食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

論文

  • 世界の尿中濃度データ(2000–2016)から推定した世界中の人のビスフェノールA一日摂取量とそのリスク分析

Worldwide human daily intakes of bisphenol A (BPA) estimated from global urinary concentration data (2000–2016) and its risk analysis
Ri-ping Huang et al.,
Environmental Pollution
Volume 230, November 2017, Pages 143-152
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0269749117311703?via%3Dihub
一般的にEFSAのtTDIより低い
成人の世界平均は31ナノグラム BPA/kg体重、概ね20-60ナノグラム BPA/kg体重の間

  • 都市部の「フードデザート」の心疾患リスクは、健康的な食品へのアクセスよりも個人の収入に関連する

Risk of heart disease in urban 'food deserts' is associated with individual's income rather than access to healthy food
13-Sep-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-09/aha-roh091117.php
Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomesに発表。心疾患リスクの最も重要なドライバーは収入のようだ

Studies help explain link between autism, severe infection during pregnancy
13-Sep-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-09/miot-she091117.php
母親の消化管の細菌集団が中心的役割を果たしているかもしれない
Natureに発表されたマウス研究2つ。

  • 低レベル放射線暴露は他の現代的ライフスタイルリスクより害が少ない

Low-level radiation exposure less harmful to health than other modern lifestyle risks
13-Sep-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-09/uoo-lre091317.php
Oxford Martinリステートメント(修正再表示)は放射線暴露によるリスクは極めて良く研究されていて、喫煙、肥満、大気汚染に比べて小さいことを発見
Proceedings of the Royal Societyに本日発表されたあたらしい研究で、オックスフォード大学のOxford Martin Schoolの専門家チームは低レベルイオン化放射線の健康リスクについての根拠を集め、議論に新たなニュアンスを加えた。
例として、100人が短期間に100 mSv被曝して、それから生涯にわたって平均レベルだとすると、そのうち1人に放射線に誘発されるがんが生じると予想される。一方42人が他の原因でがんになる。100 mSvはどのくらいかというと、全脊髄のCTスキャン一回の少ない線量で10mSvで、英国の自然バックグラウンド放射能は年2.3 mSvである。
フルペーパーは以下からダウンロードできる
http://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/publications/view/2583
表紙は広島
福島第一原子力発電所事故については以下のような記述
The Fukushima Dai-ichi nuclear power plant accident has caused substantial ill-health through the effects of the evacuations, continued displacement and fear of radiation. It is unclear if there will be a detectable excess in thyroid cancer in the coming years. No other discernible increase in ill-health attributable to radiation exposure is expected in either emergency workers or members of the public.
福島第一原子力発電所事故は避難と長く続く強制退去と放射線の恐怖により相当な健康への悪影響をもたらした。今後検出可能な過剰な甲状腺がんがあるかどうかは明確ではない。緊急時の労働者や一般公衆に他に識別可能な放射線暴露による健康への悪影響はないだろう。
(でも甲状腺検診による被害は膨大。付属資料に甲状腺がん検診の記述があり、がんが増えたと主張するTsudaらの結論はいろいろな側面から厳しく反論されていると書いている。Tsudaらの論文1に対して反論9報以上引用
Appendix with embedded referencesで放射線防護の仕組みを含めた全体像を提示
そのうち福島に関するまとめは以下
The Fukushima Dai-ichi Nuclear Accident
http://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/policy/restatements/ionizing-radiation/7
19才以下の全ての住人の超音波による甲状腺検査計画が始まった。最初の数年で甲状腺がん確定および疑い事例が113検出され日本人のがん登録データの何倍にもなるがこれは大規模高感度スクリーニングによるもので放射線暴露の影響ではない。
世界的には放射線リスクといえばラドンが大きい。欧州の屋内ラドン濃度地図。
福島に関しては強制避難命令と検診のほうが遥かに大きな害を与えている、ということは人災。そして他県の津波の被害には関心が少なすぎる。)

Unintentional drug use continues among molly users in EDM party scene
13-Sep-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-09/nyu-udu091317.php
エレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)パーティでは歴史的に各種向精神活性のある薬物が使われるリスクが高かった。過去2年のナイトクラブとフェスティバルの参加者の調査では使用率は高い。「エクスタシー」や「モリー」を使っている人は混入されている他の薬物も使用している可能性が高い。International Journal of Drug Policyに発表された研究によると、毛髪検査ではモリー使用者で他の薬物は使用していないと言う人の10人中7人からバスソルトメタンフェタミンなどが検出される。