食品安全情報blog過去記事

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食品中の汚染物質に関するCodexの委員会の総会がオランダのユトレヒトで3月12日〜16日にかけて開催される

Contaminants in Foods - Utrecht, The Netherlands 12-16 March
11/03/2018
http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1106485/
食品中の汚染物質に関するCodexの委員会(CCCF)の第12回目の総会の議長を務めるのは、オランダ農業・自然・食品安全省のWieke Tas博士である。
環境汚染物質に関するQ&A
Q: 議題は、工業による汚染物質および環境汚染物質から始まる。チョコレートにおける鉛やカドミウムの最大汚染濃度(MLs)の確立に関しては進捗状況はどのようになっているか?また、この任務が完了したら次の段階として何が必要となるのか?
A: 鉛とカドミウムでは話が変わってくる。なぜなら鉛は包装物から食品に入り込む性質のものであり、そのためそれを抑え込むにはより多くの方策があるからである。米国はこの件に長年取り組んできている。その取り組みは様々な領域で実施されてきており、そのため非常に良く計画されたものになっている。その結果、MLsが得られ、我々が簡素化したため、より分かりやすく利用しやすいものになっている。MLsの数がそれほど多くなく、そのためより実践的なものになっていると考えられる。もちろん、ココアの中のカドミウムの話になると全く異なってくる。カドミウム源は、様々な国の様々な土壌である。そして、全ての国が同じ方策によって、あるいは同じ確実度を持って、最終製品中のカドミウムレベルを低減させているわけではない。我々は、どのようにこの問題に対処したら良いか、およびどの製品についてのMLsが必要なのかについて議論を続けてきた。それは難しい議論であり、MLsを中間製品に対して設定すべきか最終製品に対して設定すべきかについて、様々な見解が存在した。我々は何が貿易で扱われ、どうしたら最も効果的にMLsを設定できるかについて考えなければならなかった。この件に関しては実に様々な意見があり、議論は非常に複雑なものになっている。
Q: CCCFでは、製品が安全であることと、製品が貿易に供されなければならないという2つの要件に関し、どのようにバランスを取るのか?
A: 常にそうしたバランスが取れる点を模索しなくてはならないが、チョコレートに関しては、人々の健康に懸念が生じないため、これは当てはまらない。我々は常に、CCCFが設定するMLsと、それが食品の利用性に対してどのような影響を及ぼすかについてバランスを取っている。低濃度値が得られる場合がたびたびあることも承知しているが、もしMLsを低くして、トウモロコシなどのある農作物の80%以上を拒絶しなくてはならないような事態となった場合には、人々が十分に食物を得ることができなくなるなど、別の大きな問題がもちろん生じる。
Q: CCCFは、とりわけ乳児向けミルクの精製油中のエステル類やグリシジルエステル類に関しても、実施規範を作成しているが。
A: 実施規範は非常に重要である。もちろんCCCFは、健康問題に関連して設けられる各種の濃度について各国に指針を示すためにMLsを必要としている。しかし一方、実に労作を要し、かつこれらのMLsを達成するための手段は、実施規範の作成なのである。実施規範は、実際に汚染を防止し汚染レベルを低減するためにどのような考えを取ることができるかについて方向性を与える。
Q: MLs固執するよりも実施規範を適用することの方が、より重要であるということか?
A: この場合はそう考える。だが、別の側面から見れば、いつもこの見解になるとは限らない。MLsを支持することで事態がうまくいく場合もある。実施規範を介してこれらのMLsをどのように達成するかが重要なのである。
毒素に関するQ&A
Q: もう1つの議題は毒素についてであるが、毒素とは何で、どのように生じるのか?
A: CCCFが議題に取り上げる毒素は、微生物とくにカビによって生成されるものであり、それらは穀物、ピーナッツ、ハーブおよびスパイスといった作物に影響を及ぼす。これらの作物は、生育時および保管時などにそうしたカビの被害を受けやすい。そうしたカビは、これらの作物で発育する過程で毒素を生成し、作物中に残留させる。ここでもやはり、他の化学物質におけるよりも実施規範の重要性が高い。なぜなら、作物の保管法および作物の生育の仕方が直接的にどの位多くのカビが発育するかに関係しているからである。
Q: CCCFが行っている活動があらゆる国で実施・利用可能であることは、どの程度重要なことなのか?
A: ある国で簡単に実施できることが別の国ではそう簡単ではないことである場合があり、これは議論に大きな影響を与える。オランダは議長として、これらの違いを評価しなくてはならないが、世界の他の地域で状況が異なる可能性がある場合、特定の汚染物質に関する濃度をどれくらいにすべきかを決めつけることはできない。
今後に関するQ&A
Q: 低濃度汚染物質に関する議題は、Codexが将来に向けて取り組もうとしている事案の1例であるが、これについてのCCCFの役割は何だと思うか?
A: この問題は将来に向けてかなり重要であると承知している。この40年間にわたってCCCFが達成してきたことを振り返ると、食事の重要部分を占める主要作物や主食などの、大きな問題から取り掛かっており、そうした問題の多くにはMLsや実施規範の作成を行いながら対処してきた。現在では、問題として取り上げられる農作物も変わってきており、CCCFは、例えばチョコレートやスパイスのような、食事に占める部分がより小さいものについて取り組むよう求められている。それから、低濃度で存在する化学物質をどのように扱うかなどの、新規の問題も浮上している。そうしたより細かい問題が議題に上るようになってきており、将来もこうした流れが続くと思われる。
Q: CCCFとCodexは概して新しい課題に向けてどのような準備をしているのか?
A: CCCFは全般的に、Codexにおいてより戦略的な対応が必要となる課題を取り挙げている。このような課題は、将来的な発展とより密接な関連性がある。経験上、CCCFにおける議論は、今日的な問題と非常に関連している。そして多くの国々に、そうした問題を議論し解決に向けて行動を起こすよう意欲を生じさせている。ただし、将来に関わり、より戦略的に取り組まなければならない問題を議論するのは非常に困難である。個人的には、こうした類の議論の門戸を非常に広く開けており、支援を惜しまない。 CCCFは、こうした問題にどのように取り組むかについて熟考しており、個人的には、他の会合でこうした問題を議論するように働きかけも行ってきた。
Q: 今回の総会では、キャッサバ、鉛についての追加調査、アフラトキシン、およびココアに含まれるカドミウムについての実施規範に関する4件の討議資料も審議される予定である。CCCFが討議資料を審議するのにはどのような意味があるのか?その話し合いの中での我々の位置づけは?
A: こうした審議は、CCCFの業務過程の第一歩である。CCCFが議論を薦めたい実際の問題が何であるのかを明確にするために、我々は、提案、望ましい帰結および我々が何を行おうとしているかを含めた討議資料を準備する。そして、もしその新しい業務に賛同が得られれば、CCCFは実行に移す。
Q: 我々は、基準設定過程においてウェブツールが採用され、Codexにおいてウェビナー技術が使われていることを知っている。Codexはこの先どのような形で業務を進めることが必要となるか?
A: CCCFは、それが有効であるならば、持っている技術の可能性をもっと活用していくべきである。そこには、CCCFの業務を改善し、業務スピードを向上させ、会合以外の場所でより効率的な議論をするための大きな好機がある。