食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

意見等

  • ハクサイに対するメタザクロールのMRL改訂

Modification of the existing maximum residue level for metazachlor in Chinese cabbage
EFSA Journal 2018;16(1):5127 [20 pp.]. 5 January 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5127
BASF SE社の申請を受け、メタザクロールの最大残留基準値(MRL)を0.2 mg/kgから0.6 mg/kgに引き上げることを、評価担当加盟国(EMS)であるフランスが提案した。
EFSAは、ハクサイに対して提案される方法で使用する限りにおいては、消費者の暴露量が毒性参照値を超えることはなく、消費者の健康リスクを引き起こす可能性は低いと結論づけた。

Refined exposure assessment of sucrose esters of fatty acids (E 473) from its use as a food additive
EFSA Journal 2018;16(1):5087 [22 pp.]. 5 January 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5087
EFSAの食品添加物および食品に添加される栄養源に関するパネル(ANSパネル)は、ショ糖脂肪酸エステル(E 473)を食品添加物として使用する際の暴露評価に関し、科学的意見を提出した。ANSパネルはショ糖脂肪酸エステル(E 473)の安全性について過去に出された科学的意見を承認している。2010年の意見では、ANSパネルは得られたデータに基づいて、ショ糖脂肪酸エステル(E 473)をさらに(食品添加物として)用いた場合、2004年にEFSAが設定したショ糖脂肪酸エステル(E 473)とスクログリセリド(E 474)の許容一日摂取量(ADI)である40 mg/kg体重/日を超える暴露量となる恐れがあると結論づけた。2012年には、生果物の表面処理に使われる際のショ糖脂肪酸エステルの量とその際に果物中に生じる残留物の濃度を示す新データがEFSAに提出されたため、ショ糖脂肪酸エステル(E 473)の暴露評価が改訂された。この評価によっても、2010年に示された値よりかなり低いが、推定暴露量は、ADIを超えるという結果になった。現行の暴露評価は、食品添加物の再評価に使用される最新の方法論に基づき、2014年のデータ提供呼びかけによって入手した使用量の報告値も利用して導出されている。摂取量のデータは、それ以降の新しいものも入手されている。ANSパネルは、ショ糖脂肪酸エステル(E 473)の最新の暴露推定量は、多くの年齢集団、特に幼児と子供においてADIの40 mg/kg体重/日を超えていることを指摘した。また、データが示されていない24の食品部門で本当にショ糖脂肪酸エステル(E 473)が使用されていない場合、これらの推定量はショ糖脂肪酸エステル(E 473)の実際の暴露量より高くなっている可能性が非常に高いことも指摘した。

  • 食品と接触する機能性材料に使用される活性物質セレンナノ粒子の安全性評価

Safety assessment of the active substance selenium nanoparticles, for use in active food contact materials
EFSA Journal 2018;16(1):5115 [7 pp.]. 12 January 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5115
食品と接触する物質・酵素・香料および加工助剤に関するEFSAのパネル(CEF)は、この科学的意見において、抗酸化物質としての使用が企図されているセレンナノ粒子(FCM No 1070)の安全性評価について述べる。セレンナノ粒子は、積層フィルムの接着性中間層に組み入れられ、その外側はポリエチレンテレフタレート(PET)の層で、(食品と接触する)内側がポリオレフィンの層となっている。得られた機能性材料は、酸化され易いあらゆる種類の食品について、接触して使用されることが想定されている。セレンの比総溶出量は、0.002 mg/dm2でセレンナノ粒子を含む積層材ポーチを、3%の酢酸と20%、50%ないしは95%のエタノールとの溶液で満たし、10日間60°Cに保って測定した。いずれの測定においても、セレンの溶出は検出されなかった。ポリマーにおけるナノ粒子の拡散特性に関する現在の知見も考慮に入れ、CEFパネルは、セレンナノ粒子が積層フィルムに使用されていて、食品との接触状況がどのような場合であっても、いずれの種類の食品からも、食品と接触するポリオレフィン層により離れた状態となるのであれば、消費者の安全上の懸念は生じないと結論づけた。

  • 食品と接触する物質に使用するイソブタンの安全性評価

Safety assessment of the substance isobutane, for use in food contact materials
EFSA Journal 2018;16(1):5116 [7 pp.]. 12 January 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5116
イソブタンを、食品の包装に使用される発泡スチロール(EPS)の製造において、最大4.5%で発泡剤として使用することについての安全性評価。得られるEPSは、果物、野菜、肉、魚、チーズなどの食品を室温以下で包装することに使用することが想定されている。イソブタンは、欧州委員会規則No 1333/2008により、フライパン用植物油スプレー(業務用のみ)や水性乳濁液スプレーにおいて、噴射ガスとしての目的に限り適量使用することが認可されている食品添加物(E 943b)である。イソブタンを食品添加物として使用する場合の純度の要件は、欧州委員会規則No 231/2012に記載されている。この物質は、室温でガス状である。高純度で得られる飽和炭化水素で、EPS材料や製品の製造工程の処理条件下では、化学反応を起こさないとみられている。トレー状製品からのイソブタンの溶出は、20°Cで10日間の場合、食品1 kg当たり0.2〜0.4 mgの範囲であるというデータが得られている。想定される使用状況における暴露量は、溶出データに基づと、かなり低いと推定される。遺伝毒性の警告がなく、遺伝毒性の危惧がなく、数千mg/m3の濃度による反復暴露でも無毒性濃度(NOAEC)が定められないほど非常に毒性が低いことを考慮すると、発泡剤としてイソブタンを使用しても、食品から起こりうる暴露で安全上の懸念は生じないとみなされる。

  • 3-モノクロロプロパンジオールとその脂肪酸エステルに関するリスク評価の改訂

Update of the risk assessment on 3-monochloropropane diol and its fatty acid esters
EFSA Journal 2018;16(1):5083 [48 pp.]. 10 January 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5083
フードチェーンにおける汚染物質に関するパネル(CONTAMパネル)は、2016年に発表された食品中の3-モノクロロプロパンジオール(3-MCPD)とその脂肪酸エステルのリスク評価を改訂した。これは、許容一日摂取量(TDI)に関し、国連食糧農業機関/世界保健機関合同食品添加物および汚染物質専門家委員会(JECFA)の2017年の報告で示された設定過程と、科学的相違が認められたことを考慮したものである。今回の改訂では、リスク評価においてベンチマーク用量(BMD)アプローチを用いることに関するEFSAの科学委員会の最新ガイダンスに準拠して用量−反応分析が行われ、また、発生・発達毒性と生殖毒性について得られたデータのレビューも含まれている。このレビュー結果から、ラットを1 mg/kg体重/日を超える用量で3-MCPDに短期暴露すると、雄に生殖能力低下を招く精子の運動性低下を引き起こす可能性があることが示された。より長期間暴露された場合は、睾丸と精巣上体の精子数の減少と、組織病理学的変化が認められた。腎臓尿細管過形成の発生率の増加も認められ、モデル平均化によるBMD分析の結果、雄のラットのBMDL10として0.20 mg/kg体重/日という値が得られ、これが腎臓への影響に関する新しい参照基準(RP)として選択された。雄の生殖能力への影響に関しては、最も鋭敏な評価項目として精子の運動性減少が選ばれ、0.44 mg/kg体重/日というBMDL05が算出された。腎臓への影響に関するRPから、3-MCPDとその脂肪酸エステルについて、グループTDIの改訂値として2 µg/kg体重/日が導出され、この値で、雄の生殖能力への影響に関しても保護できると判断された。設定された2 µg/kg体重/日というTDIを超過することは、成人集団においては予測されない。TDIよりわずかに超過する状況が、特に粉ミルクだけを与えられている乳児のシナリオなど、幼い年齢集団が多量に摂取する場合に認められた。

  • 確証的データを踏まえたフルオピラムの農薬リスク評価に関する加盟国、申請者、EFSAの意見募集結果

Outcome of the consultation with Member States, the applicant and EFSA on the pesticide risk assessment for fluopyram in light of confirmatory data
9 January 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/1359e
フルオピラムは、2014年2月1日に認可されているが、申請者には以下の2点についてさらに試験データを提出することが求められていた。
(1) 虫を食べる鳥への長期的なリスク
(2) 哺乳類以外の非対象脊椎動物において内分泌攪乱影響を引き起こす可能性
2016年1月に、申請者であるBayer社は、追加データを提出し、報告担当加盟国(RMS)であるドイツが評価を行い、追補文書を作成した。RMSは、2017年8月25日に追補文書を加盟国、申請者、EFSAに配布し、意見を求めた。RMSは、全ての意見をまとめ、2017年11月30日にEFSAに提出した。EFSAはこれに科学的見地から加筆を行った。
結論として、虫を食べる鳥への長期的なリスクに関するデータは不十分で、以前に確認されているリスク、すなわちイチゴやトマトに使用した場合における鳥への高いリスクが解消されていない。また、哺乳類以外の非対象脊椎動物において内分泌攪乱影響を引き起こす可能性については、データが提示されていない。