食品安全情報blog過去記事

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IARCはReutersの記事の虚偽の主張を却下する(「グリホサートのレビューにおいて、WHOのがん機関は「非発がん性」の知見を削除した」)

IARC rejects false claims in Reuters article (“In glyphosate review, WHO cancer agency edited out “non-carcinogenic” findings”)
24 October 2017
http://www.iarc.fr/en/media-centre/iarcnews/pdf/IARC_Response_Reuters_October2017.pdf
2017年10月19日に発表されたReutersの記事でKate Kellandが「米国での裁判の過程でモンサントが入手した」IARCモノグラフの草案について報告した。ReutersはIARCが「「非発がん性」の知見を削除」し「グリホサートがおそらく発がん性という結論にあわない知見を削除あるいは編集した」と述べ、IARCが「誰が何故このような変更をしたのか言わない」と加えた。IARCはこれらの虚偽の主張を却下する。
IARCがKelland氏に説明したように、草案の変更はIARCモノグラフワーキンググループのメンバーによる熟慮の結果であり、お金をもらった特定の科学者のせいではない。これは通常のやりかたで、モノグラフの作成はリヨンでの8日間の公開会合の前に草案を準備してこの会議の結果改訂される。ワーキンググループは入手可能な科学文献を独自に評価して追加の解析を行う場合がある。ワーキンググループはそれまでの国の規制評価は考慮せず、独自に独立して評価する。
Kelland氏は草案と最終モノグラフとの違いを引用している。ほとんどの違いはモンサントの科学者が共著者になっているレビューに関連する。リヨンでの会議の際に、ワーキンググループはそのレビューはモンサントの科学者の結論から独立している情報だとはいえないので妥当ではないと考えたので案は改訂された。モノグラフに発表された文章はワーキンググループのコンセンサスである。しかしながらモノグラフではそのレビューについて記述している。
Reutersの記事は誰が「「非発がん性の知見」を排除した」のか曖昧である。IARCのスタッフはモノグラフの文章を準備したり編集したりしない。ワーキンググループだけが書いて改訂する。最終モノグラフはワーキンググループ全体の科学的同意である。
審議案はワーキンググループを干渉から守るために公開されない。これは科学コミュニティーでの標準的やり方に一致している。これはReutersに2016年10月の報道の後に説明している。しかしオブザーバーには会合への参加や全ての草案の入手が許されている。モンサントからもグリホサートのモノグラフ評価の際にオブザーバーが一人参加していてメディアに「会合はIARCの方法に従って行われた」と語ったと引用されている。
ワーキンググループのメンバーはIARCで行われた科学的議論についての主張に対応するプレッシャーがあることに懸念を表明している。そのためIARCはしかたなく全てのメンバーにワーキンググループメンバーでの役割について圧力をかけないように通知した。Reutersは16人に取材して誰も答えなかったと書いている。IARCへのメールで一人はKelland氏の取材に答えて全ての方法は透明だったと言ったと言っている。
IARCはIARCやワーキンググループに対する根拠のない中傷には反応するつもりはない。それがモンサントやその他関係者、あるいはメディアを含む第三者を経由するものでも。他の機関の評価プロセスの透明性についてもコメントしない。現在進行中のグリホサートに関する法的手続きや規制上の意志決定については関与しない。
結論として、IARCモノグラフのがんハザード分類は、利益相反のない独立した科学者からなるワーキンググループの科学的議論の結果である。結果として発表されたモノグラフはワーキンググループのコンセンサスであり全てのメンバーが同意したものである。

(この文書にも責任者の名前はない。モンサントの関係する研究は科学の質にかかわらず排除したことと箝口令を敷いたことは認めるんだ。活動家から暴力さえ受けている科学者にも説明責任が求められて応えようとしている時代なのに。どうしようもないな)