食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 新しい携帯電話と健康の研究は不確実性を無くさない

Scienceニュース
New cellphone and health studies don’t eliminate uncertainty
By Charles SchmidtFeb. 3, 2018 ,
http://www.sciencemag.org/news/2018/02/new-cellphone-and-health-studies-don-t-eliminate-uncertainty
携帯電話の電波がマウスとラットの健康にどう影響するのかについての長く待たれていた研究が発表された。これらは科学者にたくさんのことを考えさせるが、何十年にもわたるこの問題をとりまく不確実性が解決することはないだろう。
また大量の、ところどころ困惑する結果は、米国の機関やその他の団体にこのどこにでもある機器の規制のしかたや健康リスクについての考えを直ちに変えることはないだろう。
(以下略)

  • 水族館での事故がこのザリガニのDNAが世界を征服することにつながった

An aquarium accident may have given this crayfish the DNA to take over the world
Scienceニュース
By Elizabeth PennisiFeb. 5, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/02/aquarium-accident-may-have-given-crayfish-dna-take-over-world
モンスター映画の筋書きのようだ:無性的に増殖する10本足の突然変異体が、ドイツで閉じこめられていたところから逃げ出し、静かに世界に広がりはじめた。20年の間に、この貪欲な動物は欧州からアフリカに拡散し、生態系を破壊し固有種を脅かしている。
これが、1995年頃に水槽での生殖の事故で創られたと疑われている侵入性の淡水種であるマーブル模様のザリガニの奇妙だが本当の物語である。この甲殻類のゲノムの新しい解析は、このありそうにない起源を支持し、どうしてこの動物がその後拡散して新しい環境に適応したのかを説明するのに役立つかもしれない。
このザリガニの普通でない進化はまたより悪名高いクローンモンスター、がん、への取組戦略も示唆する可能性がある。
このザリガニは受精しない卵から全てが雌のクローンとして生殖する。ドイツでの水族館の取引のためにフロリダから輸入した二つのザリガニが交配して生まれたと考えられている。Nature Ecology & Evolution

  • フリントの恐ろしいレジオネラ流行は給水の塩素濃度が低かったためだった?

Scienceニュース
Was Flint’s deadly Legionnaires’ epidemic caused by low chlorine levels in the water supply?
By David ShultzFeb. 5, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/02/was-flint-s-deadly-legionnaires-epidemic-caused-low-chlorine-levels-water-supply
2014年から2017年の間、ミシガン州フリントの数千人の子ども達が危険な量の鉛に暴露された。当局が水を近くの川から引き始めたためである。しかし危険はそれだけではなかった。住人は米国史で三番目に大きいレジオネラのアウトブレイクにも苦しんだ。少なくとも87人が感染し12人が死亡した。今回、新しいデータはこの流行の引き金になったのが塩素濃度の低下であるという考えを支持する。
この研究に参加していないカナダエドモントンアルバータ大学環境微生物学者Nicholas Ashboltは「質の高い研究である」という。彼はこれが「多分初めて」塩素濃度とレジオネラ病の関連についての明確な根拠を示したものだという。しかし全ての専門家が関連がそれほど単純だとは確信していない。
(以下略)

  • 熱いお茶はがんの原因ではない−IARCの信念にも関わらず、けっしてそうではない

Hot Tea Does Not Cause Cancer - Despite IARC's Belief, It Never Did
By Chuck Dinerstein — February 5, 2018
https://www.acsh.org/news/2018/02/05/hot-tea-does-not-cause-cancer-despite-iarcs-belief-it-never-did-12523
2016年6月にIARCがコーヒーについて発表したときにも議論した。今回の見出し「熱いお茶を飲むことは食道がんリスクの5倍増加と関連」は極めて誤解を招くものである。
この中国での前向き研究では、食道がんもお茶を飲むことも両方頻度が高い。456155人を調査し、お茶の温度は自己申告で室温から熱い、火傷するほど熱い、までいろいろである。実際の温度は測定されていない。
この図が知見のまとめになっている(図)
左上が熱いお茶だけ飲む人のベースラインの食道がん発症率で、他の図は喫煙や飲酒で劇的に増加することを示す。研究者の結論はこうである:
過剰量の飲酒と喫煙がなければ、毎日お茶を飲むことは、お茶の温度やその他の消費の数値に関わらず、食道がんリスクとは関連がなかった
そして酒やタバコの使用者には火傷するような熱いお茶を飲むことを減らした方がいいと示唆している。実際にはお茶の温度は測定していないので役にたたない。
一緒に出されたエディトリアルで温度は自己申告であること、評価はたった一回で多分エラーがある、と注記している
ところでIARCは熱い飲料で繰り返し火傷をすることががんを促進すると信じている。
ヒトでの根拠は限られているが動物実験がある。ラットに0.75ml/kgの168F(75℃くらい)の熱水を、発がん物質と一緒に直接食道に入れた。これは非常に残忍な実験で火傷で最初の2週間で15%が死んだ。生き残った動物は食道に病変ができた。
0.75ml/kgの168Fの熱水、というのは熱いお茶を飲む現実と同じだろうか?
70年代の研究で168Fのお茶20mlをヒトが飲むと食道での温度が118F(48℃くらい)になる。70kgのヒトに換算すると、一度に3オンス(90mL)の176F(80℃)の液体を飲みこむことになる。140F(60℃)の水で5秒で火傷することを考えると、こんなことが現実的だろうか?

  • GOOP Healthにて:健康帝国スタイル

In GOOP Health: Wellness Panem style
Posted by Dr. Jen Gunter ⋅ January 28, 2018 ⋅ 123 Comments
https://drjengunter.wordpress.com/2018/01/28/in-goop-health-wellness-panem-style/
私はニューヨークでのGOOP Healthイベントに行ってきた。最初は参加を認められないのではと心配したが、調べたところ彼らは登録業務を第三者に委託していたので多分大丈夫だろうと思った。彼らは私をグルテンや牛乳やマクドナルドの化合物をあわせたものより憎んでいる。実名で登録してGOOPで働いているたくさんの人と話すことができた。Gwyneth(GP)その人とも6フィート以内にまで近づいた。
このイベントでは健康によいとして無数の美容法が売られていた。顔用のカッピングや手袋無しで行われるビタミンB12注射、普通のマニキュアと同じようなイヤな臭いのする「毒のない」マニキュア、オペラ座の怪人のつけるようなマスク。恐ろしく味気ないチアプリンと焼きすぎの卵の乗ったアボカドのトーストにお風呂の水のような味のドリンク。それから活性炭入りのレモネードが「毒素」を除くと称して販売されていた。私は口から摂る活性炭に意味はないし別に中毒でもないと言ったが、売っている人はそんなことはおかまいなしだった。GOOP Healthでは事実はどうでも良く、言葉に意味はない。
午前10時からGwynethのイベントが始まり、彼女は美しかったが年相応で別にGOOPスキンケア製品に魔法の効果はなさそうだった。雑誌に載っている20代のような輝く肌はフォトショップの力に過ぎない。
瞑想の時間は退屈で、ファインディングニモに出てくるドリーが鯨に話しかけるときのような音楽が流れた。それからいくつものセッションが続き、死は現実ではないと教わり、スピリチュアルセッションがあり死んで天国を見たという人が出てくる。そしてサプリメント業者が出てきて食事について語りワクチンが有害だという。誰もが自分の本を買えという。ランチの休憩時間にはGPと一緒にランチをする権利が2000ドル以上で販売される。昼食後はセラピーセッションでAIDS否定論者などが登場する。チャクラや輪廻という言葉が飛び交う。
私はこんなつまらない会議に参加したことはこれまでなかった。なにひとつ建設的なものはなかった。GPのカルトでは死はかっこよく愛が全てを癒すとされる。病気になるのは愛が足りないからで全ては神や自然の計画である
(いろいろ略。コメント多数。ファッション雑誌の女性読者が主なターゲットだけれど、おしゃれ、ではすまないところまで連れて行かれるらしい)