食品安全情報blog過去記事

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  • 妊娠中のカフェインと子どもの体重を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at caffeine in pregnancy and weight gain in children
April 23, 2018
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-caffeine-in-pregnancy-and-weight-gain-in-children/
妊娠中の母親のカフェイン摂取とその子どもの最大8才までの体重増加と過体重リスクの関連について調べた研究がBMJ Openに発表された。
マンチェスター大学応用統計学准教授Thomas House博士
この研究は5万組以上の母子でカフェイン摂取は子どもの肥満と正の関連があると主張するニュースの見出しになった。一日一杯のインスタントコーヒーを母親のカフェイン摂取量の目安に使ってこの結果について簡単な計算をしてみよう。
もし最も少ないカフェイン摂取量(1杯未満)の母親のグループから3才のこどもを100人選ぶと、約11人が肥満である;次のグループ(1-4杯)は一人多い12人、その次(4-6杯)はさらに二人増えて14人、そして最も多いグループ(6杯以上)ではさらに3人増えて17人である。
この研究の主な問題は、母親のカフェイン摂取が他の関係ある要因と強く関連していることであり、これらは調整されるべきである。著者の統計解析では、彼らの使った「ベストフィット」モデルでは3才の時点での追加の子どもの肥満のうち約半分が、母親のカロリー摂取ではなくカフェインによって説明されるという。しかしカフェインとカロリーの摂取量が相関しているので、両方を同じ重みづけした「ベストフィット」モデルの存在は、我々は母親のカロリー摂取だけで子どもの肥満が同様によく説明できる可能性について何も言えない。また子どものカロリー摂取のような新しい説明を含めることでモデルが変わるかどうかについてもわからない。
従ってこの研究で提示されている因果関係の根拠は極めて薄弱で、著者による「カフェインは完全に避けるべきと助言できる」という声明は正当化できない、特にそのような制限の影響が母親の福祉に与える影響を考えると。
King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授
人生の早い時期に成長速度が速いことが長期にわたる健康影響となることは確立されている。しかしながらこの研究は最初の年の成長率の増加が骨や筋肉量によるのか体脂肪によるのかを区別していない。この研究は妊娠中のカフェイン摂取と人生の最初の年の成長率増加に弱い関連を示しただけである。大きな限界は人工乳か母乳かを調整していないことである。母乳で育てるとミルクより成長速度が遅いのでこれは重要である。
カフェイン摂取量の多い女性はより高齢で教育レベルが低いあるいは妊娠前に肥満で妊娠中に喫煙している可能性が高い−全ての要因が母乳を与える可能性の低さと関連する。妊娠中のカフェイン摂取と人生の最初の年の乳児の成長の関連は疑似相関である可能性がある。
ブリストル大学小児及び周産期疫学名誉教授Jean Golding教授
この研究は世界でも有名なノルウェーMoBA研究に参加した5万人以上の母親の提供した情報を用いた。女性は妊娠中期に食品や飲料についての質問に答え、子ども達は8才まで身長と体重を測定している。研究者らはこれらのデータを用いてカフェイン摂取量を計算し、子どもの成長と比較した。子どもの成長に影響しそうな他の要因、喫煙など、を調整した後、カフェイン摂取量の少ない女性の子どもよりカフェイン摂取量の多い女性の子どもが体重が多く(でも身長は高くない)、特に最初の1年での成長の早さと関連した。
この研究は先の二つの研究の知見を確認しているが、注意すべきいくつかの点がある。身長体重は母親の報告であり妥当性は評価されていない。体重増加が筋肉なのか脂肪なのかわからない。余分な体重は非常に多いカフェイン摂取群以外では8才までに減っている。さらに年をとってからカフェインの影響があるかどうかをみる必要があるだろう。

  • 飲酒と月経前症候群についての系統的レビューとメタ解析への専門家の反応

expert reaction to systematic review and meta-analysis on alcohol intake and premenstrual syndrome
April 23, 2018
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-systematic-review-and-meta-analysis-on-alcohol-intake-and-premenstrual-syndrome/
PMS発症における飲酒の役割についての系統的レビューとメタ解析がBMJ Openに発表された
Queen Charlotte’s and Chelsea病院とChelsea and Westminster病院の産婦人科相談医で92 Harley Street のHormone Health 所長Nick Panay博士
PMSの原因や悪化に関する要因発見に貢献する質の高い研究は歓迎する。PMSと飲酒に因果関係の可能性があるという知見は興味深いが、アルコールのホルモンや神経伝達に与える影響を考えると驚くべきことではない。
この系統的レビューとメタ解析は質が高く交絡要因についても考慮されている。しかしもともと飲酒の影響を一次アウトカムにしていない研究デザインの研究が多く含まれるために有用性が限定されている。従ってこの知見を確認するためのさらなる研究が必須である。