食品安全情報blog過去記事

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論文

  • ミツバチの種類が多いほどヒトにとって良い、Rutgersの主導する研究が発見

The more kinds of bees, the better for humans, Rutgers-led study finds
15-Feb-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-02/ru-tmk021418.php
2つの州48農場での研究は種が豊富であることが授粉が多いことを示す
Scienceに発表。

  • 研究者らが砂糖業界が脂肪を非難するようしむけたという主張に疑問

Researchers challenge claims that sugar industry shifted blame to fat
15-Feb-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-02/cums-rcc021218.php
1960年代に、砂糖の健康リスクから政策を遠ざけるために砂糖業界がお金を出した研究は不正に科学を曲げたのか?そうではない、とColumbia大学とCity University of New Yorkの歴史専門家が書く
近年、学術論文や一般向け新聞などで、1960年代に砂糖業界が科学者にお金を払って砂糖と心疾患の関連を小さく見せ、その代わりに脂肪の危険性を強調したという主張が注目されている。Scienceに発表された新しい記事では歴史研究者らが根拠を注意深く吟味してこれらの主張に疑問を投じる。このような「砂糖の陰謀」には根拠がない
1960年代、ハーバードの栄養科学者達が、バターのような飽和脂肪の多い食品を食べることはコレステロール濃度を上げることを示す研究を完了した。それはこの研究に資金を提供した乳業業界をがっかりさせた。この研究では砂糖についてもしらべていたがほとんど影響は見られなかった。砂糖業界は後にこの知見について知り、ハーバードの科学者に大金を払って文献レビューと彼らの理論の説明を依頼した。このハーバードの仕事は当時優勢だった栄養学の枠組みで行われたもので、その中では砂糖はほとんど何の役割も与えられていない。米国心臓協会と米国政府は、当時最先端だった代謝と疫学の研究に基づく低脂肪理論を受け容れた。砂糖が心疾患の原因であるという説には実証研究も専門家の支持も少なかった。また1950-60年代は現在同様に食品業界との共同研究は盛んだった。脂肪仮説の提唱者も砂糖理論の支持者も両方の関心のある企業から資金提供を受けている。ハーバードの著者らは砂糖業界からの資金提供を明示していないが、当時はそのような開示が要求されていなかった。さらに全国乳業協会も食事脂肪理論を強化した重要な研究に資金提供していて、砂糖業界の影響力に疑問を投げかける。
著者らは「民間からの資金提供があったら反射的に科学者や研究者は悪者だとするのは間違いであると考える」と書く。「我々の解析は科学における陰謀論が如何に過去の同時期におこったことを歪めて研究をとりまく真の不確実性を見えなくし、良い根拠に基づいた政策を作ろうとする努力を妨げるのかを描き出す」
(この陰謀論は脂肪悪者説を信じて宣伝してきたのに旗色が悪くなってきた研究者らが素直に自分たちの間違いをごめんなさいできなくて他者のせいにしたがっているように見える。ちなみに低脂肪が良いという説に便乗して和食が良いと言っていたのだが本家の低脂肪推奨が否定されているのに和食推進派は知らんぷりなのはそれはそれでどうなんだ)
Was there ever really a “sugar conspiracy”?
David Merritt Johns, Gerald M. Oppenheimer
Science 16 Feb 2018:Vol. 359, Issue 6377, pp. 747-750
http://science.sciencemag.org/content/359/6377/747.full

New guideline warns pain benefits of medical cannabis overstated
15-Feb-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-02/uoaf-ngw021418.php
Canadian Family Physicianに発表された、プライマリーケアにおける医療用大麻の処方ガイドラインでは、医療用大麻について喧伝されている多くの病気への利益にはそれを支持する根拠が限定的で、利益が存在するかどうか、害を上回るかどうかのバランスをとる必要があるという。「一部の人たちは医療用大麻に熱狂しているが、質の高い研究は伴っていない」とこのガイドラインを主導したアルバータ大学のMike Allanはいう

  • 子どものピーナッツアレルギーリスクを下げる−The Nurse Practitionerが更新

Reducing peanut allergy risks in children -- The Nurse Practitioner presents update
15-Feb-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-02/wkh-rpa021518.php
The Nurse Practitionerの3月号に発表された記事によると、新しい予防と治療法で子どものピーナッツアレルギーによる重大な健康リスクを減らすことができる。
(こちらでも生後4-6か月での早期導入を採用)

New report: Labs differ widely in BRCA testing protocols
15-Feb-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-02/m-nrl021518.php
遺伝子検査を行っているラボの国際的調査によると、BRCA1と BRCA2の検査は既に20年も販売されているにも関わらず、世界の方法や水準は驚くほどばらばらであった。世界中の86の遺伝子検査ラボを調べた結果。このことは患者が正確さの異なる遺伝子検査の結果を受け取っていることを意味する。一部の方法ではがんリスクについて重要な情報が含まれない可能性がある。NPJ Genomic Medicineに発表。

  • 塗料、殺虫剤、その他消費者製品が今や車同様の大気汚染源

Paints, pesticides, and other consumer products now add as much to air pollution as cars
By Roni DenglerFeb. 15, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/02/paints-pesticides-and-other-consumer-products-now-add-much-air-pollution-cars
AAAS年次会合で発表された新しい研究の結論は、最早車が都市部の大気汚染の最大原因ではない、である。新しい仕事では研究者らが揮発性有機化合物(VOCs)を調べた。これまで主な大気汚染源は車だと考えられてきたが、新しい研究では農薬、コーティング剤、インク、接着剤、香水のようなパーソナルケア用品などが車の2倍以上の排出だった。ほとんどの人はこうしたVOC発生製品を屋内で使うため、戸外との比較もしている。屋内は大気の7倍の濃度だった。