食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • 飲酒と寿命とアルコールの限度を調べた研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to study looking at drinking alcohol, life expectancy and alcohol limits
April 12, 2018
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-drinking-alcohol-life-expectancy-and-alcohol-limits/
The Lancetに発表された新しいデータ解析で、多くの国の推奨飲酒量は男女とも週に100g程度に引き下げるべきだと報告している
ケンブリッジ大学リスクの公衆理解Winton教授David Spiegelhalter教授
これは膨大で印象的な研究である。ほとんど飲まない人に比べて、現在の英国ガイドライン程度を飲む人は死亡率について害はなく心臓発作が20%少ないと推定している。しかし1日2ユニットを超えると死亡率は一貫して増加する。この論文では1日4ユニットを飲む40才の人は概ね2年、つまり残りの人生の1/20、寿命が短いと推定している。これは一日約1時間程度である。もちろんこれを意味があると考えるかどうかはその人による。
シェフィールド大学公衆衛生教授Petra Meier教授
この研究は極めて質が高く飲酒に関連する健康リスクの推定に影響する重要な問題いくつかを考慮している。これは飲酒ガイドラインの見直しを検討している国にとって非常に有用な情報になるだろう。しかし国際ガイドラインを引き下げる助言については慎重な解釈が必要である。著者らは100g/週を最小リスクレベルとして提示している。しかし我々のガイドライン作成プロセスに関する研究によると、通常それが最も適切な閾値とはみなされていない。むしろガイドラインを作る人たちは、飲酒者がある程度のリスクを喜んで受け容れることを考慮して閾値を設定している。
また飲酒に関連するリスクは国により異なり、国毎のガイドラインを作る方が意味があるかもしれない
シェフィールド大学名誉心臓相談医で心血管系医学教授Tim Chico教授
アルコールの健康リスクを正確に推定するのは難しいが、この研究の規模の大きさと研究デザインから、結果は信頼でき世界中の国に当てはめられるだろう。週に100g以上の飲酒は早期死亡リスクを増やすことを示した。大量飲酒者が喫煙者並の寿命減少になることには驚きはない。
この研究は、結局のところ飲酒にメリットはないことを明らかにした。つなり話がうますぎるときはいつだって嘘なのだ。
ガイドライン値は下げるべきだろうか?それはそれによって何を達成したいのかによる。私の意見は、医師や科学者の役割は根拠を可能な限り明確に伝え、人々が情報を与えられた上で自分で判断できるようにすることである。私は患者さんに対して、飲酒には健康上のメリットはなく、週に12-14ユニット以上を飲むと死亡を含む重大な健康問題が測定可能な程度増加する、と言っている。
King’s College London精神医学心理学神経科学研究所高齢者精神病客員講師Tony Rao博士
この研究は英国の飲酒ガイドライン引き下げを支持するますます増える根拠に付け加わるものである。またベビーブーマーの飲酒関連有害影響を減らす必要性も強調する。
この研究の強みは多数をフォローしたこと、知見に影響する各種要因を考慮したこと、である。しかし認知症のような時間が経つと飲酒量が減ることに伴う可能性のある精神疾患は考慮していない。また飲酒量の過小申告も影響する可能性がある

  • パネルは生命医学科学者が職をみつけるためにポスドク税などの対策を求める

Scienceニュース
Panel calls for a postdoc tax and other measures to help biomedical scientists find jobs
By Michael PriceApr. 12, 2018 ,
http://www.sciencemag.org/news/2018/04/panel-calls-postdoc-tax-and-other-measures-help-biomedical-scientists-find-jobs
NASEMの新しい報告書は米国の議会や資金提供機関、大学、研究所などに、ポスドク税やラボの主導者がポスドクを雇える期間に厳しい上限を設けるなどの相当な改革を求める。この助言では改革のために10億ドル以上を要求する。
米国では3万から8万人のポスドクが生命医学分野で働いていて、建前としては独立した研究者だが実際のところ安価なラボスタッフとして雇用されている。ポスドクの46%はPIの研究費から給与を得ていてPIはポスドクを独立した研究者として育てるインセンティブはない。
(以下いろいろ。かつてあった有名ラボ(論文生産工場)ではポスドクは分業体制での使い捨ての労働力と言われていたよ。任期切れ後に残るのは無数の共著者の一人として名前が記載してある「業績」で、研究を計画して主導する能力なんて身に付かない。でも大学はそれを良しとしていた。若者がそんなところを目指さなくなるのは当然。)

  • 報告書は若い生命医学や行動科学者のキャリア支援を改革するよう助言し、これまで変化を遅くしてきた障害の解決法を提案

NASEM
Report Recommends Reforms to Support Careers of Young Biomedical and Behavioral Scientists, Proposes Solutions to Barriers That Have Slowed Change So Far
April 12, 2018
http://www8.nationalacademies.org/onpinews/newsitem.aspx?RecordID=25008&_ga=2.111199812.1183918243.1523592238-398001843.1520468362
NASEMの新しい報告書は次世代の科学者のために、米国の生命医学研究システムの相当な一連の改革を呼びかける
大学の中と外のキャリアパスについてもっと良いデータを利用できるようにすること、官民協力して集合的持続的に研究活動を責任をもって管理すること、駆け出し科学者によりしっかりした支援を提供するための予算を増やすこと、パーマネントの学部に属さない研究者としての職を作り今の一時的で給与の少ないポスドクの出口にする、など。
これまで問題があることは何度も報告され改善策が提案されてきたが解決していない。解決の障害になっているのは政府と研究機関の間に責任が共有されていないこと、資金不足、若い科学者のキャリアの結果についてのデータ不足など。