食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 「刑務所でのスパイスの流行が看護師にリスク」

'Spice epidemic in jails risk to nurses'
By Nick Triggle
http://www.bbc.com/news/health-44114297
英国の刑務所で合成大麻が流行していることが治療のために呼ばれる看護師をリスクに晒していると看護師団体のリーダーが言う
王立看護師会Royal College of Nursingが、刑務所で違法薬物を使用した受刑者の治療を行った後病気になった看護師がいるという。フュームを吸って意識を失い救急搬送された
何故刑務所にそんなにたくさん違法薬物が存在するのか?

  • スネークダイエットって?

WTF Is the Snake Diet?
By Jessica Cording, MS, RD, CDN | May 14, 2018
https://www.shape.com/weight-loss/tips-plans/what-is-snake-diet-weight-loss-trend
ヘビダイエットSnake Dietを聞いたことがある?栄養士がこの極端な流行のダイエット法について説明する
提唱者はCole Robinsonで、デトックス期・絶食期・維持期からなる計画的ダイエット法で野生動物を真似するという意味。一度にたくさん食べてそれから可能な限り絶食というところがヘビのよう。
他の厳しい制限食同様、最初は体重が減るかもしれないがリバウンドや摂食障害につながるので勧めない。

Nature書評
Blood, sweat and tears in biotech — the Theranos story
14 May 2018
https://www.nature.com/articles/d41586-018-05149-2
Eric Topolが米国の医療検査会社の盛衰についての魅力的記述を称賛する
John Carreyrou 著「Bad Blood: Secrets and Lies in a Silicon Valley Startup」 Knopf (2018)の書評
セラノスの盛衰ほど劇的なスキャンダルは滅多にない。この本では、この話を2015年に新聞(Wall Street Journal)に掲載したジャーナリストJohn Carreyrouがセラノスの社長Elizabeth Holmesの詐欺について包括的に根拠を提示する。特にHolmesとこの会社の前の社長Ramesh ‘Sunny’ Balwaniはこの長年にわたる詐欺で7億ドル以上を集めた。
セラノスのスキャンダルが明るみに出て規制当局がラボを閉鎖するまでにカリフォルニアとアリゾナで100万回近くの検査が行われた。そのうちの相当な割合が間違いで全ては無効である。間違った結果によって傷ついただろう人の数はわからない:一部は必要のない治療を受け、重大な病気だと誤診されて感情的混乱を経験しただろう。
この本ではセラノスについてこれまで報道されていないたくさんのダークシークレットを明らかにしている。
Holmesは子どもの頃から将来金持ちになりたいと明言していた。非常に賢く2002年にスタンフォード大学の名誉ある奨学金を受賞しその後会社を立ち上げて学校をやめた。アイディアを売る素晴らしい能力で有名な政治家達や投資家、メディア関係者等に売り込んだ。2015年には当時のBarack Obama大統領から世界の起業家精神米国大使と認められ副大統領はminiLab発表を称賛した−それは全くの詐欺だったのだが。その間HolmesはFDAに嘘をつき続けた。社内では従業員に対する解雇や脅迫、従業員のソーシャルメディアアカウントの監視などが行われていた。化学グループの元部長は自殺している。
私(Eric Topol)も騙された。
本の最後の方でCarreyrouは2015年にWall Street Journalの記事が出ることをセラノスが如何にして阻止しようとしたかを記述している。
私がこの本について残念なのはこの教訓から何を学べばいいのかの省察がないことだけである。たった一報の論文すらない、再現の確認すらされていないいい加減な技術がどうして90億ドルの価値をもつに至ったのか?シリコンバレーには流星のような企業は他にもあるが、患者の健康をリスクに晒したことはない。この本が再発予防になることを望む。
(いろいろ略。規模こそ違うが人の健康を弄んで金儲けする輩はインチキ健康食品や詐欺医療等たくさんいるししばしば起業家として称賛されているし)

  • 英国科学アドバイザー:ネオニコチノイドの議論は農薬の認可と禁止のサイクルを改革する必要があることを強調する

UK science advisor: Neonicotinoid debate highlights need to reform cycle of pesticide approvals and bans
Ian Boyd |May 14, 2018
https://geneticliteracyproject.org/2018/05/14/uk-science-advisor-neonicotinoid-debate-highlights-need-to-reform-cycle-of-pesticide-approvals-and-bans/
nature ecology & evolutionに発表されたコメント
Ian BoydはDEFRAの主任科学アドバイザー
新しい農薬は通常容器のラベルに書いてある使用法に基づいて認められる。このガイドは特定条件での安全性と有効性から作られるが使用者が出会う全ての状況を想定できるわけではない。新しい農薬の需要が高まり、生産者はそれを用いた農業システムと事業を構築する。しかし予期せぬ影響や病害虫の耐性が生じ、農薬反対の意見が増え、化学企業がより害の少ない農薬を大急ぎで開発し、政府は食糧生産と環境保護のバランスをとるのに苦闘する。農薬反対の根拠が増え政府が認可を取り消し、生産者は困難な事態を収拾する羽目になる。
このサイクルが世界中で二つの対立する神話によりおこっている。ひとつは現状レベルでの農薬無しでは農業生産性が崩壊する、というもの、もうひとつは農薬さえ禁止すれば問題は解決するというものである。しかし歴史的には農薬禁止はしばしば新しい問題をひきおこし20年ほどでまた禁止される。
我々は無制限に農薬を使うことと完全に禁止することの両極端に振れることを止める必要がある