食品安全情報blog過去記事

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評価等

  • シベリアカラマツ(Larix gmelinii)由来のタキシフォリン高含有抽出物の安全性に関する声明

Statement on the safety of taxifolin-rich extract from Dahurian Larch (Larix gmelinii)
EFSA Journal 2017;15(11):5059 [8 pp.]. 13 November 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5059
欧州委員会の要請を受けて、EFSAのNDAパネル(Panel on Dietetic Products, Nutritionand Allergies; 食品・栄養・アレルギーに関するパネル)は、タキシフォリンについて、追加の安全性評価を行うよう要請された。この追加の安全性評価では、申請の当初は申請者の要請により、申請された製品の消費対象から除外されていた集団グループ(すなわち乳児、幼い子供、9歳までの子供)も考慮に入れられ、またタキシフォリンの用途をヨーグルトから日常の広範な製品まで拡大することも視野に入れられている。2016年にEFSAのNDAパネルは、EC規則No 258/97に従って、ノンアルコール飲料、ヨーグルト、チョコレート菓子、食品サプリメントの新規食品成分として、シベリアカラマツ(Larix gmelinii)由来のタキシフォリン高含有抽出物の安全性に関する科学的意見を採択した。今回の要請に応じるために、全ての集団グループ(今回は9歳未満の子供も含む)を検討し、申請者が目的としている製品分野、およびそれらについて申請者が計画しているタキシフォリンの最大使用量を考慮して、摂取評価を行った。一般集団の全ての年齢グループについて、摂取量が推算された。全ての集団グループの中で、一日当たり最も多い95パーセンタイル摂取量は、幼児について導出された0.94および1.54 mg/kg体重であった。亜慢性試験の無毒性量(NOAEL)が1,500 mg/kg体重であることに注目すると、 体重70 kgの成人では、強化食品と食品サプリメントから複合的に摂取することを想定した場合、MOEは約772となる。青年では、平均体重の規定値61 kgを用いると、複合摂取(食品サプリメントのからの100 mgを含む)の場合のMOEは約627になる。NDAパネルは、これらのMOEsは十分な値であると判断した。NDAパネルは、シベリアカラマツ由来の新規食品、タキシフォリン高含有抽出物は、提示された使用条件で安全だと結論した。

  • 新規食品としての合成L-エルゴチオネインの安全性に関する声明—乳幼児、妊婦、および授乳中の女性における補助食品を介した暴露量および安全性評価

Statement on the safety of synthetic L-ergothioneine as a novel food – supplementary dietary exposure and safety assessment for infants and young children, pregnant and breastfeeding women
EFSA Journal 2017;15(11):5060 [9 pp.]. 13 November 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5060
欧州委員会の要請を受けて、EFSAのNDAパネル(Panel on Dietetic Products, Nutritionand Allergies; 食品・栄養・アレルギーに関するパネル)は、最初の申請で申請者に除外されていた集団グループ、すなわち乳児と幼い子供(すなわち幼児)そして妊婦と授乳中の女性について、合成L-エルゴチオネインへの補助食品を介した暴露量を提示し、安全性評価を行うよう要請された。そこで、これらの集団グループについて推定摂取量が算出され、さらに、基本的な食事に加えてこの新規食品を摂取した場合のL-エルゴチオネインの推定最大一日摂取量が次のように算出された。乳児では、2.82 mg/kg体重/日、幼児では3.39 mg/kg体重/日、妊婦と授乳中の女性を含む成人女性では、1.31 mg/kg体重/日。毒性データ全般に基づくと、最初の評価において設定された無毒性量(NOAEL)800 mg/kg体重/日は、妊婦と授乳中の女性、幼い子供(すなわち幼児)と乳児にも適合していると考えられる。これらに基づくと、暴露マージン(すなわちNOAELと最大予想一日摂取量との割合)は、乳児で284、幼い子供で236、妊婦と授乳中の女性で610である。これらの暴露マージンは十分大きいとみなされる。NDAパネルは、新規食品合成L-エルゴチオネインは、提示された使用と使用量で、乳児、幼い子供(すなわち幼児)、妊婦および授乳中の女性に対し、安全だと結論した。

Modification of the existing maximum residue level for propamocarb in chards/beet leaves
EFSA Journal 2017;15(11):5055 [22 pp.]. 10 November 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5055
プロパモカルブのMRL改訂申請の審査。申請の再提出されたデータは改訂MRLの導出根拠として十分であった。リスク評価の結果、企図される農作業においてプロパモカルブが用される限り、残留物が短期および長期摂取されて消費者の健康に対してリスクを生じることはありそうもないと考えられた。

  • ピリダベンの既存MRLsのレビュー

Review of the existing maximum residue levels for pyridaben according to Article 12 of Regulation (EC) No 396/2005
EFSA Journal 2017;15(11):5054 [38 pp.]. 10 November 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5054
ピリダベンは、現行では農薬の有効成分として、欧州レベルでMRLが確立されている。EFSA(European Food Safety Authority; 欧州食品安全機関)は、加盟国で出された欧州認可の際の結論などを再検討した。得られたデータの評価に基づいてMRLの提示は行われており、消費者におけるリスクの評価も実施されている。消費者に対する明確なリスクは確認されなかったが、規制の枠組みの中で必要とされるデータが欠落していた。したがって、上記の消費者におけるリスクの評価は示唆的なものに過ぎないとみなされ、EFSAが導出したMRLのいくつかは、さらにリスク管理担当部門によるさらなる検討が必要である。

Re-evaluation of mono- and di-glycerides of fatty acids (E 471) as food additives
EFSA Journal 2017;15(11):5045 [43 pp.]. 10 November 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5045
EFSAのNDAパネル(Panel on Dietetic Products, Nutritionand Allergies; 食品・栄養・アレルギーに関するパネル)は、食品添加物として使用される際の脂肪酸のモノ-およびジグリセリド(E 471)の安全性を再評価し、科学的見解を提出した。NDAパネルは、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドは、消化管のリパーゼによって加水分解され、グリセロールと脂肪酸の生成に至る可能性が非常に高いとの見解に達した。また、グリセロール(E 422)と脂肪酸(E 570)は再評価されており、食品添加物としての使用に安全上の懸念はないと結論づけた。E 471の再評価のために、不飽和脂肪酸を多く含むモノ-およびジグリセリドの毒性試験データが考慮された。短期試験、亜慢性試験、慢性試験、生殖毒性試験、発達毒性試験において、有害影響の証拠の報告は認められなかった。発がん性やイニシエーション/プロモーション試験におけるプロモーション作用の報告も認められなかった。 得られた試験データからは、遺伝毒性の懸念も生じなかった。E 471が認可されている84の食品分類のうちの31に基づいて、詳細な(暴露)推定値が求められている。パネルは、推奨一日脂肪摂取量の内E 471が寄与しているのは平均して0.8〜3.5%だけであることに留意した。NDAパネルは、EU委員会規則No 257/2010の下で再評価される特定の食品添加物のリスク評価の概念的枠組みで示されている手法に基づき、また上述の考察を検討した結果、食品添加物としての脂肪酸のモノ-およびジグリセリド(E 471)については、許容一日摂取量(ADI)を数値化する必要はなく、報告されている用途や使用量で安全上の懸念はないと結論づけた。ただし、NDAパネルは、E 471のEU規格を一部改訂するよう助言した。