食品安全情報blog過去記事

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ヒトの病気を予防・治療するための生きた微生物ベースの製品の科学と規制の進歩に関するFDA長官Scott Gottlieb医師の声明

Statement from FDA Commissioner Scott Gottlieb, M.D., on advancing the science and regulation of live microbiome-based products used to prevent, treat, or cure diseases in humans
August 16, 2018
https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm617168.htm
過去数年、健康維持と疾患予防や治療に果たす微生物の役割への科学的及び一般からの関心が増加している。今日、かつてないほど消費者が「善玉」細菌というフレーズに慣れ親しみ、それが各種疾患予防に役立つのではないかと期待している。分野が発展するに従い、FDAはこの進化する分野の科学と虚構を区別するのに重要な役割を果たす。
我々は細菌感染やその抗生物質治療のようなある種の医学的問題が、自然に体内にいる微生物の構成をかく乱する可能性があることを知っている。体表面及び体内にいる生物の集合体である微生物叢は、患者の薬物への反応に影響する可能性があり、微生物叢の操作でがん治療の改善の可能性を示した研究があることも知っているまたある種の微生物がある種の疾患の予防に役立つかもしれないという予備的根拠もある。
たとえば、研究者らはプロバイオティクスの形である種の微生物を投与することが未熟児の壊死性腸炎予防に役立つかどうかを研究している。この最も弱い集団のことを考えると、これが可能かどうかはもっと研究する必要がある。
これまでのところ未熟児で集めたデータは異なるプロバイオティクス製剤がしばしば他の介入方法と一緒に使われていて解釈が困難である。未熟児にプロバイオティクスを使うことが臨床上意味のある効果があるか、どのタイプが最も有効かを理解するのは重要である。この集団での使用で重大な副作用が報告されているからである。我々はこうしたリスクを非常に心配し使用を監視している。こうしたリスクは、重大な病気を予防する利益についてのより決定的根拠の必要性を強調する。リスクの可能性を正当化するだけのベネフィットがあることを確認する必要がある。こうした製品が最も弱い患者に使われているため、特に重要である。我々は安全でないあるいは違法な製品には対応を検討するだろう。
2016年にFDAはプロバイオティクスを医薬品として研究している研究者らが早期臨床試験に必要な要求事項を満たすためにどうすればいいのかを説明したガイダンス文書を発表している。こうした製品の安全性と有効性を適切に理解するために臨床科学を進展させるには各種関係者とFDAの継続した協力関係とさらなる作業が必要である。我々はその目標に向かって作業している。
またFDAは生きた生物治療製品(LBP)、ヒトの病気を治療または予防するために使われる生きた生物を含む生物製剤、としてワクチン以外にはどのようなプロバイオティクス製品も認可してはいない。しかしながらFDAが規制対象とするダイエタリーサプリメントを含む食品にはプロバイオティクスを含むものが広く販売されている。これらはどんな病気でも治療・緩和・予防するために販売することは違法である。2016年のガイダンスでは一部の食品又はダイエタリーサプリメントとして合法に販売されているLBPを研究目的で使用するためにはどうすればいいかも明確にしている。
FDAはまたサプリメントの成分表示にプロバイオティクスのコロニー形成単位と重量を明示して情報をさらに明確にする方法を検討している。ダイエタリーサプリメントを含む食品中のプロバイオティクスの利益の可能性について関心が高まり続けていることを理解し、消費者がより情報を与えられた上での選択をするのに役立つ情報を提供する努力を業界とともに行っている。
この分野への強い関心と急速に進化する科学を鑑み、FDAは9月17日にNIHと共催でマイクバイオームベースの製品とマイクロバイオームの操作が各種疾患の治療や予防に使える可能性について議論するワークショップを開催する。生きたマイクロバイオームベースの製品の規制枠組み、ヒト疾患予防や治療に使用した場合の安全性と有効性、系統選択などを含む各種トピックについてプレゼンが行われるであろう。パネルディスカッションも含む。
このワークショップはこの分野のレギュラトリーサイエンスを進化させ、我々の規制対象製品の評価のための現代的で効果的政策を作るのを確実にするためのより広範な努力の一部である。我々はこれら製品の提供する利益の可能性を認識しているが、同時にある種のリスクも同定している。これらが医薬品として販売されるなら適切に評価され、普通の食品やダイエタリーサプリメントとして使われるなら消費者にはその決定の根拠となるより良い情報を持っていることを確実にする必要がある。質の高い臨床試験実施を促すことで、FDAとNIHはマイクロバイオームの新しい科学の全ての可能性が認識され個人と公衆衛生の両方に利益となることを望む。
(日本では医薬品ではないものを新生児に与えているけど何かあったらどうするんだろうttps://mainichi-nyuulife.com/material/bifidobacterium_M-16V.html)

  • 2016年ガイダンス文書

Early Clinical Trials with Live Biotherapeutic Products: Chemistry, Manufacturing, and Control Information
Guidance for Industry
https://www.fda.gov/downloads/BiologicsBloodVaccines/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/General/UCM292704.pdf