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センターは治療用ハーブから方向転換

Natureニュース
Centre turns away from healing herbs
Published online 7 December 2009 | Nature | doi:10.1038/462711a
Meredith Wadman
http://www.nature.com/news/2009/091207/full/462711a.html
米国の補完代替医療研究の拠点は症状の管理にシフト
多くの批判を浴びながら、米国NIHの補完代替医療センター(NCCAM)は今週10周年を迎える。
これまでNCCAMの行ってきた臨床試験のほとんどは、代替療法が有効であることを証明する代わりに効果がないことを証明してきた。例えばエキナセアは最もよくある風邪の原因であるライノウイルス感染を予防もせず症状を改善することもないという研究は2005年7月に発表され、その後エキナセアの販売は大きく落ち込んだ。
2007年にアメリカ人の38%は過去12ヶ月以内に一度以上代替療法を使い、全部で339億ドルを費やしている。NCCAMの今年の代替療法研究費は1億2500万ドルで、NIHの代替医療に関する総研究費の1/3を占める。残りはNCIなどの他の研究機関が使っている。
NCCAMの目的は代替療法についてのしっかりした根拠を提供することである、たとえそれが治療効果がないことを示すことであっても。NCCAMの重要な役割の一つは、たくさんあるインチキを排除することである。
多くの米国の研究者はそのような研究は時間とお金の無駄であると言っている。科学的根拠のない治療をしている人たちが効果がないという科学的根拠を提供されたところでそのような治療をやめることはない。だから何の役に立つ?
NCCAMの研究目的は慢性疾患を治すという「楽観的」なものから痛みの管理のようなものにシフトしてきている。さらにエキナセアの研究と同時にセントジョーンズワートと、NCIによるビタミンEとセレンによる前立腺がん予防の臨床研究を行ったがいずれも結果は全くのネガティブであったことから、費用のかかる臨床研究をする前に基礎的メカニズムなどの研究が必要だと考えている。