食品安全情報blog過去記事

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その他

  • ヒトゲノムで最も人気のある遺伝子

Natureニュース特集
The most popular genes in the human genome
22 November 2017
https://www.nature.com/articles/d41586-017-07291-9
生物学で最も良く調べられている遺伝子の探索はいくつかの驚きを発見
Peter KerpedjievがPubMedデータベースの全ての論文で遺伝子に関する何らかの情報を含むものにつけられたタグを使って最も良く研究されている遺伝子のリストを作った。
リストのトップはTP53で、3年前の最初の解析では6600論文だった。今は8500になった。平均するとTP53について毎日2論文が発表されていることになる。
これに人気があるのは多くの生物学者にとって目新しい情報ではないだろう。
しかしリストに入った他の遺伝子はそれほど有名ではないものもある
NatureはKerpedjievと協力して全体でのトップ10を解析した。これは話の種以上のもので、生命医学研究の流行に光をあて、特定の病気や公衆衛生問題への関心がどういうふうに研究の優先順位を変えたかを示す。同時に如何に小数の遺伝子のみが研究の多くを占めているかも示す。ヒトゲノムのうちタンパク質をコードする2万ほどの遺伝子のうち、たった100のみで論文の1/4以上を占める。数千は年に1つも報告されない。「これはいかに我々が知らないことが多いかを示す」とケンブリッジ大学科学史家Helen Anne Curryは言う

トップ10
TP53
TNF
EGFR
VEGFA
APOE
IL6
TGFB1
MTHFR
ESR1
AKT1
他に流行の遺伝子、の図等

  • あなたの感謝祭のディナーをどう科学する?

Science
How to science up your Thanksgiving dinner
By Giorgia GuglielmiNov. 22, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/11/how-science-your-thanksgiving-dinner
感謝祭のシチメンチョウがどうして黄金色になって香ばしい香りがするのか不思議に思ったことはある?答えは科学である。マッシュポテトからパンプキンパイまで、どんな料理でも化学反応と物理的変化が重要である。だから多くの料理人や科学者が食品の科学に夢中になるのだ。
イタリアComoのInsubria大学の物理化学者Take Dario Bressaniniは日頃はポジトロンが原子や分子とどう相互作用するのかを研究している。しかし自由時間には食品科学おたくになる:彼のYouTubeチャンネルとLe Scienze マガジン(イタリア版Scientific American)での毎月のコラムは全て食品の物理と化学についてである。またBressaniniは7冊の本を書いていてそのうち一冊はペストリーを作ることの背景にある科学についてで、先月発行された。彼は食品の科学への情熱についてScienceとチャットした。このインタビューはイタリア語から翻訳して編集したものである。
(一部抜粋)
Q:どうして食品科学に興味をもった?
A:1990年にカリフォルニア大学バークレー校に留学したとき、カフェテリアの食事が良くなかった上に外食するお金が無かったので自分で作らざるを得なかった。ママにレシピを送ってもらったが上手くいかなくてどうしてだろうと考え始めた。
Q:どうして食品の科学についてブログを書き始めたのか?
A:私にとって台所は大きな実験室である
Q:最も良くある食品神話は?
A:砂糖や塩などのありふれたものについてである。多くの人がピンクのヒマラヤ塩が84の栄養を含むと主張されていて普通の塩より健康的だと考えているが根拠はない。ヒマラヤ塩の少なくとも97%は塩化ナトリウム(食卓塩)で、それにピンク色の原因となる鉄などの鉱物不純物が含まれる。他に白い砂糖より褐色の砂糖のほうが精製されていないので鉄などのミネラルが含まれるので良いと考える人がいる。それはそうだがこれらのミネラルはあまりにも少量で何の有用性もないだろう。あるいは白砂糖は化学物質で漂白していると考える人がいるがそれは事実ではない:ショ糖はもともと無色である。より良い砂糖や塩があるという考えは危険である、なぜならこれらの摂取量を減らす代わりに、同じように不健康な他の砂糖や塩に置き換え始めるからである。
Q:台所の最もよくある化学反応は?
A:メイラード反応
Q:人気の料理の背景にある化学について話してもらえる?
A: 完璧なプルドポークを作る鍵はブタの上半身の肉を使うことである。この部分には筋繊維をまとめている結合組織が多い。結合組織が溶けるとゼラチンになり肉を柔らかく保つ。同時に結合組織がなくなって筋繊維がばらばらになるので簡単に「プル」、つまりばらばらにできる。ヒレ肉などの結合組織が多くない肉だと乾いて固い豚肉になる。
Q:感謝祭の伝統的料理については?
A:バターを使わずにクリーミーなマッシュポテトを作る方法を発見した
Q:食品科学で最もおもしろいことは?
A:科学で新しいレシピを発明できること
Q:シェフになろうと思ったことはある?
A:プロのシェフになろうとは思わない。私は科学者であることが楽しい

(料理は科学で開拓の余地がたくさん。料理本とかにヘンな記述はたくさんある)

  • 2 Sistersと鶏肉加工基準に関する報告書発表

英国議会
2 Sisters and Standards in Poultry Processing report published
17 November 2017
https://www.parliament.uk/business/committees/committees-a-z/commons-select/environment-food-and-rural-affairs-committee/news-parliament-2017/2-sisters-report-published-17-19/
環境食糧地方問題委員会が報告書を発表
(認証団体やFSAにも文句を言っているがお金は出すという)

  • シナモン:それは本当に減量に役立つ?

Cinnamon: Can It Really Help You Lose Weight?
Nov 22, 2017
Bruce Y. Lee ,(Johns Hopkins Bloomberg School of Public Healthの世界肥満予防センター准教授)
https://www.forbes.com/sites/brucelee/2017/11/22/cinnamon-can-it-really-help-you-lose-weight/#46cbe4b04298
Metabolism: Clinical and Experimentalに発表された研究が各種メディアで報道されたことを受けて。実験はマウスと吸引で取り出した脂肪細胞にシンナムアルデヒドを与えたら脂質代謝に関連する遺伝子の発現に変化が見られたというもの。
もちろんあなたはマウスではないだろう(もしあなたがマウスならこれを読めるのは素晴らしい)しあなたの脂肪細胞は普通体内にあるだろう。脂肪細胞にシンナムアルデヒドを加えるのとシナモンを食べるのは同じではない。
そしてシナモンロールを食べて痩せようとするのは馬鹿げている。シナモンそのものを食べてどうなるかは「シナモンチャレンジ」が示す

  • 健康指導者は「がんや病気はあなたの身体があなたを救おうとしている」という

Health coach says that ‘cancer and disease is your body trying to save you’
Rebecca Reid for Metro.co.ukThursday 23 Nov 2017
http://metro.co.uk/2017/11/23/health-coach-says-that-cancer-and-disease-is-your-body-trying-to-save-you-7102126/
脳腫瘍を健康的な食生活で治したと主張するBelle Gibsonは嘘つきだったことがわかって、我々はインターネットにある医学的主張がどんなにひどいものかより知るようになった。
それでもブロガーのOlivia Budgenは気にしないようだ。ローフードエデュケーターである彼女は最近「がんや病気はあなたの身体があなたを救おうとしている」と書いた。
(中身略)
Cancer Research UKのMartin Ledwickは「彼女の投稿には何の科学もない。極めて無神経である。我々は健康的食生活をする必要があるが、流行の食事法はがんを効果的に治療しない。彼女の助言に従うことは危険である」という
MetroはOliviaにコメントを求めたが返事はない
(紹介されている料理(ビーガンカリフラワーライス寿司)のレシピがまた。海苔を生海苔といい、デーツを砂糖の代わりに使って無砂糖という。生のカリフラワーをすし飯にしている。)

  • リンゴ酢はほんとうにワンダーフードか?

Is apple cider vinegar really a wonder food?
November 24, 2017
https://theconversation.com/is-apple-cider-vinegar-really-a-wonder-food-86551
リンゴ酢は伝統薬として何世紀にも渡って好まれ、その効果としてたくさんの主張がある。
リンゴ酢はリンゴを切って水に浸して室温で放置して発酵させて作る。天然の糖がエタノールになりエタノールが酢酸になる。発酵液の中に「マザー」と呼ばれるひも状の束ができて、多くの製品では濾してあるが残してあるものもある。これを次のバッチの種に使うこともある。しかしリンゴ酢は本当に減量や心疾患や血糖値コントロールやがん予防効果があるのか?そしてエンザイムや栄養が多いという主張は?
以下根拠について解説
(いきなりJstageのミツカンの論文にとばされて、しかもミツカンはリンゴ酢が減量に効果あるよと主張しているのだが、すぐにもとの体重に戻るので根拠は弱いと言われている)
結論として根拠なし、飲む価値は特にない。サラダドレッシングを作るのに使うといい、程度。最後に原液を飲まないように。酸で喉や食道が傷つく。

  • 肥満と過体重が増加して、オーストラリアのウエストはOECDで5番目に大きい

Australia's waistline fifth-largest in OECD as obesity and overweight rates soar
November 24 2017
http://www.smh.com.au/national/health/australias-waistline-fifthlargest-in-oecd-as-obesity-and-overweight-rates-soar-20171123-gzrfks.html
オーストラリア人の約3人に2人が肥満または過体重で、主要都市部以外に住んでいる人のBMIが大きい率が高い
オーストラリア健康福祉研究所Australian Institute of Health and Welfare (AIHW)の最新報告

  • Yukkonの新しいアルコールのラベルが飲酒によるがんリスクを警告

CBC
New booze labels in Yukon warn of cancer risk from drinking
Nov 23, 2017
http://www.cbc.ca/news/canada/north/yukon-alcohol-warning-labels-cancer-1.4414726
ヘルスカナダの研究の一環として2種類の警告表示のテストをしている
これまでの警告ラベルは妊娠中の飲酒についてのみだった。