食品安全情報blog過去記事

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ピアス病菌(Xylella):寄生植物データベース更新

Xylella: host plant database updated
10 September 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/press/news/180910
EFSAは欧州域で果樹や他の植物に影響を及ぼす植物病原菌である、ピアス病菌の知見と理解を十分に広げる作業2件を終えた。EFSAはピアス病菌の寄生植物のデータベースの最新改訂を発表した。更新リストには新しい文献研究や、EUの植物健康遮断通知を受け報告するEUROPHYTへの通知から確認された563種の植物が含まれている。そのうち312種は、少なくとも2つの検出方法で感染が確認されている。現在このリストには、病原菌種X. fastidiosa とX. taiwanensis両方が含まれ、ピアス病菌への抵抗性や耐性のある植物種についての情報も含まれている。このデータベースは科学者やリスク評価者に重要な証拠を提供し、植樹用植物検査など、調査や他の植物検疫手段を行うリスク管理者を支えている。EFSAの植物の健康に関するパネルは、2015年に発表されたこの病原菌のリスク評価の一部としてX. fastidiosaのペスト分析も改訂した。この改訂には、EU内外のX. fastidiosaの生態や分布、欧州の媒介昆虫の存在や分布に関する最新情報が含まれている。欧州のアウトブレイクや影響を受けた植物種についての情報も含まれている。X. fastidiosaの新しい完全リスク評価は2019年初めに完了する予定である。

  • ピアス病菌(Xylella種) 寄生植物データベースの改訂

Update of the Xylella spp. host plant database
EFSA Journal 2018;16(9):5408 10 September 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5408

  • 病原菌Xylella fastidiosa分類改訂

Updated Xylella fastidiosa pest categorization
EFSA Journal 2018;16(7):5357 23 July 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5357
欧州委員会の要請を受けて、EFSAの植物の健康パネルは、2015年に発表された病原菌リスク評価の一部として以前に発表された病原菌Xylella fastidiosaの分類を改訂した。X. fastidiosaはグラム陰性菌で、ピアス病、モモのホニイ病、カンキツ斑入り萎黄病、オリーブ急速衰弱症候群、アーモンド葉焼け病および様々な他の葉焼け病など、様々な植物の病気の原因となる。この病原菌は米国で流行し、イランにも存在する。EUでは、イタリアのプーリア州南部、コルシカ島、フランスのプロバンス・アルプス・コートダジュール、スペインのマドリッド自治区アリカンテバレアレス諸島で報告されている。状況報告は、バレアレス諸島以外は「一時的に撲滅状態」で、コルシカ島、プーリア州南部は「封じ込め状態で流通規制あり」。この病原菌はEC議会指令2000/29/ECおよびEU決定2015/789の緊急手段(改訂されたEU決定 2017/2352)で規制されている。この病原菌は植樹用寄生植物や感染性の媒介昆虫を通してEUに入り込んだ。寄生の範囲はEFSAの寄生植物データベースに記載された何百もの寄生種に及ぶ。EUでは寄生植物は広範に分布しており、その集団に気候条件が合っている。X. fastidiosaは植樹用寄生植物の移動や感染症の媒介昆虫で広まる可能性がある。X. fastidiosaはアーモンド、柑橘類、ブドウの木、オリーブ、核果類を含む主要農作物や、影響力の大きい森林樹、造園、観賞用樹木に深刻で直接的な被害を及ぼす原因となることが知られている。EUの検疫有害動植物の可能性としてパネルが検討する評価基準に合っている(この病原菌はEUに存在するが、流通規制されており、公的管理下にある)。X. fastidiosaは、この病原菌が媒介昆虫の伝染によって広まる可能性もあることから、規制非検疫有害動植物(RNQP)とされていない。