食品安全情報blog過去記事

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意見

  • 肥育期の七面鳥におけるCoxar® (ナイカルバジン)の安全性と有効性

Safety and efficacy of Coxar® (nicarbazin) for turkeys for fattening
EFSA Journal 2018;16(4):5214 [3 pp.]. 18 April 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5214
Coxar®は、完全飼料1 kg当たり100 mgの用量で肥育期の七面鳥に安全であり、安全性マージンはおよそ1.25である。ナイカルバジンは、摂取されると速やかに2-ヒドロキシ-4,6-ジメチルピリミジン(HDP)とジニトロカルバニリド(DNC)に開裂し、それぞれ独立した挙動を示す。HDPに由来する残留物は、DNCに由来する残留物よりかなり少ない。DNCはマーカー残留物である。標的器官は肝臓である。ナイカルバジンは遺伝毒性を持たない。経口摂取の場合、ナイカルバジンは主として腎毒性を示す。DNC + HDPを用いたラットの52週間試験で特定された最も低い無毒性量(NOAEL)は、尿中および腎臓の顕微鏡像において微結晶が生じないことに基づき、20 mg DNC + 8 mg HDP/kg体重/日であった。肥育期の七面鳥にCoxar®をナイカルバジンとして完全飼料1 kg当たり100 mgの用量で使用しても、ナイカルバジン中のp-ニトロアニリン(PNA)とメチル(4-ニトロフェニル)カルバメート(M4NPC)についてそれぞれ0.1%および0.4%の最大含有量が順守されているならば、消費者にリスクを生じない。休薬期間は必要ない。残留物データは、設定された最大残留基準(MRLs)に収まっている。ナイカルバジンは皮膚や眼に刺激性を示さず、皮膚感作性も無い。これらの結論は、添加物Coxar®にも適用される。ナイカルバジンの吸入毒性はわずかであり、粒状の添加物の発塵性は低い。使用者におけるリスクは確認されていない。入手できたデータからは、FEEDAPパネルは、環境に対するCoxar®の安全性について、結論を導出できなかった。Coxar®をナイカルバジンとして飼料1 kg当たり100 mg投与した場合の有効性は、3回の抗コクシジウム感受性テスト(AST)で示されているが、これらは平飼い条件での1試験だけに基づくものであった。平飼い条件でナイカルバジンを飼料1 kg当たり75 mg投与した試験では、有効性の根拠を示すことはできなかった。最終的に、肥育期の七面鳥にCoxar®によりナイカルバジンを投与した場合の有効性に関しては結論を導出できなかった。

  • トマトにおけるフルアジポップ-PのMRL改訂

Modification of the existing maximum residue level for fluazifop‐P in tomato
EFSA Journal 2018;16(4):5253 [21 pp.]. 18 April 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5253
Syngenta Crop Protection AG社は、ポルトガルの所轄国立機関に、トマトにおけるフルアジポップ-Pの最大残留基準(MRL)を改訂するための申請を行った。提出データは、MRL改定案を導出するのに十分であることが確認された。トマトにおけるフルアジポップ-Pの残留物を管理するのに利用できる適切な実用的分析手段があり、その定量限界(LOQ)が0.01 mg/kgであることが検証されている。EFSAはリスク評価結果に基づき、報告されている農業慣行であれば、フルアジポップ-Pの使用により生じる残留物を短期および長期摂取しても消費者に健康リスクを生じることはないと結論付けた。

  • 有効成分トリネキサパック(評価対象化合物はトリネキサパック-エチル)の農薬リスク評価ピアレビュー

Peer review of the pesticide risk assessment of the active substance trinexapac (variant evaluated trinexapac-ethyl)
EFSA Journal 2018;16(4):5229 [25 pp.]. 13 April 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5229
トリネキサパックの植物成長調整剤としての典型的な使用、すなわち大麦(冬および春)や小麦(冬)へ使用した場合の評価に基づいて結論が導出された。MRLsはライ麦で評価された。信頼性のある適切なエンドポイントが提示されていた。既存MRLsのレビュー後に提出された確認データも考慮された。規制の枠組みの中で要求されるデータが欠落しているのが確認され、それらによる懸念が浮き彫りになった。

  • 有効成分ジメテナミド-Pの農薬リスク評価ピアレビュー

Peer review of the pesticide risk assessment of the active substance dimethenamid‐P
12 April 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5211
ジメテナミド-Pを、一年生単子葉雑草および双子葉雑草に対する除草剤として、冬作ナタネ、トウモロコシ、スイートコーン、ダイズ、ヒマワリおよびテンサイにおいて用いるという典型例を評価し、結論を導出した。信頼性のある適切なエンドポイントが提示されていた。規制の枠組みの中で要求されるデータが欠落しているのが確認され、それらによる懸念が浮き彫りになった。

  • 各種農作物におけるプロクロラズのMRLs改訂

Modification of the existing maximum residue levels for prochloraz in various commodities
EFSA Journal 2018;16(4):5241 [28 pp.]. 12 April 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5241
ADAMA Agriculture BV社は、テンサイの根および豚と反芻動物の肝臓と腎臓におけるプロクロラズの最大残留基準を改訂する申請を行った。提出データは、テンサイの根に関するMRL改定案を導出するのに十分であることが確認された。新しい使用法では、テンサイの先端部における残留物が、家畜の暴露に大きく寄与するとが判明した。植物や動物に由来する成分中のプロクロラズの残留物を管理するのに適切な分析手段が利用可能である。EFSAが行ったリスク評価から、プロクロラズの残留物は許容一日摂取量(ADI)を超える恐れがあることが示された。そのため、テンサイに関するMRLが改訂される前に、プロクロラズの既存の全使用方法とテンサイにおいて企図されている新しい使用方法を考慮して、包括的な詳細リスク評価を行う必要があると考えられる。現在プロクロラズのMRLのレビューが行われていることを考慮すると、包括的リスク評価の結果はいずれ入手できるだろう。