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ネオニコチノイド系農薬についての最新情報

Update on the Neonicotinoid Pesticides
19 December 2017
https://www.canada.ca/en/health-canada/services/consumer-product-safety/reports-publications/pesticides-pest-management/fact-sheets-other-resources/update-neonicotinoid-pesticides.html
◇はじめに
この文書は、Health Canada (カナダ保健省)のPMRA(Pest Management Regulatory Agency: 病害虫管理規制局)が実施中のネオニコチノイド系殺虫剤についての評価(前回の更新は2017年7月29日*1)の進捗状況を報告するものである。
◇背景
ミツバチなどの授粉媒介動物が減少しており、生息場所やエサの減少、病気、農薬への暴露など、複数の要因が組み合わさって影響しているとみられている。
幅広く使用されているネオニコチノイド系農薬への暴露も、ミツバチの死亡事例に関わっている可能性が示唆されている。主要なネオニコチノイド系農薬は、イミダクロプリド、クロチアニジンおよびチアメトキサムである。
2012年の初めから、PMRAはミツバチの死亡事例の報告を数多く受けるようになった。トウモロコシや大豆の種を真空種播き機で播く際に、ネオニコチノイド系農薬がホコリとなって暴露が生じる可能性が示唆された。そこで、2014年の種播き期が始まる前に、PMRAは多くの利害関係者と共同で、リスク低減策(ホコリを低減する潤滑剤の使用など)がカナダ中の栽培農家に行き渡るための活動を行った。その結果として、2014年〜2017年の種播き期におけるミツバチの死亡事例は、2013年に比べ70%〜92%低減したと報告されている。
PMRAは、2018年中に2012年〜2016年にかけてのミツバチの死亡事例(詳細はウェブサイトで参照可能*2)の包括的な分析を完了することになっている。
◇授粉媒介動物への影響評価
イミダクロプリド、クロチアニジンおよびチアメトキサムについての評価結果は、2012年に公表されている*3。2017年1月には、授粉媒介動物における影響評価の最新情報が公表されている*4。粉媒介動物における影響評価は、PMRA、EPA (United States Environmental Protection Agency: 米国環境保護庁)およびCalifornia Department of Pesticide Regulation (カリフォルニア州農薬規制部)が共同で実施し、まもなく完了する。
◇授粉媒介動物への影響評価の現況
PMRAは最近、クロチアニジンとチアメトキサムに関する再評価見解案および登録承認決定案を公表した。パブリックコメントの募集(実施中, 90日間)・対応の時間を得るため、これら二つの農薬登録承認期間は延長されるが、PMRAはこれら2剤の農薬としての使用を段階的に禁止することを提案する。授粉媒介動物におけるリスクが許容範囲内であることが示されない場合、他の用途においても使用を制限することが推奨される
イミダクロプリド―健康および環境への影響評価
イミダクロプリドのヒトの健康への影響評価については、2016年11月23日に文書*5が公表されている。標準的な使用方法の場合、いずれの暴露経路によってもヒトの健康に懸念は認められなかった。子供のような感受性の高い集団をはじめ、ヒトの健康に許容しがたいリスクを生じることは示唆されなかった。魚や昆虫などをはじめとす環境におけるリスクの評価結果もPRVD2016-20に収載されている。それによれば、カナダでは水生昆虫に有害な濃度のイミダクロプリドが水生環境に検出されている。水生昆虫は生態系にとって重要であり、魚や鳥などの動物の食糧源であることから、PRMAは3〜5年かけて、イミダクロプリドの農事使用を段階的に禁止し、屋外における使用もその大半を段階的に禁止していくことを提案した。
この評価結果およびリスク管理案について120日間のパブリックコメント募集が行われ、2017年3月の終了時までに約46,000件の意見が提示された。TPMRAはこれらの意見の検討を行っている。また、カナダ農務・農産食品省は、連邦および地方の政府機関、生産者グループ、独立した研究者、非政府組織および製造業者らによるフォーラムの運営を後押しし、ネオニコチノイド系農薬の農事使用についての調査を推進した。代替的なリスク管理戦略の審査、補足的な水質モニタリングデータの収集、イミダクロプリドに代わる有望な害虫管理製品の模索などが行われた。この活動に関する情報は、2017年10月31日にPMRAに正式に提出されており、パブリックコメント募集期間に提示された情報と共に熟考され、2018年後半にはカナダでイミダクロプリドを使い続けることの是非についての決断が下される。
◇クロチアニジンとチアメトキサム―水生生物におけるリスク評価
クロチアニジンとチアメトキサムも、カナダの集約農業地帯の水系で、イミダクロプリドと同程度の濃度で頻繁に検出されることが確認された。イミダクロプリドと毒性が同等であることを考慮して、PMRAは2016年11月、クロチアニジンとチアメトキサムの水系非脊椎動物におけるリスクについて重点的にレビュー*6を行った。それ以降、レビューに関連するネオニコチノイド系農薬の環境データが登録者および地方政府機関から提出されている。2017年10月、PMRAはカナダ各地のネオニコチノイド系農薬を使用する農業地域から追加の水質検査データを大量に受領し、複数の利害関係者で構成される作業グループが開発したネオニコチノイド系農薬への暴露低減策についての協議内容文書も提出を受けた。これらのデータも、他の入手した公表化学文献からの情報と合わせ、2018年中ごろにクロチアニジンとチアメトキサムに関する決定事項の案が公表される前に検討される。決定事項の案などの文書は、パブリックコメント募集に供される。
ネオニコチノイド類の評価に関する文書公開スケジュール(表)
イミダクロプリド クロチアニジン チアメトキサム
科学的レビューの成果と授粉媒介動物を保護するための対策案の成果についてのパブリックコメント 2018年3月 2017年12月 2017年12月
最終的な科学的レビューと授粉媒介動物保護策に関する最終的な決定事項 2018年12月 2018年12月 2018年12月
科学的レビューの成果と水生生物を保護するための対策案の成果についてのパブリックコメント − 2018年7月 2018年7月
水生生物保護策に関する最終的な決定事項 2018年12月 2020年1月 2020年1月