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スライム: リスクが無いわけではない大人気のパテ状玩具

Slime: a very popular toy putty that is not without risk
04/05/2018
https://www.anses.fr/en/content/slime-very-popular-toy-putty-not-without-risk
スライム(slime)は、若年層に人気のネバネバして伸び縮みする、こねて遊ぶパテ状の玩具である。すぐに遊べる完成品もあれば、キット製品もあり、さらには自作もできる。しかし自家製のスライムは、作っているときや遊んでいるときに皮膚反応を起こすことが報告されている。玩具店で売っているキット製品でも使用上の注意を守る必要がある。このため、フランス国立食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)とフランス競争・消費・不正抑止総局(DGCCRF)は、消費者に注意を呼び掛けることとした。
自家製のスライムを作る際の主な材料は、紙用の液体糊、ホウ素、着色料などである。これらの材料には、有害な化学物質が含まれている。
紙用の液体糊には防腐剤が含まれており、これは多くの場合ホルムアルデヒド放出物質すなわちイソチアゾリノン類である。これらの化学物質は、経皮アレルギー性が非常に強い。さらに液体糊には、エタノール、酢酸エチル、酢酸メチルなどの多くの溶媒が含まれており、それらの中には気道にや眼に刺激性を示したり、中枢神経系に毒性を示すものがある。
ホウ素は、ホウ酸やその誘導体のかたちで、パテ状の弾性体を作るときにはまず間違いなく使用されている。粉末状のものが用いられたり、ホウ素を含む洗眼液、コンタクトレンズ洗浄液などの医療品や様々な市販の洗剤が用途を履き違えて流用されたりする。
子供たちをホウ酸やその誘導体に何度も触れさせることは絶対に避けなければならない。これらの化合物には、生殖毒性や胚・胎仔発達毒性があり、スライムを作るときに使用する量は、それらの化合物の本来の用途で使用する量よりも多いのである。
洗濯用洗剤、他の洗剤および糊は、多くの場合アレルギー性や刺激性のある防腐剤を含んでおり、長期にわたり反復的に触っていると、重篤接触性皮膚炎(火傷、発赤、湿疹、かゆみ)を起こす場合がある。これらの製品は、皮膚と長期間反復的に強く接触することを予測して作られてはいないのである。
さらに、自家製スライムを作るときに使用される着色料は、全てが食品用というわけではなく、また皮膚と接触することも見込まれていない。
スライムのキット製品については、調査した15製品の内、2製品でホウ素濃度が認可上限を超えていて、リコール措置となった。スライム製品に子供たちが熱中していることに鑑み、DGCCRFは2018年も調査を続けることにしている。