食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 養殖ホタテ集団は異なる遺伝的構造を発展させた

Cultivated scallops populations develop distinct genetic structure
14-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/bu-csp021417.php
北アイルランド沿岸の9つのホタテ集団を調べ、養殖ホタテは天然ホタテと異なる特有の遺伝的構造をもつことを確認した。Royal Society Open Scienceに発表。

  • 砂糖、塩、脂肪税が医療費を数十億節約できる

Sugar, salt, and fat taxes could save billions in health care costs
14-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/p-ssa020717.php
オーストラリアが不健康な食品に課税をし野菜や果物に補助金を出せば2010年に生きている全てのヒトの生涯医療費が34億豪ドル節約できる。PLOS Medicineに発表されたメルボルン大学のLinda Cobiacらの研究。

  • ポスト真実の世界で健康リスクのコミュニケーションをする

Communicating health risks in a post-truth world
14-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/si-chr021417.php
公務員は予防接種やフッ素添加のような異論の多い問題のリスクをコミュニケートする厳しい仕事に直面している−それらは実際のリスクは低いが人々の懸念は高く−彼らは配慮していて対応していることを示しメディアと戦略的に関わる必要がある。これがSax研究所がPublic Health Research & Practiceに発表した論文のメッセージである。
「「オルタナティブファクト」が増加し、人々は既存の信念を確認する情報を探す傾向があり、最早正しい方針を持っているだけでは十分ではない」と主著者のシドニー大学医学における価値観と倫理と法律センターのClaire Hooker博士は言う。
「絶対リスクが低いにもかかわらず公衆の懸念と怒りが大きい状況では、質の高い研究だけでは公衆衛生を守れない。公衆とコミュニケーションする最良のアプローチをもつことが同様に重要である。」
ポスト真実は欧米で今流行っぽいけど、日本は震災以降ずっとこういう状況。それ以前から添加物とか農薬とか「オルタナティブファクト」のほうがメディアでは主流で、私だってもう30年近くそういうのと戦ってるけど。戦況は変化するけど終わりなんか無い。何を今更、という感じはする。負けるのは絶望した時。)

  • スチレンががんをおこすという根拠は限られている

Limited evidence that styrene causes cancer
14-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/au-let021417.php
2011年に動物でがんをおこす高生産量プラスチック化合物であるスチレンがデンマークの「毒物スキャンダル」で焦点となった。しかしAarhus大学の登録研究では広範な種類のがんの増加はみつかっていない。
2011年にデンマークのメディアがスチレンについて盛んに報道したが、ガラス繊維強化プラスチック生産時にスチレンに暴露された400以上の企業の72000人以上の従業員の登録研究ではがんの増加はみつかっていない。EPIDEMIOLOGYに発表。
この「毒物スキャンダル」は2011年にデンマークの新聞Berlingske TidendeがLunderskovのLM Wind Power社のもと従業員20名の発言を取り上げたことによる。全員が重い病気で、風車を作るときに使われるスチレンのせいだと主張していた。吹き出物から呼吸器症状、記憶喪失、がんの恐怖に至るまであらゆる問題が報道され、その後政治問題になりスチレンの完全禁止まで議論された。問題は長期影響であった。2011年にアメリカがスチレンを発がん物質リストに加えている。
(2011年のRoC http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20110613#p11 日本では全然話題にならなかったと思うが。)

Study finds that melatonin content of supplements varies widely
14-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/aaos-sft021417.php
Journal of Clinical Sleep Medicineの2月15日号に発表された研究によると、ダイエタリーサプリメントメラトニン含量はラベルに表示してある量から大きく異なることが示唆された。71%以上のサプリメントが10%のマージン以内におさまらず、83%少ないものから478%多いものまで非常に大きく異なる。さらに特定の製品のロットによる違いは465%もある。カナダで販売されている31のサプリメントオンタリオのGuelphの店舗で購入して分析した結果。さらに26%のサプリメントにはより厳しい規制のあるセロトニンが相当量含まれていた。

  • 子ども達の見るジャンクフード広告を減らす企業の自主規制は失敗している

Food industry's voluntary codes failing to reduce junk food ads viewed by children
February 15 2017
http://www.smh.com.au/business/consumer-affairs/food-industrys-voluntary-codes-failing-to-reduce-junk-food-ads-viewed-by-children-20170214-gucm4c.html
Cancer Council NSWとシドニー大学の研究者らの研究で、子ども達はテレビを見ている1時間当たり平均3つの健康的でない食品の広告に暴露されていて、5年前と同じである。
Journal of Public Healthに発表。政府が規制すべきだと主張。
一方業界団体のAFGC会長Gary Dawsonはこの報告には意図的ごまかしがあると言う。