食品安全情報blog過去記事

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意見等

  • 安息香酸デナトニウムの既存MRLsのレビュー

Review of the existing maximum residue levels for denathonium benzoate according to Article 12 of Regulation (EC) No 396/2005
EFSA Journal 2018;16(3):5232 [10 pp.]. 22 March 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5232
EC規則No 396/2005第12条に基づき、EFSAは、農薬有効成分安息香酸デナトニウムについて現在欧州レベルで設定されている最大残留基準値(MRLs)をレビューした。この有効成分がEU内では食用農作物への使用を認可されていないこと、Codex委員会のMRLs(Codex MRLs)が設定されていないこと、および、輸入トレランスがEFSAに届け出られていないことを考慮すると、安息香酸デナトニウムの残留物はいずれの植物や動物由来産品にも生じていないと予測される。入手できたデータは、起こり得る不正使用に対する何らかの強制措置を創出するには不十分であった。

  • 銅化合物の既存MRLsのレビュー

Review of the existing maximum residue levels for copper compounds according to Article 12 of Regulation (EC) No 396/2005
EFSA Journal 2018;16(3):5212 [135 pp.]. 21 March 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5212
入手可能なデータの評価に基づいて、MRL案が導出され、消費者リスク評価が実施された。しかし、規制の枠組みで求められるいくつかの情報を欠き、一方、消費者に慢性的リスクが生じる可能性が確認された。このため、前述の消費者リスク評価は示唆的なものに過ぎないと捉えられ、MRL案もさらにリスク管理者による検討が必要である。消費者の暴露を低減する方策も検討する必要がありそうである。

  • 香料グループ評価74改訂4 (FGE.74Rev4)に関する科学的意見:EFSA がFGE.08Rev5で評価した化学グループ20に由来する化合物類であって、さらに酸素含有基を持つあるいは持たない脂肪族または脂環式のモノ、ジ、トリ、及びポリ硫化物類と構造的に関連し、JECFAが(第53回及び第61回会合で)評価した脂肪族硫化物類および脂肪族チオール類の考察

Scientific Opinion on Flavouring Group Evaluation 74, Revision 4 (FGE.74Rev4): Consideration of aliphatic sulphides and thiols evaluated by JECFA (53rd and 61st meeting) structurally related to aliphatic and alicyclic mono-, di-, tri- and polysulphides with or without additional oxygenated functional groups from chemical group 20 evaluated by EFSA in FGE.08Rev5
EFSA Journal 2018;16(3):5167 [58 pp.]. 20 March 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5167
欧州食品安全機関の食品と接触する物質、酵素、香料および加工助剤に関するパネル(CEFパネル)は、欧州委員会規則No 1565/2000に従って、国連食糧農業機関/世界保健機関合同食品添加物専門家委員会(JECFA)が2000年以降に評価した香料物質の評価を再検討するよう、またさらなる評価作業が必要かどうか判断するよう要請された。T今回の香料グループ評価(FGE)の改訂は、三硫化メチルプロピル[FL-no: 12.020]に関して最近提出された毒性データの評価に基づいている。三硫化メチルプロピルは、7つの追加香料物質を含む香料グループの代表化合物であり、その追加香料物質は、ジアリルトリスルフィド[FL-no: 12.009]、ジメチルトリスルフィド[FL-no: 12.013]、ジプロピルトリスルフィド[FL-no: 12.023]、メチルアリルトリスルフィド[FL-no: 12.045]、ジアリルポリスリフィド[FL-no: 12.074]、メチルエチルトリスルフィド[FL-no: 12.155]、およびジイソプロピルトリスルフィド[FL-no: 12.280]である。規格書は全物質について提出されている。CEFパネルは、[FL-no: 12.020]が商業用に使われる物質の代表物質としてみなせること、およびそれらの物質から生じ得る反応生成物が安全上の懸念を生じないことを明確に示しているのは、[FL-no: 12.020]について提出された90日間試験の1回だけであることを認定した。そのため、8香料物質[FL-no: 12.009, 12.013, 12.020, 12.023, 12.045, 12.074, 12.155 and 12.280]の安全性については、結論に達することはできなかった。2-メチル-4-オキソペンタン-2-チオール[FL-no: 12.169]および2-メルカプト-2-メチルペンタン-1-オル[FL-no: 12.241]については、追加の亜慢性毒性データが求められた。このFGEの対象の残りの9物質[FL-no: 12.088, 12.179, 12.198, 12.212, 12.238, 12.239, 12.255, 12.257 and 12.291]については、意図した使用状況下で安全上の懸念を生じるとはみなされていない。

Guidelines on EFSA Consultations
14 March 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/1390e
この文書は、欧州食品安全機関(EFSA)が科学的リスク評価を行って科学的結論の導出に至るに当たり、高い透明性、可視性、開示性を確保するという観点から、EFSAが準拠している手順および方法論についてのガイダンスを提示するものである。この取り組みは、EFSAの品質管理システムの持続的な改善を専念して行うより大きな活動の枠組みに位置付けられているもので、EFSAの優位性と独立性を継続して強化するための重要な要素である。
この文書では、協議を進めるにあたって考慮に入れるべきあらゆる重要な側面を説明している。すなわち、協議の動機および対象範囲、協議で論点となる問題の明確化、協議に関係する重要な利害関係者の特定、最も適切な協議方法の選択、および受け取ったコメントへの対処法、フォローアップ法の説明である。
EFSAの科学的評価は開かれたものとして意見募集を行う場合もあり、その様々な段階における結論に向けての記述は、EFSAが協議過程の一貫性と調和をどのように確保しているのかについて、利害関係者に説明するものとなっている。

  • キサントフモールを多量に含む焙煎モルト抽出物XERME®中のキサントフモールと、酸化的損傷からのDNAの保護:EC規則No 1924/2006第13条5項に基づく健康強調表示の評価

Xanthohumol in XERME®, a xanthohumol-enriched roasted malt extract, and protection of DNA from oxidative damage: evaluation of a health claim pursuant to Article 13(5) of Regulation (EC) No 1924/2006
EFSA Journal 2018;16(3):5192 [11 pp.]. 13 March 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5192
XERME®のキサントフモールが、酸化的損傷からDNAを保護する効果を及ぼすということについては根拠を欠いている。また、食品や食品成分として申請者が主張する効果を発揮する作用機序の仮説についても、申請者が提出した試験データでは、パネルは主張する効果の科学的裏付けとして認められない。NDAパネルは、キサントフモールを多量に含む焙煎モルト抽出物XERME®中のキサントフモールの摂取と、酸化的損傷からのDNAの保護との因果関係は立証されていないと結論付けた。

  • 炭水化物溶液と高負荷長時間で運動中の身体の能力改善に対する寄与:EC規則No 1924/2006第13条5項に基づく健康強調表示の評価

Carbohydrate solutions and contribute to the improvement of physical performance during a high-intensity and long-lasting physical exercise: evaluation of a health claim pursuant to Article 13(5) of Regulation (EC) No 1924/2006
EFSA Journal 2018;16(3):5191 [17 pp.]. 13 March 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5191
健康強調表示の対象として申請者が提案した食品は、ブドウ糖ブドウ糖と果糖の混合物、ショ糖、および/またはマルトデキストリンを含む炭水化物溶液である。NDAパネルは、主張する効果に関しては、炭水化物溶液についての特徴付けが十分為されていると判断している。申請者が主張しようとしている効果は、「高負荷長時間で運動中の身体の能力改善に対する寄与」であり、パネルはこれについて有益な生理学的作用であるとみなしている。パネルは、炭水化物溶液の摂取と高負荷長時間で運動中の身体の能力改善には因果関係が成立していると結論付けた。対象集団は、高負荷(少なくとも最大酸素摂取量VO2maxの65%)で長時間(少なくとも60分)の身体運動を行う健康的で運動慣れした成人である。

  • 「規制のための農薬リスク評価に疫学的知見を使用」することに関する会議報告書

Conference Report on the “Use of Epidemiological findings in Regulatory Pesticide Risk Assessment”
12 March 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/1392e
農薬暴露と健康への様々な影響との関連を検討し、2006年から2012年までに発表された疫学的調査を、体系的にレビューしフォローアップするため、欧州食品安全機関(EFSA)は、2013年、植物保護製剤およびその残留物に関するパネル(PPRパネル)に委託する形でプロジェクトを立ち上げ、農薬のリスク評価における疫学的データの使い方を改善する新しいツールを検討している。このプロジェクトは2件の科学的意見を発表して完結しており、この報告書には、2017年11月21日にイタリアのパルマで開催された科学会議の議論と結果がまとめられている。この科学会議には65人以上が参加し、欧州内外からの演者と参加者が、PPRパネルが作成した前述の2件の科学的意見について議論した。さらに、将来的な見込みとして、毒性学、暴露評価および疫学において新しい方法論が適用されて農薬リスク評価における3原則の統合に向けた機構的な移行が促され、複雑な疾患に関わるリスク要因を特定できるようになる可能性が示唆された。

  • 食品および飼料におけるナノテクノロジーのリスク評価に関するEFSAの科学的ネットワークの2017年年次報告書

Annual report of the EFSA Scientific Network of Risk Assessment of Nanotechnologies in Food and Feed for 2017
9 March 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/1393e
ナノ物質に関してEU加盟国との協力を促進するために、EFSAは2010年に、食品および飼料におけるナノテクノロジーのリスク評価ネットワークを立ち上げた。このネットワークは、EFSAと加盟国間の情報交換やリスク評価活動の優先順位付けを円滑化する。この年次報告書を公表することで、専門的な助言やさらなる進歩を求める一般人、利害関係者、研究者コミュニティーに対し、リスク評価の基礎的事項について情報提供が為される。EFSAがパルマで開催した2017年の会議の期間に、このネットワークは、食品および飼料チェーンにおけるナノ技術のリスク評価のためのガイダンス文書案、すなわち、パート1「ヒトの健康」を寄稿した。20の加盟国の代表がこの会議に参加し、専門的な助言やこの文書へのコメントを提示した。会議期間中、作業グループのメンバーは一緒になって、それらのコメントに対応したり、コメントの内容を明確化したりした。これによってガイダンス草案が創出され、この草案は2018年1月から3月までのパブリックコメントの募集にかけることになる。