食品安全情報blog過去記事

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フィプロニルで汚染された食品の長期摂取が引き起こす健康リスク評価の改訂

Updated assessment of the health risks posed by longer-term consumption of foods contaminated with fipronil
Updated BfR Communication No. 023/2017 of 21 August 2017
http://www.bfr.bund.de/cm/349/updated-assessment-of-the-health-risks-posed-by-longer-term-consumption-of-foods-contaminated-with-fipronil.pdf
ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は現在入手できる情報から、フィプロニルを含む製品の違法利用はどうやら長期間行われていたのではないかと考えている。このためリスク評価の際にはフィプロニルで汚染された食品の長期摂取を十分考慮しなければならない。
平均一日摂取量はこの改訂された推定量で決定した。消費者へのリスク推定は複数のかなり保守的に推定された入手可能なデータを基にして作られるため、予想される実際の消費者暴露はここで推定された暴露量を相当下回るだろう。
ドイツおよび欧州の消費者データ(NVS II Model とEFSA PRIMo (Ver.2))を基にして、加工食品を含むフィプロニルで汚染された鶏卵や鶏肉の摂取から、観察したどの消費者グループでもADI値(0.0002 mg/kg体重/日)を超過しなかった。現在のフィプロニルの知見で、ドイツ人の摂取データから子供と成人にそれぞれADIの利用率39% と12%が推定された。様々な欧州の消費者グループに最大40%のADI利用率が設定された。
ADIは許容一日摂取量の略で、認識できる健康リスクなく消費者が生涯毎日摂取できる物質量を示している。
フィプロニルで汚染された鶏卵と鶏肉や、それらで作られる加工食品の摂取が引き起こす消費者リスクの改訂した推定量に生涯にわたる許容一日摂取量の超過は示されないため、健康ハザードはありそうもない。
長期摂取量の推定
長期摂取を評価にするために、データは統計的記述について評価された:
フィプロニルの知見が局所的であるため、BfRには実際の販売状況とそれによる平均量を反映した卵の代表的なデータは得られていない。このため、長期摂取を計算するには影響を受けた企業で測定されたデータや公的監視データを利用した。長期暴露に関しては、何週間も何か月もフィプロニルで汚染された卵だけを食べることは全くありそうもないため、このモデルはかなり保守的な推定を用いている。
鶏卵のフィプロニルに関するドイツの改訂データベースは産地国ごとの計算を行うのに十分である。だが2017年8月11日の最初の予備評価との比較可能性と、ドイツとオランダの卵が同時に販売されていたことを考慮して、全てのデータが再び考慮された。
NEDI手順では長期摂取量の計算には通常全食品の平均量が使用されるべきである。あるいは、影響を受けた企業周辺のこれらの企業由来の卵を食べた可能性のある消費者に特に注目して、卵の平均一日汚染量の保守的推定量の基本として3/4(75パーセンタイル)が使用された。
鶏肉のフィプロニル量
BfRの現在の認識では、フィプロニルを含む製品はもっぱら産卵用の動物(若いめんどりと産卵鳥)の小屋に違法に使用された。鶏肉の大部分を占めるブロイラーはBfRの認識ではフィプロニルに暴露されていない。
2017年8月17日の朝現在、BfRは公的監視による鶏肉のフィプロニル量の代表的ではないいくつかの分析結果を持っていた。データセットにはLower Saxony州の5業種、Mecklenburg-Western Pomerania州の1、小売業者からの2つのサンプル由来の鶏肉の36測定値が含まれる。産卵鳥の筋肉(ゆでた鶏)と6羽の若いめんどりが主に分析された。量は36サンプル中の17で最大残留量(0.005 mg/kg)を超えていた。
産卵鳥は鶏肉の主な供給源ではないが、それらは産卵期末にヒトの食品として使用される可能性がある(例えばゆでた鶏として)。ブロイラーと産卵鳥の肉の消費を区別するデータがないため、平均一日フィプロニル摂取を計算するときに産卵鳥の肉だけが消費されたと想定された。若いめんどりと産卵鳥のフィプロニル量を同等に扱ったが、若いめんどりに最高量が検出ていて、通常その年齢ではヒトの摂取には使用されない。鶏肉の実際の一日摂取量に関して、これらの推定量は明らかに過大評価である。
鶏卵同様鶏肉のフィプロニル量を決めるときには、影響を受けた企業近辺の消費者は多量暴露した消費者グループだと考えられる。測定値の数が少なく、測定された最大フィプロニル量の影響が大きいため、平均値(0.0181 mg/kg)が3/4パーセンタイル(0.0125 mg/kg)以上であるが平均一日摂取量の計算には保守的に基本として使用された。
他の食品源
フィプロニルはEUで農薬、殺虫剤、動物用医薬品に使用される活性物質として使用されているので、背景汚染の可能性も原則として考えられている。
食品中の残留農薬への消費者暴露を測定するためにBfRが開発した無作為抽出概念における、フィプロニル(フィプロニルとフィプロニルスルホンの合計として測定された)の2009年から2014年までのドイツ食品監視データに基づき、ADI値の利用率はドイツ人で0.1%未満だった。これらのデータから、通常の販売状態では食品にフィプロニルはほとんど検出されないことが示されている。検査期間内に検査された合計14,000サンプル以上で、たった一つのサンプルだけが分析検出限界を超えていた。現況を鑑み、食品からのフィプロニルの平均一日摂取量の評価には、鶏卵と鶏肉、それらの加工食品から摂取できるフィプロニルだけが関係している。
消費者の長期摂取量の計算
ここで説明されたパラメーターに基づき、以下の長期摂取量はドイツと欧州の消費者についてのものである。他の食品からのフィプロニル汚染はほとんどないので、計算は鶏卵と鶏肉用のみである。
ドイツのNVS II摂取モデルに基づき、フィプロニルで汚染された鶏卵と鶏肉の摂取を通した検討されたどの消費者グループでもADI値(0.0002 mg/kg 体重/日)を超過しなかった。ドイツの消費者グループで一日平均最大フィプロニル摂取量は、ADI値を最大39%利用して、2-4歳の子供だと確認された。
EFSA PRIMo model (Ver.2)に基づき、フィプロニルで汚染された鶏卵と鶏肉の摂取による検討されたどの消費者グループでもADI値は超過しなかった。
欧州の一日平均最大フィプロニル摂取量の消費者グループはADI値を最大40%利用する英国の乳児だと確認された。