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米国チキン評議会
National Chicken Council
調理肉や鶏肉のHCAやPHiPとは何か?それは危険なのか?
What are HCA’s and PHiP in cooked meat and poultry?
Are they dangerous?
Revised October 20, 2006
http://www.nationalchickencouncil.com/files/HCAs.pdf
食肉を高温で加熱すると、特に直火で調理した場合、肉の蛋白質が化学変化を起こして色が変わり良い匂いがする。この時肉の表面ではメイラード反応と呼ばれる複雑な過程で数百の化学物質が生じる。そのうちのいくつかの化合物がヘテロ環状アミン(HCA)類と呼ばれ、物質毎にIQやDiMeIQx、MeIQxといった個別の名前がある。そのうちの一つがPHiP(2-アミノ-1-メチル-6-フェニル-イミダゾ[4,5-b]ピリジン)で、肉や鶏肉を揚げたり焼いたりバーベキューしたりというような高温で生じる。生の肉には含まれない。
PHiPやHCAには発ガン性の可能性があるとされる。これは実験室で大量の物質を与えたマウスでの結果による。ただしマウスにガンを誘発した濃度は調理チキンに含まれる量の数千倍である。マウスに与えたのは300ppm、グリルドチキンのPHiPは226 ppb(b強調)である。従ってマウスに与えた量を食べるには鶏肉腿スティック1000本を一度に食べないといけない。これは人間が食べられる量ではない。
問題なのは普通の調理肉を食べたときの発ガンリスクはあるかどうかである。いくつかの研究に拠ればリスクはないか極めて少ない。

参照
米国NCIによるファクトシート
調理肉中のヘテロ環状アミン
Heterocyclic Amines in Cooked Meats
09/15/2004
http://www.cancer.gov/cancertopics/factsheet/Risk/heterocyclic-amines
・肉に含まれる蛋白質の構成成分であるアミノ酸クレアチンから高温でヘテロ環状アミンを生じる。ヒト発ガンリスクの可能性があるとされる17種のヘテロ環状アミンが同定されている。
・ほとんどのタイプの肉は加熱するとヘテロ環状アミンができる
・疫学研究では良く焼いたビーフを食べる人の方が生に近いビーフを食べる人より胃ガンのリスクが低いという報告がある。関連があるのはウェルダンのステーキ、フライ、バーベキュー肉である。
ヘテロ環状アミンの生成が多いのは筋肉(卵や豆腐やミルクは少ない)
・高温(200-250℃以上、茹でたり電子レンジではあまりできない)
・家庭調理(ファストフードレストランの食品では少ない)
・現在最大摂取許容量は設定されていない。心配な人は肉をバーベキューなどする前に電子レンジで加熱するなどの対応ができる。

(PCRMがファストフードのグリルドチキンをPhIPが含まれるためカリフォルニア州Proposition 65違反だとして訴えた件に関連)
PCRMのプレスリリース
Fast-Food Grilled Chicken Contains Dangerous Carcinogen,Laboratory Tests Reveal
September 28, 2006 http://www.pcrm.org/news/release060928.html