食品安全情報blog過去記事

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10代の若者のほとんどが不妊と関連があるとされる化学物質に暴露されている

Most teenagers exposed to chemical allegedly linked to infertility
February 5 2018
https://www.nhs.uk/news/lifestyle-and-exercise/most-teenagers-exposed-chemical-allegedly-linked-infertility/
英国のウェブ新聞サイトMail Onlineは次のように報じている。「乳がん前立腺がんに関係がある化学物質が、10代の若者の86%から検出される。」
この記事の元となった研究では、多くのプラスチック製品で検出されるビスフェノールA (BPA)に焦点が当てられている。
BPAは多くの人々の尿中に検出され、いくつかの研究では、BPAがホルモンバランスを攪乱する可能性があると懸念が表明されている。
解説者の中には、BPAへの暴露が先進国においてここ40年間でみられた平均精子数減少の原因の一部となっている可能性があると述べる人もいる。これについては2017年に取り挙げている(以下のウェブサイト参照)。
https://www.nhs.uk/news/pregnancy-and-child/western-sperm-counts-halved-in-last-40-years/
上述の記事の元となった研究では、イングランド南西部出身の17歳から19歳の94名の若者が被検者とされ、その86%の人の尿からBPAが検出された。
被検者と研究者らは、その後協力して食事ガイドラインを作成し、それに沿った食事を1週間続け、BPA暴露量を低減しようと試みた。
そうしたガイドラインに沿った食事でも、彼らの尿中BPAが変化することはなかった。
実際、被検者の数が少なく、イングランドの全ての10代の若者における値を反映しているとは言えない。
しかし、すでに我々が知っていること、すなわち研究者が指摘する「BPAが我々のフードチェーンに蔓延している」ということは、再確認されたように思われる。
研究者は、食品や飲料の包装にBPAの存在に関する表記を明確に施すべきだと述べている。
ただし、BPAへの現在の暴露量で実際に何らかの健康リスクが生じるのかどうかは不明確なままである。
欧州および英国の食品基準庁はともに、特筆すべき健康リスクは生じないと述べている。