発電所の6つの原子炉から60kmの地元が放射線監視キャンペーンを始めた。Shoji Nishida市長は支持者の一人だった。彼は2014年のIAEAの会議で、調査の結果避難した近くの町の放射線レベルと同様であったにもかかわらず市民の避難を命令しなかったと説明した。「我々は政府に依存するのではなく、自分たちで独自の対応をすると決めた」とNishida市長は会議で述べた。彼は2011年5月に、伊達市に独自の除染作業と個人の被曝量監視を命令し、10億円の市の予算を投じた。Nishidaの命令により妊娠女性と16才以下の子どもに最初に線量計−キャンディーバーサイズのガンマ線測定装置−が渡された。ガンマ線セシウムのような放射性元素から出る高エネルギー電磁波で、DNAを傷つけがんの原因となる可能性がある。子どもや妊婦に概ね9000の線量計が配布された後、伊達市は監視プロジェクトを拡大して2012年までに約65000人の住人に線量計を配布した。住人は3ヶ月毎に解析のために線量計を返却し、少なくとも1年以上調査に参加したしたのは52000人である。
一方福島県では国の政府により6回の航空機による測定が行われた。ヘリコプターにとりつけたセンサーが土地の放射性セシウムを測定し、研究者がそれを計算式を用いて地上での予想線量に換算した。多くの人が屋内で過ごす時間の方が多いため、建物で放射線から防護されるため政府の科学者はさらにそのうち60%が実際に暴露されると仮定した。この推定は毎日8時間戸外にいて16時間屋内にいるという標準想定に基づく。
今回福島医大放射線学者Makoto Miyazakiと東京大学の物理学者Ryugo Hayanoが伊達市線量計の数千のデータとヘリコプターデータによる地上推定とを比較した。科学者らは、実際の線量はヘリコプターが測定した値の概ね15%であると結論し、先月Journal of Radiological Protectionに報告した。これは日本政府のこれまでの推定の1/4である。
研究者らは大きな違いの理由をいくつか挙げている。そのうち主なものは:「住人は毎日8時間戸外にいない」とMiyazakiはいう。彼はこの結果が他の研究者が迅速空中調査を用いて実際に被曝線量を−そして健康影響の可能性も−予測するのに役立つことを希望する。個人の線量のより正確な推定は避難した人たちが早く帰還することも可能にするだろう、とHigleyは加える。
伊達の住人にとって、予想より線量が低いのは良い知らせである。しかしこの結果は決して良いことばかりではない:一部の地域の高価で時間をかけた除染の努力−土壌の入れ替えや木の皮を剥ぐなど−が必要でなかった可能性がある。
(コメントが25日時点で41。落書きみたいのも含めて、だけど)

  • テロに関連する不安とつきあう

Coping with Terrorism-Related Anxiety
by Health After 50 | January 23, 2017
http://www.berkeleywellness.com/healthy-mind/stress/article/coping-terrorism-related-anxiety
我々のほとんどが毎日新聞を読んだり夜のニュースを見たりして世界で何がおこっているのかを知るようになったのはそんなに昔のことではない。最近では24時間ニュースやソーシャルメディアにたっぷりアクセスできる。しかしニュースを見続けることには悪影響がある、とそのため人々に不必要な不安を引き起こしている可能性があると心配する専門家は言う。
皮肉なことに、テロについてのニュースを見過ぎて情動的苦悩と平和と安心感を失うことより攻撃の犠牲者になる可能性の方が少ない
我々が恐れるべき唯一のことは…
2014年のPNASの研究でエルサレムのHebrew大学の研究者らが17000人以上の健康なイスラエル人にテロへの恐怖について尋ね11年にわたる健康チェックをした。毎年安静時心拍数を測定し、通常それは加齢と共に減少する。他の要因を調整し、テロへの長期にわたる恐怖と心拍数の増加が関連することを発見した。またテロへの恐怖は、ストレスに応答して炎症反応を予防する血中神経伝達物質の低下とも関連した。テロが怖い人はC反応性タンパク質レベルが高く心拍数が多かった。この恐怖と心拍数の早さは早期死亡リスクを上げる可能性がある
自然な反応
テロについて恐怖と不安で反応するのは自然なことである−テロは人々に恐怖をおこすのが目的だ。しかしあなたの不安が懸念すべきかどうかはどうやってわかる?一つの方法は、恐怖のせいで日頃楽しんでいる活動ができなくなっていないか自問することである。例えば、サイレンを聞いたとき最初に孫の学校が攻撃されたと思う?映画館に入ろうとして誰かがリュックを持っていて疑わしいと感じたために止めた?誰かがテロリストかもしれないと思って飛行機に乗るのをやめた?もしこれらの質問にイエスなら不安を患っている可能性がある。
コントロールを取り戻す
誰もが安全性については心配している、しかしその心配があなたの日常生活に影響するなら、一歩引いてその不安を見直す時期だろう。
シカゴ不安治療センター臨床部門長でアメリカ公衆教育委員会の不安と鬱協会共同議長Debra Kissen博士は、我々の恐怖に寄与しているのはあまりにも多くのトリガー−テレビやソーシャルメディアでの我々を不安にする画像や言葉−に暴露されていることである、という。「もしいつもニュースを見続けると、あなたの心は常に警鐘状態になる。画像を常に見ているとその出来事がますます多く起きているように感じ、見るたびにトラウマとなる。私はこのような不断の情報への暴露が不安の原因になると信じている」
Kissen博士は暴露を減らすことによる自己コントロールと自己ケアを薦める。「テレビを消して瞑想したり散歩したりする。脳の別の部分を活性化するために穏やかになったり落ち着くような活動をする」
そしてテレビの悲劇から遠ざかって楽しいことをすることに罪悪感を持たないように。
(以下略)

  • 生物社会学:生まれか遺伝か論争の澱んだ歴史

Biosocial science: The murky history of the nature and nurture debate
January 23, 2017
https://theconversation.com/biosocial-science-the-murky-history-of-the-nature-and-nurture-debate-70028
社会生物学の父E O Wilsonは1975年と1978年の本で社会的行動は生物学的影響を受けているのか、遺伝子や環境が決まっている中で真の自由はあり得るのかといった疑問を提示している。この分野は今でも議論が多い。
優生学との関連
分子生物学的用語」での社会生活 社会遺伝学“sociogenomics”
遺伝か環境か
ハードサイエンスと社会科学の混合