食品安全情報blog過去記事

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意見

  • 木の実、仁果類、モモ、ジャガイモにおけるホセチルアルミニウムの既存MRLs改訂

Modification of the existing maximum residue levels for fosetyl-Al in tree nuts, pome fruit, peach and potato
EFSA Journal 2018;16(2):5161 [36 pp.]. 8 February 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5161
EC規則No 396/2005条項6に従い、Bayer CropScience Europe社およびOxon Italia S.p.A.社は、ホセチルアルミニウムを南欧(SEU)において目的に沿って使用した実績から、モモとジャガイモにおけるホセチルの既存最大残留基準(MRLs)を改訂する要請を、それぞれスペインないしはイタリアの国立管轄機関に提出した。また、Adama Agriculture B.V.社、Fitosanitarios Bajo Riesgo AIE社、およびAlmond Board of California社は、有効成分ホスホン酸カリウムの使用目的の承認/使用の認可を求めて、仁果類、モモ、木の実(ココナッツを除く)におけるホセチルアルミニウムのMRLsの改訂を、フランスの国立管轄機関にそれぞれ申請した。申請を裏付けるために提出されたデータは、検討対象の全ての作物において、MRL案を導出するのに十分であると判断された。A検討対象の植物体におけるホセチルアルミニウムやホスホン酸の残留物を管理できる適切で実用的な分析手段が利用可能となっている。EFSAは、ジャガイモについて提案されたホセチルアルミニウムの使用法、仁果類とモモに提案されたホスホン酸カリウムの使用法、および米国で木の実に認可されているホスホン酸カリウムの使用法に基づくと、ホスホン酸やホスチルについて消費者の暴露量が毒性参照値を超える可能性は低く、そのため消費者の健康にリスクを生じる可能性は低いと結論付けた。ただし、このリスク評価は暫定的なものとみなされ、ホセチルの認可更新が行われた場合やホスホン酸カリウムおよびホスホン酸ジナトリウムの既存の使用態様についてのレビューが完了した場合には、速やかに更新されなければならない。

  • ヒトが直接あるいは食品成分として摂取するピーナッツおよびその加工製品における「総アフラトキシン」の最大濃度が4 µg/kgから10 µg/kgに増えることによる一般市民の健康への影響

Effect on public health of a possible increase of the maximum level for ‘aflatoxin total’ from 4 to 10 μg/kg in peanuts and processed products thereof, intended for direct human consumption or use as an ingredient in foodstuffs
EFSA-Q-2017-00698 [32 pp.]. 8 February 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5175
EFSAは、ピーナッツとその加工製品の「総アフラトキシン」(AFT; アフラトキシン B1、アフラトキシン B2、アフラトキシン G1、アフラトキシン G2の合計)の最大濃度(ML)が4 µg/kg から10 µg/kgに増えることが及ぼす一般市民の健康への影響に関し、科学的意見を出すよう求められた。アフラトキシンには遺伝毒性があり、ヒトに肝細胞がんを引き起こす。フードチェーンにおける汚染物質に関するパネル(CONTAMパネル)は、ピーナッツの試料8,085件とピーナッツバターの試料472件を分析した。60%以上が検出限界未満であった。ピーナッツでは、AFTの平均濃度は下限シナリオ(LB)の場合2.65 µg/kg、上限シナリオ(UB)の場合3.56 µg/kgで、最大濃度は1,429 µg/kgであった。ピーナッツバターでは、平均濃度は1.47/1.92 μg/kg (LB/UB)で、最大濃度は407 μg/kgであった。ピーナッツオイルでは、全てのデータが検出限界未満であり、MLの導出は不適であった。「現行のML」と「増加させた場合のML」のシナリオに関し、消費者の平均慢性暴露推定量だけを算出したところ、それぞれ0.04〜2.74 ng/kg体重/日と0.07〜4.28 ng/kg体重/日という値が得られた。暴露量が最も高く推算されたのは、青年とその他の子供の集団であった。CONTAMパネルは、国連食糧農業機関/世界保健機関合同食品添加物専門家委員会が推定した発がん性の強度を用いて、リスクの総合評価を行った。現行のMLシナリオでは、アフラトキシンが誘発するがんのリスクは、年間100,000人あたり0.001〜0.213人だった。増加させた後のMLシナリオでは、0.001〜0.333人だった。現行のMLシナリオでは毎年の発がん超過リスクが0.014人であるとすると、算出されたこれらのデータの比較から、消費者の集団によってはピーナッツおよびピーナッツバターによりリスクが高まることが示された。計算上、MLを増やすと発がんリスクがさらに1.6〜1.8倍増加することが示された。