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食品・飲料業界向けの食品グレードの炭酸ガスが最近不足していることについて

Current Shortages of Food Grade Carbon Dioxide for the Food and Beverage Industry
Thursday, 21 June 2018
https://www.fsai.ie/news_centre/food_grade_carbon_dioxide_21012018.html
炭酸ガスがヨーロッパ中で不足しいる。炭酸ガス(CO2)は、飲料への気泡注入や、食品の保存期間を延ばすガス置換包装(MAP)に使用されている。
炭酸ガスは、直接食品に添加されることがないMAPに用いられる場合であっても、食品に含まれる水分に溶け込み、その際に汚染物質を引き込む場合がある。そのため、食品や飲料に使われる炭酸ガスは、「食品グレード」の基準・規格を満たしたものでなくてはならない。
したがって、現在の不足の状況にあっても、食品事業者(FBOs)は、より低グレードの炭酸ガスを用いるべきではない。
MAP目的では、炭酸ガスは、低脂肪で水分の多い食品に使われ、低酸素環境を作って腐敗菌の生育を抑え、食品中の水分に溶け込む性質によって食品中にカルボン酸を生成してpHを下げ、肉などの食品の色味に影響を与える。窒素のような他のガスは、高脂肪で水分の少ない食品に用いられるので炭酸ガスとは用途が異なる。
したがって、FBOsは、MAPにおける炭酸ガスを窒素などの別のガスに短絡的に置き換えてはならない。その前にその食品の保存期間を維持できるかどうか安全性を検証しなくてはならない。
FBOsは、一般食品法に定められた義務を思い起こし、安全な食品だけを市場に提供することが求められている。