食品安全情報blog過去記事

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二枚貝軟体動物の親油性海洋性バイオトキシンの濃度に与える加工の影響

Influence of processing on the levels of lipophilic marine biotoxins in bivalve mollusks
31 March 2009
http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902424332.htm
EFSAは2007年11月にオカダ酸(OA)とその類似体について意見を発表した。欧州委員会はオカダ酸や関連毒素のような海洋性バイオトキシンの濃度が加工(調理・蒸す・加圧滅菌)によりどう影響されるかさらに詳しく検討するよう要請した。また親油性のバイオトキシンが加工により変わるかどうかについても評価を依頼された。
貝を蒸すと、身全体でのOAグループ毒素の濃度は30-70%増加する(kgあたりのOA相当量で表現した場合)。オートクレーブでは70-84%増加する。濃度増加の原因は水の消失である。さらに加工の際に消化腺から残りの組織へのOAの再分布がおこるという幾分かの根拠がある。このことは加工貝類を分析する場合には消化腺ではなく貝の身全体を分析した方が規制のためにはより適切であることを示す。
生のイガイを蒸すとアザスピロ酸類(AZAs)濃度は貝全体と消化腺の両方で2倍に増加する。この場合も水の消失が主な原因である。さらに加工によりカルボキシル化アザスピロ酸類似体(AZA17)がAZA3になりAZA3濃度が3倍になるという根拠がある。
エソトキシンやペクテノトキシンなどの他の脂溶性毒素については加工による影響についての情報がないが、OAやAZAとは異なると見なす理由はない。
貝類の脂溶性海洋性バイオトキシン濃度に与える加工の影響についての限られた情報から、CONTAMパネルは加工により約2倍の濃度増加になると結論した。
調理により濃度が増加することから、実際に分析を行う前に、サンプルの前処理のハーモナイゼーションが必要である。