食品安全情報blog過去記事

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SMC UK

  • ヒト以外の霊長類での乳腺マイクロバイオームと食事を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at diet and the breast microbiome in non-human primates
October 3, 2018
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-type-of-diet-and-the-breast-microbiome-in-non-human-primates/
Cell Reportsに発表された研究が乳腺の微生物に与える食事の影響を示唆した
ケンブリッジ大学がん疫学教授Paul Pharoah教授
プレスリリースは「女性の乳がんリスクが高脂肪西洋風食生活で増えるが地中海食で減る」だが、より正確には「女性の乳がんリスクが・・関連する」であろう。関連が因果関係であるという根拠はほとんど無いからだ。
この研究はマカクサルの食事を変えると乳腺にいる細菌の種類が変わることを示した。ヒトでもおこるかもしれないが確認データはない。さらにこの乳腺の細菌の組成が病気や健康とどう関係するのかを示すデータもない。
まとめると、この研究はそこそこ興味深い知見だがヒト健康にはあまり関係ない。

  • 加工肉と乳がんを調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at processed meat and breast cancer
October 3, 2018
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-processed-meat-and-breast-cancer/
International Journal of Cancerに発表された研究が加工肉を多く食べることが乳がんリスクの高さと関連するが赤肉は関連がないという根拠を提供する
Reading大学栄養と健康准教授Gunter Kuhnle博士
この研究はしっかりしてるようだが、もちろんもとの研究のデータに依存する。加工肉は既に「ヒト発がん性」に分類されているがそれは主に大腸がんのリスクを上げるからである。メカニズムについては諸説あり、全てが寄与しているだろう。しかし個人レベルでの実際のリスクの大きさは僅かである。この新しい研究は乳がんでもリスクが増加することを示したがそのリスクは大腸がんよりさらに小さい。最も多く食べる人と最も少なく食べる人で10%の差である。しかし乳がんと大腸がんは英国では最もよくあるがんなので小さな変化でも大きな影響がある。従って加工肉に関連するリスクを下げる方法を探る−例えば新しい製造法など−は重要である。食生活の変更も役にたつ可能性がある。
Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授
これは概して適切な研究だがその解釈は簡単ではない。関連が因果関係かどうかは知ることができない。知識を少し増やしたが答えられない疑問は多く残る。
この新しい解析で含めた研究はほぼ全てが観察研究である。そのような研究では、食べる肉の量が違う人は他のものの食べる量も違う可能性が高く、見かけ上の差は他の要因によるかもしれない。研究者らは調整できるがそれはデータがあるものについてだけである。もとの研究は非常に多様である。研究者は解析対象の研究が均一ではないことを発見している。それは当然である。研究毎に分類(高摂取群、低摂取群の)が違えば結果も違うだろう。従って9%のリスク増加が実際に何を意味するのかは言うのが困難である。
この研究が実際に示したのは多分、このように多様でばらばらな研究から確定的情報を得るのは難しいということだろう。

  • 一次産業におけるゲノム編集−専門家の反応

SMC NZ
Gene editing in primary industries – Expert Reaction
Published: 04 October 2018
https://www.sciencemediacentre.co.nz/2018/10/04/gene-editing-in-primary-industries-expert-reaction/
新しいディスカッションペーパーが、ニュージーランドの一次産業のための遺伝子編集の利用可能性について評価する
ニュージーランドは遺伝子編集については歴史的に保守的態度をとってきたが、その技術で病気に強いマヌカを作ったりミルクからある種のアレルゲンを除去したりできるかもしれない、新しいニュージーランド王立協会報告書が言う
このディスカッションペーパーはニュージーランド王立協会の「アオテアロアマオリ語、ニュージーランドのこと)におけるゲノム編集」プロジェクトによるシリーズの三番目で、遺伝子編集は農業、園芸、森林部門に利益をもたらす可能性があると述べている。協会は今月国内で三回のワークショップを開催し一般からの意見を求めている。
SMCは以下の分野の科学者からコメントを求めた。
乳業と放牧地、りんご、マヌカ、野生の松の木
(コメント略、科学者なので概ね技術を使いたい、でも冷静な議論は難しいだろうなといったところ)