食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 農業についての広く受け入れられている見方は不正確で誤解を招くものであるかもしれない

Widely accepted vision for agriculture may be inaccurate, misleading
22-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/ps-wav022217.php
Bioscienceに2月17日発表された研究
農業は食糧生産と環境保護の両方の目的を達成しなければならないが2050年までに食糧生産を2倍にというのは違っていて25%から70%増である。農業の環境影響についての一般の認識もバランスを欠いている。

  • 消費者は「オールナチュラル」と表示された食品に喜んでお金を多く払うことを研究が発見

Study finds consumers willing to pay more for 'all-natural' labeled foods
22-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/ioft-sfc022217.php
Journal of Food Scienceに発表されたオハイオ州立大学のバーチャルリアリティ技術を用いた研究。食料品店でピーナッツバターを味見する状況をシミュレーションする。同じ製品で一方だけ表示が「オールナチュラル」とある場合と、さらに提供側が片方のオールナチュラルを強調して宣伝した場合。宣伝の結果製品の質や栄養価への期待、払ってもいいお金が増えた。
現在FDAが「ナチュラル」の定義を検討しているが、この研究は消費者を誤解させないための根拠を提供する。

The never-ending story: Chemicals that outlive -- and harm – us
22-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/gspi-tns021617.php
Environmental Science & Technologyの2月22日に発表された論文で、研究者らが高度フッ素化化合物を全部規制せよと呼びかける。撥水、防汚、くっつかないといった性質を家具やカーペットやアウトドア用品や衣料品、化粧品、調理器具、食品包装などに与えるために世界中で使われているパーおよびポリフルオロアルキル化合物(PFASs)について、いくつかの化合物は使用中止になったが類似化合物は何千とあって使われている。「水を弾く便利さは健康リスクに値するか?」とArlene Blum博士は言う。使用が中止された化合物の代わりに使われているものは似たような構造なので同じように有毒だろう、とTom Brutonは言う。
化学業界は代用品は人体に蓄積しないので安全だと主張する。
(工場から化合物が漏れたことに賠償する判決は科学的根拠にはならないし類似化合物全部禁止せよというのは乱暴では?
この人達の主張はこちら
http://greensciencepolicy.org/highly-fluorinated-chemicals/
DDTですら数十年で分解するのにPFASsは千年も残るので使うな、がんや肥満などの原因だと。なので便利なくっつかないフライパンなどは使うなと。
誇大宣伝が入っている。)

  • 収監はがんの多さと関連する、研究が発見

Incarceration linked to excess burden of cancer, new study finds
22-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/smh-ilt021717.php
監獄で過ごした人はオンタリオの一般人よりある種のがんになりやすい
PLOS ONEに発表。またがんによる死亡が50%多。男性は頭部と頸部と肝臓のがんが3倍、女性は子宮頸がんで3倍死亡しやすい。監獄で過ごす人の喫煙、飲酒、感染症が多い。収監時に禁煙禁酒感染症対策が薦められる。

Is insufficient weight gain during pregnancy associated with schizophrenia spectrum disorders in children
22-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/tjnj-iiw022017.php
JAMA Psychiatryに発表された研究によると、スウェーデンで1980年代に生まれた子ども達のデータを用いて、妊娠中に十分体重が増えなかったことが統合失調症スペクトラム疾患リスク増加と関連する。
統合失調症スペクトラム疾患の6.32%が母親の妊娠中の体重増加が極めて不適切(ベースラインが正常体重の場合8kg以下)で、病気のないひとでは4.5%である。
(8kg増とか日本人だと普通だったりする。赤ちゃんの体重も違うけれどこういうのは解釈が難しい。ただ最近DOHaD研究の成果を呪いにする人たちがいてなんだかなと思ったことがあったので。妊娠中の健康管理は大事だけれど、それが完璧でなかったからといって生まれた子が一生に渡って不幸な運命になる、みたいな言い方はしないほうがいい。日本の母親には既に呪いが多すぎる。)

  • 子どもの肥満傾向逆転−8才の少年のBMI低下

A trend reversal in childhood obesity -- a decline in the BMI in 8-year-old boys
22-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/uog-atr022217.php
スウェーデンの報告。何十年も子どもの肥満は増加してきたが、8才の少年の肥満と過体重のパーセンテージが1990年代初期以降で最低になった。International Journal of Obesity.

  • 韓国では寿命は90になるだろう

Nature
Life expectancy set to hit 90 in South Korea
Nisha Gaind 22 February 2017
http://www.nature.com/news/life-expectancy-set-to-hit-90-in-south-korea-1.21535
2030年には韓国の女性は91才まで生きると予想される、と統計解析が言う
The Lancetの研究によると韓国が最も寿命の長い国になるだろう。Imperial College Londonの公衆衛生研究者Majid Ezzatiらが2030年までに35の先進国の寿命がどう変わるかをWHOのデータと21の統計モデルセットを使って予想した。寿命は35全ての国で延びると予想される。しかし最も長生きするのは韓国女性で、2030年に平均寿命が90才を超える確率は約60%であると研究チームは計算した。2030年に韓国で生まれた女性は91才、男性は84才まで生きると予想され、どちらも世界一となる。
韓国の寿命の急速な伸びは−1985年には女性で29番目だった−経済状態の改善と子どもの栄養向上によるだろうと研究は言う。韓国はほぼ全ての国民が平等に医療を受けられ、西洋諸国より血圧が低く女性の喫煙率が低い。しかし寿命が延びると医療システムと年金が負担となり退職年齢が上がるだろう。
この研究の驚きの一つは米国の成績の悪さである。既に他の先進国に遅れをとっているが2030年には最低に集団に入るだろう。不平等の拡大と皆保険がないこと、子どもの死亡率高く殺人が多いことが主な原因である。
Future life expectancy in 35 industrialised countries: projections with a Bayesian model ensemble
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0140673616323819
(もと論文見ると日本女性の予想値の分布と韓国女性のとは重なっていて、欧米各国の予想より分散しているように見える。多分モデルが欧米のデータメインだからだろう)