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食品中MSG

FSANZファクトシート
MSG in food
Last updated: 24 September 2008
http://www.foodstandards.gov.au/newsroom/factsheets/factsheets2008/msginfood.cfm
MSGとは何か?
MSGとはグルタミン酸ナトリウムのことでL-グルタミン酸と呼ばれるアミノ酸のナトリウム塩である。グルタミン酸は天然に最もよく見られるアミノ酸の一種で、遊離のグルタミン酸として及び蛋白質に中に他のアミノ酸と結合した形で存在する。グルタミン酸は胎内で合成されヒトの代謝に必須の役割を果たす。
MSGはサトウキビや砂糖大根の糖蜜、トウモロコシやタピオカなどのデンプン加水分解物などを用いて発酵により作られる。通常は結晶として製造される。

何故食品にMSGが加えられるのか?
1900年代初頭、遊離のグルタミン酸を食品に加えると風味増強作用があることが発見された。MSGはうまみ(umami)と呼ばれる独特の味覚を認識していたアジア文化では普通に使われる。おおざっぱに説明すると、うまみとは「美味しさ」(savoury deliciousness)のことである。風味増強物質とわかってから、西洋文化でも普通に使われるようになってきた。
MSGがどのようにして食品の風味を増強するのかは未だ完全にはわかっていない。多くの科学者はMSGが舌のグルタミン酸受容体を刺激して肉のような風味を増強すると考えている。

どの食品にMSGが含まれるのか?
グルタミン酸は肉や魚や家禽や母乳や野菜など、事実上全ての食品に天然に含まれる。一般的に母乳や肉などの蛋白質を多く含む食品には大量の結合型グルタミン酸が含まれ、一方野菜や果物(特に豆、トマト、ジャガイモ)、キノコや一部のチーズ(パルメザンなど)には遊離のグルタミン酸が多く含まれる傾向がある。トマトやチーズを料理に使うと美味しくなるのは、その食品に含まれる遊離のグルタミン酸のおかげである。
発酵食品や蛋白質加水分解物(例えば醤油やベジマイト)にも大量の遊離のグルタミン酸が含まれる。伝統的調味料やブイヨン、ソース、缶詰めスープなどの多様な加工及び調理済み食品には天然及び添加されたMSGの両方に由来する相当量の遊離のグルタミン酸が含まれる。
さらに一部のレストランや外食店では食品を調理するときにMSGを使っている。 添加されるMSGの量は多様であるが、調理の際に添加されるのみならずMSGはしばしば食べるときに料理の上にさらに加えられる。その結果一回の食事に相当量のMSGが存在することになる。

MSGは安全か?
大量の科学的研究の結果は圧倒的にMSGは通常各種食品から摂るレベルでは一般の人々には安全であることを示している。このことは多数の専門家委員会で確認されてきた。
僅かな人々で、一度にたくさんの量のMSGを食べると弱い過敏反応型の反応が出る可能性があるが、MSGがピーナッツアレルギーの人のピーナッツによる反応や喘息患者が亜硫酸塩に反応して経験する喘息発作のような重大な有害事象を誘発するという説得力のある科学的根拠はない。

MSGはどのように影響するのか?
ほとんどの人はMSGに反応しないが、ごく一部の人が一度にたくさんの量のMSGを食べると弱い過敏反応型の反応をすることがあることを示唆する根拠がある。
大量のMSGを食べたときの症状は人により異なるが、頭痛やしびれ/ちくちくする感じ、紅潮、筋肉の緊張、広汎性の脱力などがある。これらの反応は深いではあるが一時的なもので長く続く影響はなく、ピーナッツアレルギーなどのような重症のアレルギー反応とは明らかに違う。
どのくらいの人がMSGの影響を受けるのか?
上述の症状は食事をした後約1%の人に出るという推定がある。しかしながらほとんどの報告が逸話的なもので実際に食べたMSGの量とは関係がないことから、これらのうちどのくらいがMSGによるものなのかは明らかではない。従って実際に影響のある人は1%より少ないだろう。

食品MSGが含まれることはどうしたらわかるのか?
もしMSG(又は他のグルタミン酸塩)が風味増強剤として意図的に添加されたなら、食品の包装に表示されなければならない。製造業者はMSGをその名前で、又は食品添加物コード番号とともに風味増強剤として表示する。グルタミン酸塩は食品添加物コード番号621から625で、そのうちMSGが621である。
食品を美味しくするために加えられる多数の他の成分が相当量のMSGを含む可能性がある。「自己消化酵母」や「加水分解植物蛋白質(HVP)」「カゼインナトリウム」「天然風味料」などである。
レストランやその他の外食店で購入した食品にはMSGは特に表示されていないが、店員に尋ねることができる。一部の外食店では任意でメニューや看板にMSGが入っていないと表示している。

もし自分がMSG感受性が高いと思う場合にはどうすればよいか?
もし自分がMSGに対し反応していることが疑われる場合には、適切な診断を受けて確認すべきである。どのように診断するのか助言できる医師や資格のある栄養士などに助言を求めるべきである。ほとんどの州や地域及びニュージーランドの専門病院でそのような評価を行っている。
しかし、食品は複雑な成分の混合物であることを忘れてはいけない。あなたはMSGを疑っているかもしれないが、実際にはその問題を引き起こしているのは他の成分かもしれない。そのような場合あなたはMSGを含む食品を必要もないのに避けている可能性がある。どうなのかを確認するには適切な評価が必要である。
もしMSGの疑いが確認された場合は、次にやるべきことは食品中の全てのMSG源について知り、どれを避けるのが最良なのかについて適切な助言を受けることであろう。

FSANZのレストラン向け助言はどのようなものか?
MSGの有害影響を経験する可能性のある消費者が、店員の正確な助言に頼らなければならないレストランや外食を食べることを警戒するのは理解できる。もし不正確な助言が提供されれば、その結果は症状のある人にとっては極めて不快であろう。
食品販売業者はMSGに関する一般の懸念については知っておくべきである。顧客に対しては正確な情報を提供すべきである。MSGの使用法については評価して有害事象がおこる可能性を減らすべきである。
臨床研究によれば、感受性の高い人は1回の量が3g以上で反応する可能性がある。従ってこの種の反応を減らすためには添加されるMSGを減らすのも一つの方法である。
MSGが最も良く風味を増強するのは食品の重量に対して0.2-0.8%であり、食品の風味を損なわず添加する量を減らすことができるであろう。0.8%以上を使うと美味しさが減る傾向がある。人にとって最も美味しい最大量は約60 mg/kg体重で、70kgの人なら一回の食事で約4.2gである。
添加されたMSGの量を見直す場合には、添加したMSGの結晶の量のみならずブイヨンやソースやプレミックスなどの他のMSG源についても考慮することが重要である。これらは全てMSGの量に寄与する。
顧客に対してMSGの量について助言する際には、全てのMSG源について情報提供するよう気をつけなければならない。MSG感受性の高い消費者は、添加されたMSG結晶だけではなく使用されたMSG含有成分(ブイヨンやソース)についても知る必要がある。

レストランはMSGを含まないという表示をできるか?
MSGフリーという表示(ネガティブ表示としても知られる)は虚偽や誤解を与えたり人を欺くものではない場合には食品法により認められている。
MSGを含む食品を食べたくないという顧客にとってはそのような表示は、食べるときに店員に尋ねる必要がないので役に立つであろう。しかしながら状況によってはそのような表示は誤解をまねくものになるため、レストランや外食業者はそのような表示をする際には注意が必要である。
ネガティブ表示が虚偽や誤解を与えたり人を欺くものかどうかを判断する際には、その表示の技術的正確さだけではなくその表示の与える全体的印象についても考慮する。
業者はその表示が特定の食品の文脈でどのように解釈されるかを考慮しなければならない。例えば、もしスープに「MSG無添加」と表示されていたら、消費者はスープに直接であろうとスープの成分の一部(例えばブイヨン)であろうと添加されたMSGはないことを期待するであろう。そのような表示はさらにそのスープには例えば香料プレミックスのような、製造段階でMSGが添加された成分は全く含まないことを意味するであろう。
MSGは天然に食品に含まれるため、業者は消費者がその事実を承知していることを確認しなければならない。例えば、トマトベースの製品に「無MSG」と表示することは、トマトが天然にMSGを含むために嘘である。さらに同じ製品に「MSG無添加」と表示することは、技術的には正確であったとしても、多くの消費者が天然にトマトにMSGが含まれることを知らずに「無MSG」と同じ意味だと解釈する可能性があるため、誤解を与えたり人を欺くものになる可能性がある。


参考
今年はうまみ発見100周年だそうです
http://www.umamikyo.gr.jp/