食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

慢性ライム病と診断された患者の治療中の重大な細菌感染−米国

Serious Bacterial Infections Acquired During Treatment of Patients Given a Diagnosis of Chronic Lyme Disease — United States
Natalie S. Marzec et al.,
MMWR / June 16, 2017 / 66(23);607–609
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6623a3.htm?s_cid=mm6623a3_w
患者A
30代後半女性。疲労と関節痛で慢性ライム病と診断され経口抗生物質を何回か投与されたものの悪化。中心静脈カテーテル(PICC)を用いてIVで3週間抗生物質を投与したが関節痛は続き、発熱と発赤。低血圧と頻脈でICUに入院。最終的に死亡。中心静脈カテーテルによる菌血症での敗血症性ショックが死因とされる。
患者B
何年も筋肉と関節、背中、頭が痛い、無気力を訴えた少女。慢性疲労症候群と診断されていたがセカンドオピニオン代替医療クリニックを訪れ慢性ライム病と言われる。3か月経口で抗生物質を投与。肝臓の酵素異常で中止。PICCで抗生物質投与。合計5か月抗生物質を使用したが症状は改善せず中止。しかしPICCを入れたままにしていた。抗生物質中止後1週間感染症を発症しICUに入院。数週間の入院後退院。
患者C
40代後半女性。節足動物に咬まれてインフルエンザ様の症状を発症しその1年後にライム病と診断され、経口ドキシサイクリンの4週間投与を2回で治療を受ける。疲労と認知困難になり最初の診断から2年後の慢性ライム病と診断される。ペニシリンの5週間筋肉内投与で改善せずIVを6か月。さらに1年後新しいIVカテーテルで追加の抗生物質投与を受ける。腰痛、息切れ、倦怠などの症状で入院、血液から細菌が検出され、菌血症と診断。椎間板炎の治療を受けて腰痛は改善。
患者D
患者E

メディア報道
「慢性ライム病」の根拠のない治療で重大な感染症につながった
Unproven Treatments for 'Chronic Lyme Disease' Lead to Severe Infections
By Karen Rowan, Health Editor | June 15, 2017 –
https://www.livescience.com/59509-long-term-antibiotics-for-chronic-lyme-disease-lead-to-severe-infections.html
ライム病は正当な病名だが「慢性ライム病」は一部の代替療法を行っている人たちが宣伝しているもので正式な病名ではない。多くの医師は否定している。それら正当でないクリニックでの「慢性ライム病」治療には抗生物質を長期間使うものがあり、その犠牲者の症例が報告された