食品安全情報blog過去記事

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FDA、マリファナから作られ、がんを治療できることを謳った根拠不明の製品を市販していた会社に警告を与える

FDA warns companies marketing unproven products, derived from marijuana, that claim to treat or cure cancer
November 1, 2017
https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm583295.htm
米国食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)は、本日、がんを防ぎ、がんの原因を突き止められ、がんの治療に使え、またはがんを完治させられると謳って、そうした成果が得られることを示す証拠もなく違法に製品を通信販売していた4社に対し、警告文書を送付した。
今回の場合、違法販売されていた製品には、カンナビジオール(cannabidiol: CBD)が含まれていたということである。CBCマリファナの植物体の構成成分で、FDAはどのような症状に対してもいかなる医薬品の形でも承認していない。CBCは、油性の液体、カプセル剤、シロップ、お茶および皮膚に塗るローションやクリームといった様々な形で市場に出回っている。今回警告の対象となった製品の中には、アルツハイマーなどの深刻な疾患の代替療法もしくは補助療法を提供するものとして販売されていたものもあった。
FDA長官のScott Gottlieb医学博士は以下のように述べている。「マリファナの成分を含む物質は、がんを小さくすることを謳っているが効果が証明されていない他の製品と同様に扱われることになる。われわれは証拠もなしにがんを治せるなどとして病気の人たちを食い物にする製品を販売させない。マリファナの成分を含む製品についてもこの原則を貫く。がんに有効な治療法は増え続けているのに有効性が確立されていない薬剤を違法に購入できるままにすると、抗腫瘍および延命効果が証明されている製品から離れた方向に患者が向かってしまう。」
今回FDAが警告文書を送付したのは、以下の4社である(URLは警告文へのリンク)。
・ Greenroads Health: https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm583188.htm
・ Natural Alchemist https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm583205.htm
・ That’s Natural! Marketing and Consulting: https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm583197.htm
・ Stanley Brothers Social Enterprises LLC: https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2017/ucm583192.htm
これらの4社は、25種類を超える様々な製品を、複数のウェブページ、オンラインストアおよびソーシャルメディアサイトで根拠のない効能を謳って宣伝していた。
これらの会社が使っていた謳い文句は以下のようなものである。
 『腫瘍やがん細胞に効く』
 『CBDは他の細胞を殺すことなくがん細胞を”自殺”に追いやる』
 『CBDには抗増殖作用があり、細胞分裂を抑制し、特定の種類のがんの成長を阻害し、腫瘍を大きくさせない』
 『CBDは非向精神性のカンナビノイドであり、乳がんなどのがんや腫瘍の治療に有効である可能性がある』
これらの製品の製造についてはFDAの審査にかけられておらず、それらの製品が効果を有するのか、適切な用量はどのくらいか、他の薬との相互作用はあるのか、および重い副作用や安全性への懸念を有するのかどうか評価されていない。FDAはこれらの会社に対し、どのように違反状態を是正するのかを尋ねている。是正されなければ製品の押収や差し止めなどの法的措置を取ることが考えられる。
Gottlieb長官は次のように付け加えている。「マリファナやその成分を用いた治療法の開発に関心が持たれることは理解している。しかしその安全な実現は、医薬品承認手続きを経ることによるのであって、ウェブサイト上に載せられた根拠のない文言を介して行われるものではない。我々は、マリファナ由来の成分を用いた科学的根拠のある研究を支援しており、安全で有効かつ高品質の製品を作ることに関心のある医薬品開発業者と共働し続ける。」
過去10年間に同様の警告文が発せられた事案は90件で、今年は12件を超えている(下記のウェブサイトを参照)。さらに、FDAは最近、がん患者を標的にした『幹細胞』センターと呼ばれるにおいて潜在的に危険で根拠が示されていない治療が行われるのを防ぐために、断固たる行動を取った。医療従事者や消費者には、こうした製品に関連した有害影響の情報をFDAのMedWatch programに報告することを勧めている。