食品安全情報blog過去記事

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論文

  • Science

エディトリアル ブラジルの危機
Crisis in Brazil
Beatriz Barbuy
Science 28 Sep 2018:Vol. 361, Issue 6409,
ブラジルの国立博物館の焼失の背景にあるのは財政難による科学予算削減
科学技術革新コミュニケーション省の予算は2010年の40%しかない(2016年にコミュニケーション省が統合されたにもかかわらず)
来月の大統領選挙はチャンス
(他人事ではないのだけれど)

  • 政策フォーラム

がん予防:分子及び疫学的コンセンサス
Cancer prevention: Molecular and epidemiologic consensus
Mingyang Song et al.,
Science 28 Sep 2018:Vol. 361, Issue 6409, pp. 1317-1318
多くのがんが予防できることについて相当な疫学データがあるにも関わらず、先進国のがん死亡率の減少は心疾患の減少に比べてはるかに少ない。その一因は予防研究への支援の少なさにあると信じる
がん研究費の多くが進行したがんの治療に割りあてられている。患者の治療の成功のほうが予防よりドラマチックであり予防に対して感謝する人はあまりいない。企業も予防にお金を出す理由はない。しかし進行したがんを治療するのは非常に困難である。
環境要因やライフスタイルの変更で全てのがんが予防できるわけではない。がんの発生には正常なDNA複製時のランダムな間違いによる変異が大きな役割を果たしていることがわかってきた。このDNA複製(R)と環境とライフスタイル(あわせてE)、そして遺伝要因(H)のHERモデルががん研究とがん予防に展望を与える(図がある)
研究の優先順位を変えていこう。根拠にもとづいた有効な方法を採用するための障害を克服する行動や政策の研究にもっと投資する必要がある。
(いろいろ略)

The making of a plankton toxin
Georg Pohnert
Science 28 Sep 2018:Vol. 361, Issue 6409, pp. 1308-1309
ドーモイ酸の生合成について
どうしてこんな毒素を作るのかについての疑問の答えも手にはいるかもしれない
コンシューマーラボ
関節の健康サプリメントレビュー(グルコサミン、コンドロイチン、MSM、ボスベリア)
Joint Health Supplements Review (Glucosamine, Chondroitin, MSM and Boswellia)
9/29/18
https://www.consumerlab.com/reviews/Review_Glucosamine_Chondroitin_MSM_Boswellia_Supplements/jointsupplements/
13製品を調べたところ、2製品は表示より相当少ない量しか含まれず、別の一つは量が最初から少なすぎる、2製品は何が含まれるかは「特許の混合物」として開示していない
製品により塩(硫酸塩、塩酸塩など)の形と由来が多様

  • 皮膚は突然変異の戦場である

Skin is a battlefield for mutations
27-Sep-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-09/wtsi-sia092618.php
科学者は何故我々の皮膚のたくさんの変異細胞のうちほんの僅かしか最終的に腫瘍を形成しないのかを発見
Cell Stem Cellに発表されたWellcome Sanger研究所とケンブリッジ大学MRCがんユニットが遺伝子組換えマウスを使って調べた研究。日光に暴露したヒトの皮膚にはたくさんの変異細胞がいる。それらは増殖してクローンを作ろうとお互いに競争する。そして多くがこの競争で敗れて皮膚組織から失われる、まるで進化の際におこる種の選択のように。このような競合の最中でも皮膚の組織と機能は維持される。

  • ある種のライフスタイルや環境要因によるがんリスクは予防できる

Cancer risk due to certain lifestyle and environmental factors is preventable
28-Sep-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-09/dai-crd092818.php
Deutsches Ärzteblatt International (Dtsch Arztebl Int; 115: 571-593).
ドイツでは新たながんの10例中4例はライフスタイルや環境要因による。それらは主に喫煙、運動不足、過体重、感染症である。ドイツでのこれらの影響を評価した。
圧倒的にタバコ。全ての新たながんの19%がタバコによる。過体重が7%、運動不足が6%、感染症が4%。それより少ないが意味のあるリスクとなるものとしては飲酒、加工肉、野菜果物不足、屋内ラドン粒子状物質、日焼けマシン。
(ドイツ人ソーセージ食べながらビール飲む印象があるのにどっちも寄与率低いなぁ・・体重増加に配分されてるのだろうか)

  • あたらしい研究が科学助言委員会のデザインに役立つ

New research helps to inform the design of scientific advisory committees
28-Sep-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-09/yu-nrh092818.php
フェイクニュース」の時代に、科学的助言の正当性を守る
ヨーク大学世界戦略研究室の研究者らがGlobal Challenges.の特別号に報告。
WHOの委員会についてなどを検討した12報が政府や国際機関に科学助言委員会を作るときのガイダンスを提供する
重要なことは、委員会のメンバーの利益相反やバイアスなどは明確にする、科学的プロセスの高潔さを損なわないようにしつつ関係者を関与させる、科学的不確実性に直面した場合に根拠の扱い方などは透明にすべきで議論は継続する、など