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EFSAはアイルランド産豚肉のダイオキシンに関する欧州委員会からの緊急要請に回答

プレスリリース
EFSA responds to Commission’s urgent request on dioxins in Irish pork
10 December 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902210953.htm
EFSAは2008年12月8日に欧州委員会から受け取ったアイルランド産豚肉のダイオキシンに関する緊急助言要請に応える声明を発表した。欧州委員会は豚肉や豚肉を含む製品にダイオキシンが存在することによるヒト健康リスクについての科学的意見を求めた。
EFSAの結論のポイントは:
・ 最もありそうなシナリオとして、事件の間中(90日間)アイルランド産豚肉を平均的量毎日食べた場合、その10%が最も高濃度のダイオキシンに汚染されていたとして、体負荷は約10%増加することになる。EFSAはこの程度の増加は単一事象としては懸念はないと考える。
・ 極端な事例として、事件の間中(90日間)アイルランド産豚肉を大量に毎日食べて、その100%が最も高濃度のダイオキシンに汚染されているとすると耐容週間摂取量(TWI)に含まれる安全性マージンが相当損なわれるであろう。TWIには10倍の安全係数が含まれるため、このありそうにないシナリオでは保護レベルが減るものの必ずしも健康への悪影響にはつながらないであろう。
EFSAは汚染レベルについては欧州委員会から提供された限られたデータに基づいて、豚肉製品の脂肪含量やヨーロッパでの摂取量などを考慮して検討した。 汚染は2008年9月に始まり今は問題に対応されていると仮定した。
豚肉や豚肉製品のダイオキシン濃度は脂肪含量に依存する。暴露期間が長いほど、脂肪含量が多いほど、ダイオキシンは動物の体内に蓄積し残留する。ヒトでは暴露が終われば体負荷は減少し始める。

Statement of EFSA on the risks for public health due to the presence of dioxins in pork from Ireland
10 December 2008
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902210863.htm
アイルランド産豚肉のルーチン検査において高濃度のPCBが検出された。さらなる調査の結果ダイオキシン及びダイオキシン様PCBが最大200 pg WHO-TEQ/g脂肪検出された。
ダイオキシンの毒性には皮膚毒性、免疫毒性、発がん性、生殖発生毒性などがある。毒性は生涯の間に体内にどれだけ蓄積するか、いわゆる体負荷による。2001年にSCFがTWI 14 pg WHO-TEQ/g脂肪を設定している。
TWIでの体負荷は4000 pg/kg体重、汚染は9月から始まったこと、今は対策がとられているとみなしてこの声明を出した。
EFSAは平均的摂食者と大量摂食者について、ダイオキシン濃度としては50、100、200 pg WHO-TEQ/g脂肪の3種類、肉の汚染率は100、10、1%の3種類の暴露シナリオについて計算した。
100%が200 pg WHO-TEQ/g脂肪のダイオキシンに汚染されている肉を毎日(90日間)大量に食べたという極端なケースでは、TWIに含まれる安全性マージンが相当損なわれるであろう。TWIには10倍の安全係数が含まれるため、このありそうにないシナリオでは保護レベルが減るものの必ずしも健康への悪影響にはつながらないであろう。
10%が200 pg WHO-TEQ/g脂肪のダイオキシンに汚染されている肉を毎日(90日間)平均量食べたというもっとありそうなシナリオでは体負荷は約10%増加するが、EFSAはこの程度の増加は単一事象としては懸念はないと考える。