食品安全情報blog過去記事

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評価等

  • 内分泌かく乱物質同定のガイダンスについて様々に実施された意見募集の結果

Outcome of the different consultations on the Guidance for the identification of endocrine disruptors in the context of Regulations (EU) No. 528/2012 and (EC) No. 1107/2009
23 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-1447
欧州食品安全機関(EFSA)と欧州化学庁(ECHA)は、欧州委員会から、内分泌かく乱物質(ED)と確定するのに用いるハザードに基づいたを基準を設定するための共通のガイダンス文書を作成するよう要請された。ガイダンス文書の作成を支援してもらい、完全なガイダンス文書を提供できるように、EFSAとECHAは対象を絞った意見募集を何回か実施した。また、一般人や全ての関係者がガイダンス作成に参加できるようパブリックコメント募集も開始された。欧州委員会パブリックコメント募集終了後すぐに、加盟国のリスク評価専門家や他の利害関係者と共に、ブリュッセルで特別ワークショップを開催した。最後に2回のパブリックコメント募集がEFSAとECHAの化学リスク評価組織とリスク管理組織により実施された。この報告書では、EFSAとECHAが行ったこうした様々な意見・コメント募集におけるやり取りが要約されている。

  • 食品接触材料に使用するポリ((R)-3-ヒドロキシブチレート-co-(R)-3-ヒドロキシヘキサノエート)の安全性評価

Safety assessment of the substance poly((R)-3-hydroxybutyrate-co-(R)-3-hydroxy¬hexanoate) for use in food contact materials
EFSA Journal 2018;16(7):5326 20 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5326
この物質は、遺伝子組換え微生物(Cupriavidus necator)でヤシ油を発酵させて製造する生物分解性(コ)ポリマーである。分子量が大きいため、遺伝毒性データは必要とされない。
オリゴマーの食品への移行は検出限界(食品1 kg当たり5 µg)未満である。他の物質の移行も検出されたが、既に認可されている物質やヤシ油由来物質であった。これらの移行結果から安全性の懸念は生じない。
単量体単位で優勢な方の3-ヒドロキシ酪酸は、脂肪酸代謝の中間体である。少ない方の3-ヒドロキシヘキサン酸は、細菌を用いた遺伝子突然変異試験で陰性であった。
分解生成物であるクロトン酸は、10日間40°Cの処理で食品1 kg当たり8 µg、同60°Cで25 µg検出されたが、特定移行限度(SML)が食品1 kg当たり0.05 mg/kgと定められていて、食品接触材料としての使用が認可されている。もう一方の分解産物である(E)-2-ヘキセン酸はCEFパネルにより、遺伝毒性を示さないことが2010年の香料物質のグループ評価FGE.05Rev2で確認されている。
CEFパネルは、ポリ((R)-3-ヒドロキシブチレート-co-(R)-3-ヒドロキシヘキサノエート)は、乾燥/固形食品と接触する用途に単独で、あるいは他のポリマーと混ぜて使用する場合、安全上の懸念を生じないと結論付けた。クロトン酸のSMLが満たされていれば、(E)-2-ヘキセン酸の溶出も食品1 kg当たり0.05 mgを超過することはない。

  • 鶏肥育用Calsporin® (Bacillus subtilis DSM 15544株)の認可更新申請の評価

Assessment of the application for renewal of authorisation of Calsporin® (Bacillus subtilis DSM 15544) for chickens for fattening
EFSA Journal 2018;16(7):5340 20 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5340
この添加物に対するこれまでの結論の再考を要するような新しい知見は確認されていないため、Calsporin®は対象動物種、この添加物を与えられた動物に由来する製品の消費者、使用者、環境に安全であるという以前の結論が支持された。

  • 第三国の伝統食品としてのハスカップベリーの市販通知を受けての技術報告書

Technical Report on the notification of berries of Lonicera caerulea L. as a traditional food from a third country pursuant to Article 14 of Regulation (EU) 2015/2283
20 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-1442
EFSAは、3種類のハスカップベリーの組成と利用歴に関して得られたデータから、安全上の懸念は生じないと判断した。入手可能なデータを検討して、EFSAは市販要請のあった第三国の伝統食品、すなわちハスカップベリーについて、EU内での販売に対して安全上の異議を唱えない。

  • 第三国の伝統食品としてのフォニオの外皮を取り除いた穀粒の市販通知を受けての技術報告書

Technical Report on the notification of decorticated grains of Digitaria exilis (Kippist) Stapf as a traditional food from a third country pursuant to Article 14 of Regulation (EU) 2015/2283
20 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-1443
EFSAはフォニオの全粒および外皮を除いた穀粒の組成に関して得られたデータから、安全上の懸念は生じないと判断した。入手可能なデータを検討して、EFSAは市販要請のあった第三国の伝統食品、すなわち外皮を除いたフォニオの穀粒について、EU内での販売に対して安全上の異議を唱えない。

  • 食品添加物再評価:11月のEFSAのワークショップは生後16週齢未満の乳児用食品に焦点を当てる

Food additive re-evaluation: EFSA workshop in November focuses on foods for infants below 16 weeks of age
19 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/press/news/180719-0
EFSAは生後16週齢未満の乳児用食品に使用することを目的とした多くの食品添加物の再評価に取り組んでいる。その中で、科学者たちはこれらの添加物に関してEFSAが以前に確認したデータギャップも取り扱っており、そのうち7件について、今週データ提供の呼び掛けが発表されている。
11月には、EFSAは現在取り組まれているこの業務の状況に関し、1日限りのワークショップを開催する。EUの組織、国際組織、国立機関、NGOs、産業界、研究所、学界の代表者はこのイベントに自由に参加できる。
こうした参加者には、FIP@efsa.europa.euに提案を送ってワークショップのプログラム作成を担うことも求めている。
イベントに関する追加情報や登録方法はEFSAのウェブサイトで追って発表される。お見逃しなく予定をあけておいてください!

  • 提出された補完データを踏まえたトリアゾール誘導体代謝物の農薬リスク評価についてのピアレビュー

Peer review of the pesticide risk assessment for the triazole derivative metabolites in light of confirmatory data submitted
EFSA Journal 2018;16(7):5376 27 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5376
トリアゾール系農薬の有効成分であるシプロコナゾール、ジフェノコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、マイクロブタニル、パクロブトラゾール、およびプロチオコナゾールについては、認可のために補完データの提出が求められていた。
しかし、提出された補完データは不十分で、消費者のリスク評価を完了することができず、いずれの有効成分についても結論を導出することはできなかった。

  • 有効成分フルチアニルについて統一のとれたハザード分類が為されたことが、その農薬リスク評価のピアレビューの結論に及ぼす影響

Statement on the impact of the harmonised classification on the conclusion on the peer review of the pesticide risk assessment of the active substance flutianil
EFSA Journal 2018;16(7):5383 27 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5383
フルチアニルは2011年に認可申請が出された新規有効成分で、2013年に報告担当加盟国(RMS)である英国から評価報告書案(DAR)がEFSAに提出された。EFSAがDARをピアレビューする時点でフルチアニルについて統一のとれたハザード分類が無かったため、EFSAは暫定的な分類を提示して結論を導出した。2016年になって欧州化学庁(ECHA)のリスク評価委員会(RAC)は、フルチアニルの分類を統一する提案についての意見を最終化した。
ハザード分類のいくつかの項目で、RACが提案する統一した分類はEFSAの結論で使用した暫定的な分類とは異なっていた。この違いは新情報に基づくもので、科学的な相違を意味するものではない。この文書により、EFSAは結論を更新してRACが提案した統一した分類を考慮に入れる。
この統一した分類により、EFSAの以前の結論における重要な懸念分野は再考された。新たな懸念分野は浮上しなかったが、以前に特定された懸念のいくつかは解決されないまま残された。

Re-evaluation of propane-1,2-diol alginate (E 405) as a food additive
EFSA Journal 2018;16(7):5371 27 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5371
ANSパネルは、アルギン酸プロピレングリコールエステル(E 405)の吸収、分布、代謝および排泄(ADME)のデータから、この添加物がプロピレングリコールとアルギン酸への加水分解されるという根拠を認めた。これらの2つの化合物は、食品添加物として使用する場合の安全性を最近再評価されている(EFSA ANS Panel, 2017, 2018)。そこでANSパネルは、これらの2つの加水分解誘導体の毒物動態学的および毒性学的な主要データを考慮に入れた。親化合物の亜急性および亜慢性混餌投与試験では、有害影響は報告されていない。食品添加物として親化合物使用する場合において、遺伝毒性の懸念はデータからは示唆されていない。親化合物、アルギン酸およびプロパン-1,2-ジオールに、発がん性に関する懸念は認められていない。ANSパネルは、親化合物の有害影響はいずれも、プロパン-1,2-ジオールに由来すると判断した。そのため、この食品添加物の許容一日摂取量(ADI)は、あらかじめ存在する遊離プロパン-1,2-ジオールと加水分解で放出されるプロパン-1,2-ジオールの量によって決められる。EUの規格書によると、遊離および結合型のプロパン-1,2-ジオールは、重量ベースで最大45%に達する。プロパン-1,2-ジオールの全身的利用能を最悪の100%と想定し、25 mg/kg体重/日というADIを考慮して、親化合物のADIとして55 mg/kg体重/日を導出した。食品添加物としてアルギン酸プロピレングリコールエステル(E 405)を使用しても、どの年齢集団の暴露推定量もADIを超えることはないとパネルは結論した。以上より、ANSパネルは認可された使用量で安全上の懸念は生じないと結論付けた。

  • 食品添加物としての硝酸アルミニウム化合物(E 520〜523)およびリン酸アルミニウムナトリウム(E 541)の再評価

Re‐evaluation of aluminium sulphates (E 520–523) and sodium aluminium phosphate (E 541) as food additives
EFSA Journal 2018;16(7):5372 27 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5372
ANSパネルは、暴露や毒性に関するデータは十分得られていると判断した。硝酸アルミニウム化合物類(E 520〜523)及びリン酸アルミニウムナトリウム(E 541)は、2、3の特定の製品においてのみ食品添加物として許可されており、それらへの暴露量はおそらくゼロに近い。アルミニウム化合物類の生物学的利用能は低く、急性毒性も低い。遺伝毒性と発がん性に関する懸念はない。亜慢性試験におけるアルミニウム化合物類の無毒性量(NOAEL)は、アルミニウムとしてラットで52 mg/kg体重/日、イヌで90 mg/kg bw/日、神経毒性に関するNOAELの最小値はラットにおける30 mg/kg体重/日、神経系の発達に関するNOAELの最小値はマウスとラットにおける10〜42 mg/kg体重/日だった。ANSパネルは、現在認可されている用途と使用量において、硝酸アルミニウム化合物類(E 520〜523)とリン酸アルミニウムナトリウム(E 541)により安全上の懸念は生じないと結論付けた。

  • 新規食品ホエイ塩基性タンパク質分離物の安全性

Safety of Whey basic protein isolates as a novel food pursuant to Regulation (EU) 2015/2283
EFSA Journal 2018;16(7):5360 27 July 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5360
この新規食品(NF)は、無脂肪牛乳からイオン交換クロマトグラフィーによって得られる。乳児以降用の調製粉乳や食事代替飲料、特定医療用処方食、およびフードサプリメントとしての使用が企図されている。提案された使用法に基づく最大摂取量は、乳児(1歳未満)で24.8 mg/kg体重/日、幼児(1〜2歳)で27.8 mg/kg体重/日、成人で13 mg/kg体重/日と推算された。組成、規格、生産工程および安全性の情報からは安全上の懸念は認められない。栄養的な不利益も考えられない。遺伝毒性の懸念もない。ラットの13日間あ慢性試験における無毒性量(NOAEL)は、2000 mg/kg体重/日であった。暴露マージン(MOE)は、成人で154、乳児で81、幼児で72であり、これらはみな十分な値であると判断された。NDAパネルは、提案された用途と使用量でこのNFは安全であると結論付けた。

Re-evaluation of glycerol esters of wood rosin (E 445) as a food additive
EFSA Journal 2018;16(7):5370 26 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5370
Pinus palustris (ダイオウマツ)やPinus elliottii (スラッシュパイン)由来のウッドロジンのグリセロールエステル(GEWR)について、1994年に食品科学委員会(SCF)は、許容一日摂取量(ADI) 12.5 mg/kg体重/日を設定した。ANSパネルは、このADIについて、全体的な毒性データベースに基づき、また生殖および発達毒性データがないことを考慮して、そうしたデータが提示されるまでの暫定値とすべきと結論付けていた。また、パネルは、ダイオウマツやスラッシュパイン由来のGEWRにおいて、特に毒性学的に重要な「グリセロールモノエステル」、「遊離樹脂酸」および「中性物質」の濃度が明確になっていないことを問題視した。したがって、ダイオウマツやスラッシュパイン由来のGEWRについて、化学的同等性評価はできない。また、安定性のデータや毒性データも入手できなかった。そのためパネルは、ダイオウマツやスラッシュパイン由来のGEWRの安全性評価を行うことができないと結論付けた。また、EUの規格において、GEWR (E 445)がグリセロールモノエステル、遊離樹脂酸および中性物質を含むこと明示すべきだと助言した。

The 2016 European Union report on pesticide residues in food
EFSA Journal 2018;16(7):5348 25 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5348
この報告書は、2016年にEU加盟国、アイスランドおよびノルウェーで行われた公的管理活動の実状を示すものである。詳細なデータ分析が、最重要食品における農薬の汚染実態や、欧州の消費者が食事を介して残留農薬に暴露されるリスクに関して行われた。全体として、84,657検体のうち96.2%(81,482検体)が規制値内に収まっていた。検体の50.7%が定量可能な量の残留物を含んでおらず(検出限界 (LOQ)以下の残留)、45.5%は最大残留基準(MRLs)を超えないが定量可能な量の残留物を含んでいた。残留農薬についての知見は次のように分類して示されている。植物由来製品、動物由来製品、輸入食品、オーガニック製品、およびベビー食品。急性およびび慢性食事リスク評価では、健康に悪影響を及ぼす可能性のあるレベルで残留農薬に暴露された欧州人の確率は低いことが示された。こうした分析結果に基づき、EFSAは消費者保護を高いレベルで確保する観点から、欧州の管理制度の有効性を高めるための多くの助言を提示した。

  • 使用後のPETを食品と接触する物質にリサイクルするために使用されるLinpac super cleanテクノロジーに基づく‘Linpac’プロセスの安全性評価

Safety assessment of the process ‘Linpac’, based on Linpac super clean technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials
EFSA Journal 2018;16(7):5323 25 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5323
このプロセスから得られるリサイクルPETを、パック詰めされる水を除く全ての種類の食品と接触を企図する製品に100%使用しても、安全上の懸念とはならない。この製品は、20°Cで10日間という溶出試験がカバーする条件で使用すべきである。この品物は電子レンジやオーブンでは使用するべきではない。

  • 遺伝子組換えトウモロコシ1507 × NK603株の認可更新のための評価(申請EFSA-GMO-RX-008)

Assessment of genetically modified maize 1507 × NK603 for renewal of authorisation under Regulation (EC) No 1829/2003 (application EFSA-GMO-RX-008)
EFSA Journal 2018;16(7):5347 25 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5347
EFSA-GMO-RX-008の認可更新申請に際し、トウモロコシ1507 × NK603株の当初のリスク評価の結論(EFSA, 2006)を変えるような新規のハザード、暴露状況の変更、科学的不確実性の増悪の根拠は認められない。

  • および飼料としての使用、輸入、加工のための遺伝子組換え綿花GHB614 × T304-40 × GHB119株の評価(申請 EFSA-GMO-NL-2014-122)

Assessment of genetically modified cotton GHB614 × T304‐40 × GHB119 for food and feed uses, import and processing under Regulation (EC) No 1829/2003 (application EFSA-GMO-NL-2014-122)
EFSA Journal 2018;16(7):5349 25 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5349
綿花GHB614 × T304‐40 × GHB119株は、従来対照株や非GM参照株と同様、ヒトや動物の健康および環境に影響を及ぼす可能性に関して、安全であると結論付けられる。

  • Symbiosal®と血圧低減および高血圧のリスクの抑制:健康強調表示の評価

Symbiosal® and lowering of blood pressure and reduced risk of hypertension: evaluation of a health claim pursuant to Article 14 of Regulation (EC) No 1924/2006
EFSA Journal 2018;16(7):5364 25 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5364
NDAパネルは、Symbiosal®摂取と血圧低減との間に因果関係は立証されなていないと結論付けた。

  • 食品添加物としてのフェロシアン化ナトリウム(E 535)、フェロシアン化カリウム(E 536)およびフェロシアン化カルシウム(E 538)の再評価

Re-evaluation of sodium ferrocyanide (E 535), potassium ferrocyanide (E 536) and calcium ferrocyanide (E 538) as food additives
EFSA Journal 2018;16(7):5374 25 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5374
フェロシアン化合物(E 535〜538)は、塩の代用品として2つの食品区分においてそれぞれ単独で認可されている。評価に当たり、食品添加物として使用するフェロシアン化合物(E 535〜538)への食事暴露量が、規制内の最大暴露量(最大許容量(MPL))を用いた評価シナリオと詳細暴露評価シナリオに基づいて、平均値と高用量の場合とが算出された。MPLシナリオでは、食品添加物として使用するフェロシアン化合物(E 535〜538)への最大暴露は子供と青年における0.009 mg/kg体重/日だった。詳細推定暴露シナリオでは、最大暴露は子供と青年における0.003 mg/kg bw/日だった。フェロシアン化合物の吸収は少なく、ヒトでは蓄積されない。遺伝毒性と発がん性に関する懸念はない。生殖試験のデータは得られなかったが、出生前発達毒性試験から、フェロシアン化ナトリウムの無毒性量(NOAEL)として1,000 mg/kg体重/日が特定された。腎臓はフェロシアン化合物の毒性の標的器官と考えられ、ラットの慢性試験(2年間)において、腎臓に対する影響に関し、フェロシアン化ナトリウムのNOAELとして4.4 mg/kg体重/日が特定された。この化合物の毒性はフェロシアンイオンのみによると思われることから、ANSパネルはフェロシアン化ナトリウム、カリウム、カルシウムのグループ許容一日摂取量(ADI)を、フェロシアンイオン換算で0.03 mg/kg 体重/日と設定した。パネルは、フェロシアン化合物(E 535〜538)は現在認可されている用途と用量で安全上の懸念を生じないと結論付けた。

  • 食品および飼料における新興リスクの特定–EFSAの手順の検証

Emerging risks identification on food and feed―EFSA
EFSA Journal 2018;16(7):5359 26 July 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5359
EFSAは、食品や飼料における新興リスクを特定するための手順を確立している。主な内容は以下のとおり。
(i) 新たに発生した問題の特定、影響の見極めおよび情報の伝搬を行い、関連ネットワークおよび国際機関との連携を確保する。
(ii) データの供給源の特定、および優先順位の高い新規発生問題のデータ収集やデータ生成を行う。
(iii) 収集した情報の評価付けを行い、新興リスクを特定する。
新興リスクに関する常設作業部会(SWG-ER)は、新興リスクの特定(emerging risks identification: ERI)作業で協働し、EFSAのERI手順に基づいて過去に実施されたあるいは実施中のプロジェクトに照らして、EFSAの業務に関して戦略的な方向性を提示する組織である。SWG-ERは、EFSAが確立したERIのための方法論およびその成果を検証した。
新たに発生した問題を特定するための、専門家のネットワークに基づいた体系的なアプローチは、EFSAのERI手順の大きな長所であったが、現在では短〜中期的な単一の問題に焦点が当てられ、一貫した重みづけや順位付けが為されず、フォローアップ活動を伴う形での新興リスクの明確な管理が行われていない。データ収集、分析、統合の面で弱点が指摘される。回避したリスクに照らしてその手順で得られた成果を推算する方法論が無く、データ不足や知見の不確実性およびリスク認識の問題に対処するための情報伝達戦略が緊急に必要とされている。
SWG-ERは、以下の3つの分野に関して助言を提示した。
(i) フードシステムに基づいた手法をさらに進展させる。それには、活動主体と規制主体との間の相互作用と動態関係をより良く理解するための社会科学の統合、および組織を横並びに捉えたプロトコルの開発が含まれる。
(ii) データ処理経路を改善して、ビッグデータ分析能力を備える。データ検証システムを実現する。また、相互恩恵を追求したデータ共有協定を推進する。
(iii) ERIのためのEFSAの手順を改定し、透明性を高め、コミュニケーションを改善する。

  • イライト、モンモリロナイトおよびカオリライトから成る全動物種向け天然混合物(Argile Verte du Velay)の安全性

Safety of natural mixture of illite, montmorillonite and kaolinite (Argile Verte du Velay) for all animal species
EFSA Journal 2018;16(7):5387 24 July 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5387
この添加物は、主成分としてイライト(約53%)、モンモリロナイト(約16%)およびカオリナイト(約17%)を含む天然混合物で、MIMKとも呼ばれる。2016年と2017年の科学的意見およびその後申請者から提出された家禽での耐容試験データに基づき、FEEDAPパネルは完全飼料1 kg当たり50,000 mg/kgは肥育鶏、育成期のマイナー家禽種、肥育牛、育成期のマイナー反芻獣、および育成豚にとって安全であると結論付けた。この濃度で仔豚における安全マージンが特定できなかったため、他の全ての動物種および他の飼育区分については少なくとも2.5の安全マージンが確保できる20,000 mg/kgが安全であると結論付けた。

  • 酪農用緬山羊向け飼料添加物としてのLevucell(レブセル)®SC(Saccharomyces cerevisiae CNCM I-1077株)の認可更新申請審査

Assessment of the application for renewal of authorisation of Levucell®SC (Saccharomyces cerevisiae CNCM I-1077) as a feed additive for dairy ewes and dairy goats
EFSA Journal 2018;16(7):5385 24 July 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5385
この製品は現在、馬、仔羊、酪農用羊、酪農用山羊、乳牛、肥育牛の飼料添加物として認可されている。この意見書では、酪農用緬山羊での用途についての認可更新を扱う。Saccharomyces cerevisiaeの安全性評価に関しては、QPR(安全性適格性推定)アプローチが適しているとされている。この添加物中の菌株は、特性が確立されており、対象動物種、消費者、環境にとって安全であると考えられる。Levucell® SCも、菌以外の成分に懸念を生じるものがないことから、同様に安全であると考えられる。申請者が提出したデータは、市場の製品が認可条件を満たしていることを示しており、また技術文書からも、FEEDAPパネルが以前に導出した結論を再考しなければならなくなるような新知見は示されていない。

  • 鶏肥育用Aviax 5% (セムズラマイシンナトリウム)の安全性と有効性に関する科学的意見

Scientific Opinion on the safety and efficacy of Aviax 5% (semduramicin sodium) for chickens for fattening
EFSA Journal 2018;16(7):5341 23 July 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5341
Aviax 5%の有効成分セムズラマイシンナトリウムは、抗コクシジウムイオノフォア剤であり、Actinomadura spp. (ATCC 53664株)が発酵により産生し、菌糸の中に含まれる(菌糸型)。
データ不足のため、FEEDAPパネルはAviax 5%の肥育鶏における安全性の結論を導出できなかった。菌糸型のセムズラマイシンナトリウムは、遺伝毒性を示さない。結晶型セムズラマイシンより毒性が高いという根拠は無く、結晶型の0.00125 mg/kgというADIは菌糸型にも当てはめられる。
休薬期間(24時間)が守られている場合、消費者は安全である。
Aviax 5%の皮膚刺激性、眼刺激性、皮膚感作性、呼吸器感作性については結論は導出できない。モデル化からは使用者の吸入暴露によるリスクが高いことが示されている。
最大用量の飼料1 kg当たり25 mg/kgでもAviax 5%が陸生環境にリスクを生じることは無いが、水性環境へのリスクや地下水汚染の可能性は除外できない。
Aviax 5%は、最小用量の飼料1 kg当たり20 mg/kgでコクシジウムに対して有効性を示す。

  • 鶏卵膜の加水分解産物の新規食品としての安全性

Safety of egg membrane hydrolysate as a novel food pursuant to Regulation (EU) 2015/2283
EFSA Journal 2018;16(7):5363 23 July 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5363
この新規食品(NF)は、鶏卵の卵殻の内側を覆う薄膜をアルカリ処理することによって生産され、主にエラスチン、コラーゲンおよびグリコサミノグリカンを含んでいる。製造工程、バッチ間のばらつき、組成および規格の情報は十分に提示され、安全上の懸念を生じない。成人が最大1日量450 mgでフードサプリメントとして用いることを想定している。このNFが栄養的に害をもたらすことは無い。ヒトで行われた1件の試験(安全性が主目的の試験ではない)では、安全性の懸念は認められなかった。NDAパネルは、このNFは、450 mg/日の用量で、対象とする一般成人がフードサプリメントとして使用しても安全であると結論付けた。

  • 更新: 動物由来食品中に未承認の薬理有効成分を検出した際の規制のための参照基準を設定する場合に考慮すべき方法論的原則および科学的方法

Update: methodological principles and scientific methods to be taken into account when establishing Reference Points for Action (RPAs) for non-allowed pharmacologically active substances present in food of animal origin
EFSA Journal 2018;16(7):5332 24 July 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5332
この文書は、動物由来食品中に未承認の薬理有効成分を検出した際の措置の根拠となる参照基準(Reference Points for Action: RPAs)を設定するための、分析と毒性学の両面を考慮した簡潔で実用的な手法を提示するガイダンスである。RPAは、合理的に達成可能な判定限界(CCα)の下限値とみなされる。この濃度が消費者を適切に保護するのに十分低い値であるかどうかを検証する必要がある。提示されている段階的手法では、遺伝毒性、薬理活性、および他の作用に基づいた毒性学的スクリーニング値(TSVs)が採用されている。対象とする化学物質の合理的に達成可能なCCαに対応する最大食事暴露量が推算され、TSVと比較されることが求められる。最大食事暴露量の推算値がTSV以下である場合、合理的に達成可能なCCαはRPAとして許容される。TSVより大きい場合、分析法の感度の向上が求められる。短〜中期的に分析感度の向上が望めない場合、その化学物質固有のリスク評価が考慮されなければならない。それは、強力な発がん性物質無機化学物質、ないしはアレルゲン作用のあるまたは造血機能障害を引き起こす化合物のように、潜在的な有害影響に関してこの意思決定木が使えない場合にも当てはまる。CONTAMパネルは、RPAsは食品マトリックスに左右される性質のものと結論付けている。非可食マトリックスも未承認の薬理有効成分の監視に供されるが、RPAsは、非可食マトリックスに当てはめることはできない。