食品安全情報blog過去記事

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動物由来食品のフィプロニル量についてのFAQ

Frequently asked questions about fipronil levels in foods of animal origin
Updated BfR FAQ of 9 August 2017
http://www.bfr.bund.de/en/frequently_asked_questions_about_fipronil_levels_in_foods_of_animal_origin-201492.html
ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、ベルギーの卵と鶏肉に検出されたフィプロニル量増加に関する食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)の通知に基づいたリスク評価を作成した。
(http://www.bfr.bund.de/cm/349/health-assessment-of-individual-measurements-of-fipronil-levels-detected-in-foods-of-animal-origin-in-belgium.pdf PDF-File (85.4 KB)).
これを背景として、ドイツ連邦リスク評価研究所はこの話題に関する主要なQ&Aを編集した。
FAQS
PDFファイル | 37.4 KB
http://www.bfr.bund.de/cm/349/frequently-asked-questions-about-fipronil-levels-in-foods-of-animal-origin.pdf
フィプロニルとは?
フィプロニルはノミ、シラミ、大型ダニ、ゴキブリ、小型ダニなどの昆虫を退治するのにつかわれる広域殺虫剤である。食品生産動物への使用は認められていない。
フィプロニルが持つヒトの健康への基本的な影響は?
フィプロニルは経口や皮膚からの摂取あるいは吸入すると動物実験では急性毒性がある。この物質は皮膚や目の刺激性はなく、皮膚のアレルギー反応を引き起こさない。フィプロニルはラット、マウス、イヌ、ウサギの実験で神経系への毒性影響があったが、これらの影響は大人の動物では可逆的だった。用量によっては、ラットの母親がフィプロニルを摂取した後にその子供で神経毒性が観察された。肝臓への毒性影響もラットとマウスで観察された。入手可能な最新の科学的知見によると、フィプロニルは変異原性や発がん性には分類されていない。
健康のガイドライン値(急性参照量)を超えずにヒトが食べられる卵の数は?
例として、ベルギーで(ドイツではない)今日までに測定された最高量、卵1 kg あたり1.2 mgのフィプロニルを用いて、単に数学的には、体重16.5 kgの子供は1.7個の卵を (それぞれ一つ70gの重さ)、体重65 kgの成人は一日に7個の卵を、急性参照用量(ARfD)として表される健康ガイドライン値を超えずに食べることができる(一度だけで、あるいは24時間以内)。推定される最大摂取量がARfD以下である限り健康ハザードは起こりそうもない。従って、およそ1歳に相当する体重10 kgの子供は、急性参照用量(ARfD)で表される健康ガイドライン値を超えずに1日に1個の卵を食べることができる。
ARfDの超過は自動的に確実に健康リスクがあることを意味するわけではなく、最新の入手可能な知見によると、汚染された鶏卵を食べた後に消費者に健康リスクとなる可能性があるということのみを示している。明らかな健康を害する結果が見られない動物実験での最大量とヒトの急性参照用量の間の安全係数はフィプロニルでは100である。これはヒトに置き換える際に適切な安全マージンをもうけるために、動物実験で健康障害の結果が何も出なかった最大用量を100で割ったことを意味している。健康ガイドライン値には妊娠している母親や老人などの脆弱な集団も考慮されている。
フィプロニルはどのような基準で評価されている?
鶏卵と鶏肉で測定されたフィプロニル量の健康リスク評価は急性参照用量(ARfD)を利用して行われた。フィプロニルのARfDはラットでの発達神経毒性試験から安全係数100を用いて導出された。EUの農薬有効物質検査でARfD値0.009 mg/kg体重が設定された。ARfDは消費者に認識できるリスクがなく一回の食事あるいは一日のうちに摂取できる体重kg当たりの物質量として定義される。
急性参照用量(ARfD)を超えるとどうなる?
ARfDの超過は自動的に確実な健康リスクがあることを意味するわけではなく、最新の入手可能な知見によると、単に汚染された鶏卵を食べた後に消費者の健康リスクが起こりうることを示している。明らかな健康を害する結果が見つかっていない動物実験の最大量と急性参照用量の間の安全係数はフィプロニルでは100である。
フィプロニル量増加が見つかった卵及び/または家禽肉の摂取に関連する健康リスクは?
現在入手可能な情報とドイツの摂取データ(国家栄養研究?)に基づき、子供を含む調査した消費者グループに急性参照用量(ARfD)を超過する結果はなかった。基準として欧州摂取データ(EFSA PRIMo, Ver. 2)が使用されたとしても、ARfDは成人でも超過していない。
子供の欧州摂取データに基づき、鶏卵には1.6倍ARfDが超過する結果となった。だが、これはベルギーで測定された最大値(卵の1.2 mg/kg)の場合にのみあてはまる。現在BfRに入手できる他の全ての分析結果はARfDを超過する結果とはなっていない。
一般的卵摂取への助言は?
ドイツ栄養学会(DGE)は加工された卵を含み、一週間に卵最大3個を推奨する。これらは成人への方針値である。
http://www.dge.de/ernaehrungspraxis/vollwertige-ernaehrung/ernaehrungskreis/
加工されると汚染された卵のフィプロニルの濃度は変わる?
最新の入手可能な知見レベルによると、フィプロニルはゆでたり揚げたり (最大120°Cで20分間) では低下しない。このため、現在のところ加工された卵には加工されていない卵と同じフィプロニル量が仮定されている。
卵は数多くの食品生産に使用されている。これらの食品の卵の割合は様々である。卵を加えて作る食品ではフィプロニル濃度が薄まることが想定されるだろう。
急性参照用量超過とならない卵のフィプロニル量はどれくらいか?
最悪事例として欧州Primo暴露モデルを用いて、最新の入手可能な情報によると、ARfDが超過しない、消費者グループの誰も急性健康リスクがない鶏卵の最大フィプロニル濃度は0.72 mg/kg(フィプロニルとフィプロニルとして計算されたスルホン代謝物の合計)と見なした。
卵と鶏肉のフィプロニルに適用する最大残留基準は?
最大残留基準0.005 mg/kgがフィプロニルに適用される(フィプロニルとそのスルホン代謝物質の合計)。これは分析上の検出限界である。最大残留基準を超えると食品は販売できない。
最大残留基準を超えるとどうなる?
フィプロニル量が適用できるEU最大残留基準を超えると食品は販売できない。
検査中に量が超過していることが立証されると、その製品は市場から取り除かれる。
短期間の超過は、問題となる食品の摂取が健康リスクとなることを自動的に意味するわけではない。