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中国のブタやトリにおいてコリスチン耐性遺伝子MCR-4およびMCR-5を検出

ANTIBIOTIC RESISTANCE - CHINA, COLISTIN, MCR-4, MCR-5, PIGS, POULTRY
2018-03-16
http://www.promedmail.org/direct.php?id=20180316.5690283
中国の調査チームが2018年3月14日付で科学雑誌PLoS One*に報告したところによると、中国のブタやトリの間にコリスチン耐性遺伝子MCR-4およびMCR-5が広まっていることが新たに確認された。
調査では、中国の9つの州の外観上健康な1454頭のブタから肛門および鼻腔の拭き取り検体を採取し、さらに24の州の生体トリ市場由来の1836羽からクロアカおよび口腔咽頭の拭き取り検体を採取し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いて、直接的にMCR-4およびMCR-5遺伝子を検査した。
どちらの遺伝子についても、トリの拭き取り検体よりもブタの拭き取り検体の方が、有意に高い保有率を示した。MCR-4は、ブタの41.4%、トリの11.5%に検出された。MCR-5は、ブタの31.1%、トリの5.6%に検出された。遺伝子を保有していたトリの種類は、ガチョウ、ニワトリ、ハト、アヒルなどであった。どちらの動物種においても、MCR-4とMCR-5の検出率は、肛門やクロアカの拭き取り検体よりも、鼻腔や口腔咽頭の拭き取り検体において高値であった。
MCR-4とMCR-5の両方の遺伝子が検出された拭き取り検体の割合は、トリで2.6%、ブタで18.3%であった。
調査チームは、拭き取り検体をPCRを用いて検査した場合は、最近を分離して調べた試験で得られた結果よりもかなり検出率が高かったとし、PCR法の方が遺伝子の真の保有率をより正確に反映していると述べている。ただし、今回の調査のデータでは、耐性遺伝子を保有していた最近の種類を同定することはできず、プラスミドあるいは細菌染色体中のコリスチン耐性遺伝子の座位も決定できない、とも記載している。
中国の広い範囲でブタやトリにMCR-4やMCR-5が効率で検出されたことは、最終手段であるはずのコリスチンが成長促進剤として長期にわたり広範に使用されていることとおそらく関連しているが、この2つの遺伝子は他の国でも同様に広まっている恐れはある、と調査チームは記載している。彼らはまた、鼻腔や口腔咽頭の拭き取り検体で耐性遺伝子が高率に検出されたことは、ブタやトリにおいて、唾液や呼吸器分泌物が、コリスチン耐性遺伝子の保持や伝播に重要な役割を担っているからかも知れないと述べている。
*: http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0193957
Center for Infectious Disease Research and Policy (CIDRAP)による引用(編集):
http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2018/03/stewardship-resistance-scan-mar-15-2018