食品安全情報blog過去記事

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フッ素の最大耐容量について

Opinion adopted by the NDA Panel on 22 February 2005
16 March 2005
http://www.efsa.eu.int/science/nda/nda_opinions/851_en.html
フッ素はヒト成長や発達に必須ではないが約0.05mg/kg体重の摂取や局所塗布は虫歯予防に効果がある。歯のエナメル質はフッ素を含むと酸に強くなり虫歯になりにくくなる。またフッ素は口腔内細菌による糖の代謝を阻害する。
体内フッ素濃度は生理的に調節されず、吸収されたフッ素は一部は骨に吸着し一部は排出される。乳児では骨への吸着率は吸収量の90%になることもあるが成人では50%以下である。0-8才くらいのエナメル形成時に過剰のフッ素を摂取するとエナメル質のミネラル含量が低下し歯フッ素症を誘発することがある。歯フッ素症は0.08-0.12 mgフッ素/kg体重/日の摂取量の集団で5%以下にみられることから、フッ素の上限を1-8才の子どもで0.1mgフッ素/kg/dayと考える。これは1-3才の子どもで一日1.4mg、4-8才で一日2.2mgに相当する。
骨へのフッ素の蓄積は骨の強度を増加させるが、フッ素の過剰長期摂取は骨の強度を減少させ骨折や骨フッ素症を誘発する。0.6 mg/kg体重/日のフッ素を治療目的で数年経口投与した閉経後の女性で骨折リスクが増加したことから、安全係数5を採用して上限0.12mg/kg/dayを導出した。これは9-14才の子どもで一日摂取量7mg、15才以上で 7mgに相当する。
飲料水中フッ素濃度1.0 mg/Lを超えない場合は1-8才の食品及び水からのフッ素摂取量は上限を下回る。乳児に関しては上限を設定しない。母乳で育てられている場合母乳からのフッ素摂取は非常に低く(2-40 mg/day)、一日0.25mgを添加しても歯のフッ素症発症リスクは低い。食品に関する科学委員会では乳児用ミルク及びフォローアップミルクのフッ素濃度を最大0.6-0.7 mg/L(体重5kgで約0.1 mg/kg/dayに相当)に設定している。粉ミルクの場合、溶かす水に0.7 mg/L以上のフッ素が入っていればこの最大値を超える。8才以上の子ども及び大人に関しては通常の食事で上限を超える可能性は低いが、2-3mg/L以上の高濃度のフッ素を含む水を飲む場合には上限を超える可能性が高くなる。