食品安全情報blog過去記事

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マーマイトが認知症予防になるという報告は行き過ぎである

Behind the headlines
Reports that Marmite prevents dementia are laying it on a bit thick
Wednesday April 5 2017
http://www.nhs.uk/news/2017/04April/Pages/Reports-that-Marmite-prevents-dementia-are-laying-it-on-a-bit-thick.aspx
「マーマイトを毎日トーストにつけて食べると認知症の予防になる可能性がある」とDaily Mailはほとんど根拠なく報道している。
小規模の研究でマーマイトが脳の電気的活動に影響を与えるとの知見があるが、認知症を予防する証拠はない。この研究は20代前半の28人を対象にした。研究者はマーマイトを食べると脳電図(EEG)スキャンで測定される、スクリーン上のフリッカー画像を観る脳の反応に影響を与えるかどうかを調べた。この検査は大脳皮質視覚野の「脳細胞の興奮性」の測定に使われた。
マーマイトは脳がGABAを作るのに必要と思われているビタミンB12グルタミン酸を含む。このことから脳細胞の興奮性を抑制すると思われている。GABAが過少であるとてんかんの要因になる可能性がある。
研究では1か月間毎日ティースプーン一杯のマーマイトとピーナッツバターを食べた影響を比較した。健康なボランティアの人がマーマイトまたはピーナツバターの前後に検査を行った。1か月後、マーマイトを食べた人の脳をスキャンすると興奮性の低下がみられた。
研究者は食事を通してGABAの値を上げるとてんかんの治療に貢献できるかもしれないと示した。しかし、これを裏付ける臨床的な証拠はなく、認知症に関するメディアの憶測は気にしないように。
マーマイトが嫌いな人にとって、ビタミン12の摂取源には肉やチーズがある。