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遺伝子組換えトウモロコシ「イベント32」に関するUSDA、EPA、FDAの声明

USDA, EPA and FDA Statement on Genetically Engineered Corn "Event 32"
02/22/2008
http://yosemite.epa.gov/opa/admpress.nsf/dc57b08b5acd42bc852573c90044a9c4/d6e59239f16a8fa1852573f7006c1fc3!OpenDocument
http://www.aphis.usda.gov/newsroom/content/2008/02/ge_corn_e32.shtml
USDAのAPHIS、EPAFDAは、ダウアグロサイエンス社から、市販されている遺伝子組換え(GE)ハイブリッドトウモロコシ種子系統の3つから極めて微量の、植物導入保護剤(PIP)3として知られる未登録GE殺虫剤成分が検出されたとの報告を受け、協力して対処している。未登録製品は登録製品と同じ蛋白質を生産する。USDA、EPAFDAは公衆衛生や食品及び飼料の安全上の問題はないと結論している。さらにUSDAとEPAは未登録GEトウモロコシPIPに植物害虫や環境への懸念はないと結論している。
未登録GEトウモロコシPIPはイベント32と呼ばれるもので、Herculex RW 及び Herculex XTRA 根切り虫保護剤の一部に検出された。微量の未登録イベント32を含む種子は、2006年と2007年にダウの系列会社Mycogen Seedsによりそれと気づかず農家に販売され栽培された。EPAとUSDAはよく似たPIPを含む Herculex 根切り虫保護剤、イベント22を認可している。これらの製品は外国でも認可されて使用されている。
イベント32の生産する蛋白質は認可されているイベント22のものと同一で、既存許容除外対象である。EPAがイベント32を含むトウモロコシが食品や飼料に含まれるとしても極僅かであるため安全であると結論したため、FDAは食品や飼料の安全性に問題はないと結論した。さらにAPHISは科学的解析の結果、植物害虫や環境への懸念はないと結論している。
2008年のトウモロコシには影響はない。
イベント32は、問題のHerculex種子製品中約1000個に3個の非常に少ない割合で検出された。ダウの報告では2007年に問題の製品が栽培された面積は53,000 エーカーで、2007年の全米トウモロコシ栽培面積は9300万エーカーである。


APHISのQ & A
http://www.aphis.usda.gov/publications/biotechnology/content/printable_version/faq_ge_corn_e32.pdf
Q. 政府はどのようにして市販のGEハイブリッドトウモロコシ種子系統に未登録GE PIPがあることがわかったのか?
A. ダウアグロサイエンス社からの通知。
Q. 未登録GE トウモロコシPIPに安全上の懸念はあるか?
A. 公衆衛生、食品や飼料の安全性、環境への懸念はない。
Q. PIPとは何か?
A. PIPは生きた植物が昆虫やウイルスや真菌などから守るために産生する殺虫作用のある物質である。PIPは天然にも存在するが通常の交配やバイオテクノロジーにより導入されることもある。
Q. イベント32同様のPIPをAPHISやEPAは認可しているか?
A. よく似たPIPを含むイベント22(DAS-59122-7)を先に承認している。イベント32の作り出す蛋白質はイベント22のものと同一である。
Q. イベント32とイベント22の違いは何か?
A.  イベント32とイベント22は「姉妹」系統である。違いはイベント32が規制対象であることである。ダウは現在イベント22の規制解除をイベント32に拡大する申請を行うかどうか検討中である。
Q. Herculexトウモロコシ種子製品とは何か?
A.  Herculex(登録商標)製品は除草剤グルホシネートと各種トウモロコシ根切り虫耐性を持つ一連の品種である。Herculex XTRAはさらにヨーロッパアワノメイガにも耐性がある。ダウはいくつかの栽培用Herculex 系統を持っているが、そのうち3系統でイベント32が検出された。
Q. どれだけのHerculex系統にイベント32混入があったのか?
A.  Herculex RW 及び Herculex XTRA Rootworm Protectionの名前で販売されていた3系統。
Q. 2008年はイベント32は植えられたか?
A. APHISは2008年用の問題の製品は全て回収されたことを確認している。 2008年産のトウモロコシに影響はない。
Q. イベント32を含む種子は前年までに販売されたのか?
A. 2006年と2007年に栽培された。
Q.  Herculex種子中にイベント32はどれだけ見つかったのか?
A. 問題の製品の1000種子中3個程度である。米国で2007年に栽培されたのは53000エーカーで総栽培面積は9300万エーカーである。種子中のイベント32の割合の低さと総栽培面積に占めるHerculexの割合から、イベント32が含まれる可能性があるのは2007年の米国産トウモロコシの0.0002パーセント以下である。
Q. 問題の系統が栽培された面積は?
A. 2006年は19000エーカー、2007年は53000エーカーである。
Q. イベント32についてAPHISとEPAは次にどうする?
A. APHIS、EPAFDAは公衆衛生や食品・飼料の安全性への懸念はないと結論した。APHISとEPAは環境上の懸念はないと結論した。APHISは問題の種子のリコールが完全に行われるための対応を行った。問題のGE系統は登録されていないため、APHISとEPAはこの件について協力して調査を行う。
Q. これは低レベル放出と考えられるか?
A. イエス。APHISが最近発表した規制対象GE製品の低レベル存在にかんするポリシーが適用される。
Q. 問題の種子は米国以外に販売されたか?
A. ダウによれば2007年7月時点でHerculex RW 及び Herculex XTRAは米国とカナダで栽培が認められているが、問題の種子は米国以外へは販売されていない。Herculex RWの輸入は日本・韓国・メキシコ・フィリピン・オーストラリア・ニュージーランド・台湾で認められている。Herculex XTRAの輸入は日本・オーストラリア・ニュージーランド・メキシコ・韓国で認められている。
Q. 米国の貿易相手国はトウモロコシの取引を中止するだろうか?
A. 我々は相手国に対して柔軟に適切な対応をお願いしている。我々の迅速な対応が相手国の懸念を緩和することを希望する。
Q. どの国が米国のトウモロコシを輸入しているか?
A.  2007年の米国のトウモロコシ総輸出額97.5億ドルで、相手国トップ5は以下のようである。
1.日本 26.1億ドル
2.メキシコ 14.9億ドル
3.韓国 8.24億ドル
4.台湾 7.53億ドル
5.エジプト 6.12億ドル
EUは27ヶ国で760万ドルである。
Q. USDAは市販品の検査を行うか?
A. USDAは安全上の懸念はないのでイベント32の検査は行わない。民間の試験機関が必要な検査を行うであろう。
Q. 何故APHISとEPAFDAがイベント32の調査に関与するのか?
A. 米国のバイオテクノロジー規制協調枠組みの下で責任を共有しているからである。
Q.  バイオテクノロジー規制協調枠組みとは何か
A.  政府による近代のバイオテクノロジーを利用した製品の評価システムである。
Q. APHISのバイオテクノロジー品質管理システムは、将来このような事故がおこるのを防げるか?
A. どのようなシステムも100%保証はできない。作物の微量の混入は通常の作物でもGE作物でも起こり得る。2007年にAPHISは、企業がGE生物の移動や野外試験の規制に従う法令遵守を確保するための新しいバイオテクノロジー品質管理システムの計画を発表した。この任意の計画の最初の履行はこの春に予定されている。