食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 文化が欲求をつくる?生理にチョコレートが欲しくなるという事例からの根拠

Does culture create craving? Evidence from the case of menstrual chocolate craving
Hormes JM, Niemiec MA
PLoS ONE 12(7): e0181445
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0181445
米国人女性の50%は生理が始まる頃にチョコレートが食べたくてたまらなくなるという。研究では生理的要因はない。我々はこれが内面化された文化由来であるという仮説を提示し、各種バックグラウンドの女性でのチョコレート欲求を調べた。結論としてPMS症状は文化的構成物であることを示唆する。
(単にチョコレートを食べる言い訳が欲しいだけのような。中世の女性は気絶するものだ、みたいなやつ。PMSだからひどいこと言ってもいい、みたいなのは止めたほうがいいよねぇ)

  • ハイリスク医療機器の変更を支持するのに質の低い研究がしばしば使われている

Lower-quality studies often used to support changes to high-risk medical devices
15-Aug-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-08/tjnj-lso081117.php
JAMA

  • 医薬品の早期承認:どのくらい良く研究されているのか?

'Accelerated approval' drugs: How well are they studied?
15-Aug-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-08/bawh-ad081117.php
JAMA

  • 赤紫のラプソディ

Rhapsody in red violet
15-Aug-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-08/wios-rir081517.php
植物王国の色は目の楽しみだけではない。色素は授粉媒介昆虫を惹きつけ、植物を病気から守り、健康に利益があり食品や医薬品業界で使われる。Weizmann科学研究所がPNASに発表した新しい研究では、赤紫と黄色の色素で抗酸化作用のあるベタレイン類betalainsの利用可能性を拡大した。
ベタレイン類はサボテンの果実やブーゲンビリアの花、ビーツなどが作る。他の主要植物色素2種類に比べると比較的希で合成経路はあまりよくわかっていない。Guy Polturak博士らはベタレイン合成に関わる遺伝子を同定し、さらに赤紫のジャガイモ、トマト、ナスを作った。(写真。熟したのがわかりにくいような)

'Overdiagnosis epidemic' in thyroid cancer: University of Calgary researchers
August 15, 2017
http://www.ctvnews.ca/health/overdiagnosis-epidemic-in-thyroid-cancer-university-of-calgary-researchers-1.3546891
カルガリー大学の研究者らによる研究では、甲状腺がんで治療された人のほとんどは何の害もない腫瘍だったろう。
Dawnelle Topstadと James Dickinsonはカナダの40年以上のデータを調べた。1970年から2012年の間に、男性の甲状腺がんは5倍、女性は6倍に増えた。1990年代に超音波が広く使われるようになって急増した。特に増えたのは40-60才の女性である。同時期の甲状腺がんでの死亡率はずっと同じ低いままだった。「このことは臨床的に重要でない病気を新しい診断技術で検出しているための過剰診断の流行が増加の原因である可能性が高い」とTopstad とDickinsonは書いている。地域差も明確で、これは超音波検査のしやすさが原因と疑っている。ここから学ぶ必要がある。
甲状腺がんの超音波検査はルーチンですべきではない。
Thyroid cancer incidence in Canada: a national cancer registry analysis
cmajo August 14, 2017 vol. 5 no. 3 E612-E616
http://cmajopen.ca/content/5/3/E612.full
(論文はともかく、CTVやCBCなど主要メディアが大きくとりあげたことに意味がある。