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農業で使われるコハク酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(SDHI)含有防カビ剤: ANSESは専従専門家グループを発足させる

Succinate dehydrogenase inhibitor (SDHI) fungicides used in agriculture: ANSES sets up a dedicated expert group
18/04/2018
https://www.anses.fr/en/content/succinate-dehydrogenase-inhibitor-sdhi-fungicides-used-agriculture-anses-sets-dedicated
報道機関が最近公表した記事によると、何人かの科学者が、コハク酸ヒドロゲナーゼ阻害剤(SDHI)含有防カビ剤を農業で使用することにより、健康にリスクが及ぶ可能性に着目しているということである。このためANSESは、専門家に呼び掛け、この件に関する入手可能な全ての科学的データを検討し、特に、警告を発している科学者が言及している根拠を急いで検証するよう要請するに至った。
コハク酸ヒドロゲナーゼはどこにでもある酵素で、細菌、カビ、ヒトを含む哺乳類などの莫大な種類の生物の細胞呼吸に関わっている。SDHIsでこの根本的な細胞機能を阻害することが、カビによる植物病を叩くために何十年もの間使われてきたこの種の組成物が有効性を示すための基本である。
コハク酸ヒドロゲナーゼは特定の疾患と関連があることが知られており、農業においてSDHIsを防カビ剤として使用することが健康リスクと関係しているかもしれないという仮説を立てている科学者もいる。
SDHIsについても、欧州レベルでの認可の前およびそれらを含むあらゆる製品が市販される前に、毒性やリスクの評価が必須のものとして行われてきた。
この警告を発した主研究者と昨年11月に接触した後、ANSESは、今回調査を行った結果得られたあらゆる新データについて意見交換することを視野に入れ、これらの製品の毒性評価文書を閲覧可能とした。またANSESは、専従専門家グループを発足させ、警告を発している研究者の取材、根拠とされた事項の科学文献を考慮した検証、および植物医薬品安全性監視計画によって提供されるあらゆるデータの検証の任務を課すこととした。
これらの任務を含めた活動の主目的は、何らかの新しい根拠が欧州レベルで存在しているかどうかを見極め、そして必要に応じ、適切と考えられる何らかのリスク管理方策を実施することである。