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日本で2017年10月11日〜24日まで実施された査察の報告書

EUへの輸出向け家畜豚肉、家禽肉、鶏卵ならびに鶏卵製品、および牛乳ならびに乳製品を生産する上で実施されている動物健康管理の評価
http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=3945
査察は、保健・食品安全総局(DG Sante)の査察計画の一環として行われた。日本は、家畜豚の肉、家禽肉、鶏卵ならびに鶏卵製品、および牛乳ならびに乳製品をEUに輸出する許可を求めていた。査察の目的は、家禽、豚および牛の生産分野を所轄する日本の管轄機関が、国際獣医証明の対象となる動物疾患に対応すべく、導入している動物健康管理実態を評価することである。
動物健康管理システムは、堅牢であり、全般的に効果的に実施されている。豚、家禽、牛の各集団において、良好な健康状態を支援するシステムとなっている。これは、EUへの輸出向け農産物に獣医証明を付与する上で重要な疾患の管理にも当てはまっている。しかし、このシステムのデザインおよび実施に関するいくつかの特性のため、日本の管轄機関は全面的にEUのシステムとの同等性を保証することはできない。
豚のトレーサビリティーに関する現行の体制では、日本は、EUの輸出チェーンに入れられるすべての動物に関して信頼性のある動物健康証明を提供することができない。また、ある病気の発生が蔓延した場合に遅滞なく効果的な管理対策を取ることも困難である。豚の飼育に残飯を使用することに対する規制状況と公的管理も不十分で、そのような行為により起こりうる動物疾患の蔓延を効果的に防ぐことができない。
高病原性鳥インフルエンザが発生した場合に管理方法や調査方法(それらの実施期間も含め)に関与する所轄機関によって作られた現行の体制では、そうした疾患が消失した確証を所定の短い期間内に得ることはできないと判断される。また、もしEUへの輸出がその間にも続けられる場合に、一時的に清浄地域の範囲を定めることもできないと判断される。
ウシ結核症およびウシブルセラ症に対する現行の調査システムは、ウシ結核症に関しては、牛群の健康状態管理について定められたEUの要件と少なくとも同等であることを保証できない。また、とりわけ、原乳が輸出チェーンに入る可能性がある牛群について、両疾患に関し清浄であることを保証することができない。
この査察が視野に入れている対象疾患の診断にかかわる検査施設は、信頼性のある結果を提供している。しかし、それらの施設は、前回の2008年の査察で外部品質保証計画の実施を助言されているが、十分な進捗を示していない。
所轄機関は、動物健康証明チェーンに沿ってEU輸出向けの農産品について実施される公的管理に関する責任をまだ明確に定義していない。特に、原産国の所有者に求められる動物健康証明に関して明確でない。所轄機関は、適切なシステムを構築するための機能、能力、経験および資源を有しているが、現行の公的管理の仕組みは十分に包括的ではなく、EUへの輸出に必要な認証を揃えられるようにするために必要な証拠を全てにわたって提示することができない。
この報告書には、確認された欠点を是正し、管理方策の実施を推し進めることを目的とした、日本の所轄機関に向けた助言が含まれている。