食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

論文

  • がん研究者は前臨床研究の再現性を過剰推定する

Cancer researchers overestimate reproducibility of preclinical studies
29-Jun-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-06/p-cro062117.php
PLOS Biologyに発表された再現性プロジェクトの研究。6つの有名なマウスでの実験の再現性を専門家と初心者に予想してもらった調査。平均してがん研究者は75%の確率で統計学的有意差が再現できると予想し、50%、効果の大きさも再現できると予想した。しかしどれもそのような再現性はない。
h-indexの高い専門家(論文の被引用数が多い人)はより正確であるが特にそのトピックスに詳しい専門家は不正確である。

  • 人々は食品安全については「サイコロを振っている」?

Are people 'rolling the dice' when it comes to food safety?
29-Jun-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-06/uol-ap062917.php
英国リバプール大学の研究者らによるENIGMAプロジェクトによる新しい研究で、英国のキッチンでの公衆の食中毒リスクとなる好ましくない行動を明らかにした。
200のシェフを調査したところ
・1/3は「腐りかけた‘on the turn’」肉を提供したことのあるキッチンで働いている
・30%以上が下痢や嘔吐から48時間以内にキッチンで働く
・16%が鶏肉をしっかり加熱したかどうか確かめないで提供する
・7%が生肉や生魚を触ったあとすぐに手を洗わない
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0175816

  • スペインの子ども達の85%は塩を摂りすぎ

Eighty-five percent of Spanish children eat too much salt
29-Jun-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-06/f-sf-epo062917.php
European Journal of Nutrition。子ども達の平均塩摂取量は1日7.8gでWHOの推奨である1日当たり10才以下で4g、10才以上で5gをそれぞれ84.5%と66.7%超過している。

  • WHO紀要

Bulletin of the World Health Organization
Volume 95, Number 7, July 2017, 481-544
http://www.who.int/bulletin/volumes/95/7/en/
新しいWHO事務局長就任、イエメンのコレラ、タイのアルコール対策など

  • 蜜蝋の残留物質:蜂蜜や蜜蝋の消費者に健康リスク?

Residues in Beeswax: A Health Risk for the Consumer of Honey and Beeswax?
Wilmart O , et al.,
J Agric Food Chem. 2016 Nov 9;64(44):8425-8434.
シナリオでのリスク評価。これまで検出されたことのある農薬や動物用医薬品が蜂蜜や蜜蝋に存在すると仮定した場合の消費者の摂取量をADIと比較した。結論としてリスクとはならない。

  • 米国での自主的食事制限でのヨウ素欠乏と甲状腺機能低下症:症例報告

Iodine Deficiency and Hypothyroidism From Voluntary Diet Restrictions in the US: Case Reports.
Booms S, Hill E, Kulhanek L, Vredeveld J, Gregg B.
Pediatrics. 2016 Jun;137(6). pii: e20154003.
http://pediatrics.aappublications.org/content/137/6/e20154003.long
自閉スペクトラム疾患の5才の子どもの症例は2才の時からオーガニックのグルテンフリーカゼインフリー食だった
2才の子どもはアトピーを恐れて牛乳をココナツミルクに代えられていた。親は加工食品は避け、塩はシーソルトしか使わないと報告。
(普通の塩はヨウ素が添加されている。オーガニックだといろいろな公衆衛生対策をしなくていいことになっているのが落とし穴)。

  • ダイエタリーサプリメントの出血リスク:心臓外科医にとっての隠された悪夢

Bleeding risk of dietary supplements: A hidden nightmare for cardiac surgeons.
Bedi HS, , et al.,
Indian Heart J. 2016 Sep;68 Suppl 2:S249-S250.
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0019483216300074?via%3Dihub
55才の心臓バイパス手術を受けた後に広範な出血を示した男性の症例報告。後で魚油とニンニクを含むサプリメントを使用していたことがわかった。カナダに住むインド人でインドで手術を受けた。

  • 危険なダイエタリーサプリメント:Garcinia cambogia関連の移植を必要とする肝不全

Dangerous dietary supplements: Garcinia cambogia-associated hepatic failure requiring transplantation.
Lunsford KE, et al.,
World J Gastroenterol. 2016 Dec 7;22(45):10071-10076
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5143754/
米国からの報告。34才のヒスパニック男性

  • 食物アレルギーがあり食事制限している子ども達の骨の健康評価:実践的ガイド

Bone health assessment of food allergic children on restrictive diets: a practical guide.
Doulgeraki AE,et al.,.
J Pediatr Endocrinol Metab. 2017 Feb 1;30(2):133-139.
牛乳アレルギーがある、あるいは3つ以上の食品にアレルギーがある、重症アレルギー、骨格に影響する病気を併発している子ども達のリスクが代謝性の骨疾患リスクにあるようだ。食事法をあまり守らない子どもや適切な医師の指導を受けていないアレルギーの子どもにビタミンD欠乏などの骨代謝バランスの悪さがみられるという根拠が蓄積している。制限食には医師の緊密な監視が重要。