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SMC UK

コーヒーと健康について調べた論文への専門家の反応
expert reaction to paper looking at drinking coffee and health
November 22, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-paper-looking-at-drinking-coffee-and-health/
BMJで科学者がコーヒーと各種健康アウトカムの関連について既存の根拠を評価している
登録栄養士Catherine Collins氏
このレビューはこれまでのレビューに基づいてコーヒーの健康への役割をまとめている。集団研究における習慣的コーヒー摂取を評価することについての限界はあるが、このレビューで確認されたのは1日2-3杯のコーヒーは健康上のベネフィットと関連しさらに1日2杯余分に摂っても健康への悪影響はなさそうだということである。コーヒーを飲む人には効果のいくらかを説明できる可能性のある交絡因子があるが、多数の研究が一貫していることがコーヒーが原因である可能性を高くしている。
多分最も興味深いのはコーヒーの心臓への良い役割の可能性であろう。心臓に問題のある人に、カフェインの心臓への影響を根拠にコーヒーを避けるようにと助言するのは良くあることであるが時代遅れである。
(内容についての詳細略)
これをもとに、妊娠3か月未満の妊娠女性以外は、1日数杯のコーヒーを楽しみ続けることができる。
King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授
結論はコーヒー好きには安心できるものだが、いくらかの限界もある。コーヒーは一部の人に頭痛を誘発することが知られ、トイレが近くなる。これらを理由に飲まない人もいる。心拍異常の人はしばしばデカフェを飲むようにと助言されていて、実際カフェインは一時的にではあるが血圧を上げる。従ってコーヒーを飲む人は避ける人に比べて健康状態がよいバイアスがある。
このレビューとそれに伴うエディトリアルではコーヒーに砂糖を入れることについて警告しているがコーヒーのいれかたは強調していない。ボイルドコーヒーあるいはカフェティエールでいれたコーヒーは血中コレステロール濃度を上げる可能性があることが示されている。この効果はノルウェイフィンランドで最も強い。最近のオランダの食事ガイドラインでは血中コレステロール濃度を上げる作用の原因とされるテルペノイド化合物(kahweol と cafestol)の濃度が低いフィルターコーヒーやインスタントコーヒーを飲むように助言している。
West of England大学応用心理学准教授Chris Alford博士
これは質の高い研究で、これまでのこの分野のメタ解析のレビューである。著者らは必ずしも調整されていない交絡因子に問題があることを示している。
著者もエディトリアルも提示されたコーヒー摂取の利点は関連であり因果関係を示したものではないと指摘している。健康上の利点を目的にコーヒーを飲むべきではないとしているのも正しい。
Teesside大学公衆衛生栄養准教授Amelia Lake博士
この論文はこれまでの根拠のレビューで著者らは彼らがレビューした根拠は非常に質が高いものではないと述べている。
「コーヒーは良いの?」これは単純な質問に思えるかもしれないが、食事に関することは全てそうだが、答えは単純ではない。この論文をコーヒーが健康によいと解釈すべきではない
Warwick大学医学部集団の根拠と技術准教授Oyinlola Oyebode博士
プレスリリースは科学を正確に反映している。主な知見は適度なコーヒー摂取は安全であるだけではなく健康への害より利益と関連する可能性が高い。例外は妊娠女性と骨折リスクのある女性。
一次データの多くが実験ではなく観察研究なので他の要因による可能性はある。健康のためにコーヒーを薦められるかどうかはRCTで探るべきである。