食品安全情報blog過去記事

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意見

  • Syngenta Crop Protection AG社から出された遺伝子組換えトウモロコシ5307株の食品、飼料、輸入、加工用としての規則(EC) No 1829/2003に基づく市販申請(EFSA-GMO-DE-2011-95)に関して導出されたEFSAの科学的意見に対する追加毒性試験の結果を踏まえた補足説明

Statement complementing the EFSA Scientific Opinion on application (EFSA-GMO-DE-2011-95) for the placing on the market of genetically modified maize 5307 for food and feed uses, import and processing under Regulation (EC) No 1829/2003 from Syngenta Crop Protection AG taking into consideration an additional toxicological study
EFSA Journal 2018;16(4):5233 [9 pp.]. 11 April 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5233
GMOパネルはこれまで、eCry3.1Abタンパク質の適切な評価に必要とされる28日間毒性試験が不十分であったため、トウモロコシ5307株の食品/飼料としての安全性評価を完了できる状態ではなかった。欧州委員会からの委託を受けて、GMOパネルは、eCry3.1Abタンパク質に関して追加で実施された28日間マウス毒性試験(1,000 mg/kg 体重/日)の評価を行い、トウモロコシ5307株を食品や飼料として使用するための、および輸入や加工に供するための市販認可申請EFSA-GMO-DE-2011-95についての科学的意見を補足した。この追加の28日間毒性試験では、有害影響は示されなかった。以前の評価とこの新しい情報を考慮して、GMOパネルは、申請EFSA-GMO-DE-2011-95についての科学的意見(EFSA GMO パネル, 2015)と追加毒性試験での評価に基づくと、トウモロコシ5307株は、この申請の範囲内において、既存の対応株と同様に、安全で栄養価があると考えられると結論付けた。

  • 食品添加物としてのプロパン-1,2-ジオール(E 1520)の再評価

Re‐evaluation of propane‐1,2‐diol (E 1520) as a food additive
EFSA Journal 2018;16(4):5235 [40 pp.]. 5 April 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5235
食品科学委員会(SCF)は1996年に、プロパン-1,2-ジオールの許容一日摂取量(ADI)として、25 mg/kg体重/日を設定している。プロパン-1,2-ジオールは消化管から素早く吸収され、臓器や組織に広く分布すると考えられている。主な代謝ルートは乳酸やピルビン酸への酸化である。高濃度では、遊離のプロパン-1,2-ジオールが尿中に排泄される。亜慢性毒性試験では、投与による影響は認められなかった。得られたデータからは、遺伝毒性に関する懸念は浮かび上がらなかった。イヌの2年間試験では最高用量(5,000 mg/kg体重/日)において、代償性の造血増高を伴う赤血球の破壊を示唆する血液学的な変化が観察された。ラットの2年間慢性試験(最大2,500 mg/kg体重/日)では、有害影響は報告されていない。SCFはこの試験データを用いてADIを導出した。入手できた生殖および発達毒性試験では、有害影響は観察されなかった。プロパン-1,2-ジオール(E 1520)は、規則(EC) No 1333/2008 付属書IIIに基づいて、いくつかの食品の添加物、香料、酵素および栄養素として認可されており、最終食品まで引き継がれる。E 1520への食事による暴露量を、使用量と分析データに基づいて評価した。ANSパネルは、情報が得られている食品分野では、暴露が過大評価されている可能性があると考えている。パネルは毒性データベースを考慮して、25 mg/kg bw/日という現在のADIを改訂する理由はないと結論付けた。パネルはまた、報告されている使用量と分析結果に従ったブランドロイヤルシナリオで詳細暴露評価を行ったが、どの集団においても平均暴露用量や高暴露用量(95パーセンタイル)がADIを超えることはないと結論付けた。

  • レタス、サラダ野菜、ホウレンソウおよび類縁葉物野菜におけるフェンピラザミンの既存MRLsの改訂

Modification of the existing maximum residue levels for fenpyrazamine in lettuces, salad plants, spinaches and similar leaves
EFSA Journal 2018;16(3):5231 [23 pp.]. 3 April 201
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5231
フェンピラザミン残留物の管理するための実用的な分析方法が利用可能となっている。これらの方法では、0.01 mg/kg(定量限界(LOQ))以上の範囲での定量が求められる農作物中の残留物を定量できる。EFSAは、報告されている農業慣行に従っている限り、マーシュ/コーンサラダ、レタス、クレソン、ランドクレス、ローマンロケット/ルッコラ、レッドマスタード、ホウレンソウ、スベリヒユ、チャード/ビーツの葉に対してフェンピラザミンを使用することにより生じる残留物の短期および長期摂取が、消費者の健康におけるリスクを生じる可能性は低いと結論付けた。国際短期摂取量推定法(IESTI:International Estimated Short-Term Intake)によると、エンダイブにフェンピラザミンを企図される用法で使用した場合、急性参照用量(ARfD)を超過することはなかったが、その97.6%に達することから、安全性のマージンは狭い。

  • 食品中の残留農薬についての監視データ:有機栽培食品vs通常栽培食品の比較結果

Monitoring data on pesticide residues in food: results on organic versus conventionally produced food
11 April 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/1397e
食品および飼料における農薬の最大残留基準に関する規則 (EC) No 396/2005に基づき、EU加盟国であるアイスランドノルウェーは、食品試料における残留農薬量を監視し、その結果をEFSAに提出した。この報告書は、特別な目的に合わせてデータを抽出した結果や、有機栽培食品および通常栽培食品における監視データの比較結果を提示している。データの抽出は、参照期間である2013、2014および2015年にEUが調整した管理計画の枠組みにおいて取り上げられた試料に焦点を当てて行われた(通常栽培食品試料合計28,912点、有機栽培食品試料合計1,940点)。全体として、通常栽培食品試料44%は、1種類以上の定量可能な残留物を含んでおり、対して有機栽培食品では測定可能な残留農薬を含む試料の頻度は低かった(有機栽培食品試料の6.5%)。通常栽培食品および有機栽培食品のMRL超過率は、それぞれ検査された試料の1.2%と0.2%であった。1食品試料中の農薬数の平均値を算出したところ、有機栽培食品と通常栽培食品とで同等であるとみなされた。

  • 有効成分イプロジオンのMRLsのフォローアップ評価

Follow up assessment of MRLs for the active substance iprodione
6 April 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/1404e
イプロジオンの認可は欧州委員会実施規則2017/2091により更新されないこととなったが、イプロジオンを含む農薬製品は2018年6月5日まで使用できるという猶予期間が設けられている。結果として欧州委員会は、既存のMRLsの改訂(LOQの設定)や、イプロジオンの経過措置を認めることが妥当かどうか、認めるとしてもどの農作物に認めるのかを加盟国と議論する必要がある。欧州食品安全機関(EFSA)は欧州委員会から、イプロジオンのMRLsを、2016年のピアレビューの結論において設定された新しい毒性参照値を用いて再評価するよう求められた。ここに示す情報は、欧州委員会と加盟国が、経過措置について決定を下す際の根拠の一つになるであろう。経過措置が取られた場合は、2018年6月5日の猶予期間を超えて長期間にわたり、既存のMRLsが維持される。今回の報告では、評価の限界と不確実性を考慮して結論を導出した結果、既存のMRLsを使用すると、27種類の未加工農作物と11種類の加工農産物で、急性参照用量の超過が生じることが明確にされた。さらに、推定長期食事摂取評価ではADIの超過が示された。