食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

杏仁はシアン化物中毒のリスクを生じる

Apricot kernels pose a risk of cyanide poisoning
News of 03/08/2018
https://www.anses.fr/en/content/apricot-kernels-pose-risk-cyanide-poisoning
ジャムを作るする人にとってはお馴染みの成分である杏仁は、「抗がん」作用があるという触れ込みで天然療法物質としてますます消費されるようになている。1個の杏仁を何個かの容器のジャムの香りづけに加えるだけなら問題にはならないが、大量にそれを摂取した場合には、シアン化物中毒のリスクが生じる。ANSESは、中毒監視計画を通じてフランスにおける杏仁中毒を何例か確認しており、消費者に注意を促している。
杏仁は、杏子の内果皮の中にある種子である。大量にそれを摂取した場合、シアン化物中毒を起こすリスクがある。これは杏仁が相当な量のアミグダリンを含んでいるためである。アミグダリンは天然に生成され、消化を受けると毒性の強いシアン化物に転換される。そのためANSESは、杏仁の摂取量がEFSAが定めた1日量を超えないように注意喚起している。そのおおよその1日量は、成人では杏仁1〜3個、年少者には小さめの杏仁で半分である。
杏仁は、近年とても人気が出てきており、抗がん食品として市場に出回っている。高用量が推奨されており、1日量は予防目的での10から治療目的での60個にまで及んでいる。ANSESでは、目下のところがんの予防や治療において杏仁が有効であることを示す科学的根拠は皆無であることを指摘している。さらに、高用量の杏仁を摂取した場合、痙攣、呼吸器障害、心拍数低下、意識不明、さらには昏睡といった急性中毒症状が引き起こされる可能性がある。
ANSESは、中毒監視計画の一環で、2012年以降にフランス中毒管理センター(CAPs)のネットワークに報告された杏仁中毒の症例を数例確認している。報告された主な症状は、眩暈、不快感、頭痛、消化異常、動悸および呼吸困難である。
非常に深刻な症例は報告されていないものの、ANSESは、「抗がん」のための高用量を摂取した場合に重篤な中毒を起こすリスクについて消費者に強く警告する。したがって、杏仁の摂取は、今後も適量を保ってほしい。