食品安全情報blog過去記事

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EFSAは食品中の鉛の健康影響を評価

EFSA assesses health implications of lead in food
20 April 2010
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/contam100420.htm
EFSAのCONTAMパネルは食品中の鉛の健康リスクについての科学的意見を発表した。この意見では現行の暴露量での健康リスクはほとんどの成人にとっては低いか無視できる程度であるが、小さい子どもについては神経発達上の懸念がある可能性がある、と結論した。
鉛は天然にも探鉱などの人間活動由来でも存在する環境中の汚染物質で、ガソリンや塗料や食品缶や水道管などについてはヨーロッパでは1970年代から規制値が設定されていて暴露量は相当減少している。しかしながら鉛がフードチェーンに入る可能性があることから幾分かの懸念は残っている。
CONTAMパネルは多くのヨーロッパ人にとって鉛の主な暴露源は穀物や野菜や水道水であると考えた。子どもにとってはハウスダストや土壌も重要な暴露源であるが、成人にとっては食事以外の暴露源の重要性は低い。
評価の基本としたのは子どものIQ低下と成人の高血圧である。入手できるデータをレビューした結果PTWIは適切ではなく、新しいガイドラインレベルを設定できない。有害影響がないと確信できる明確な閾値がないからである。そこで現状の推定暴露量と有害影響が出る可能性のあるレベルを異なる集団で比較した。結果として胎児と乳幼児で神経発達上の影響がある懸念の可能性がある。

  • 食品中鉛についての科学的意見

Scientific Opinion on Lead in Food
20 April 2010
http://www.efsa.europa.eu/en/scdocs/scdoc/1570.htm
JECFAが設定しSCFが確認していたPTWI 25 μg/kg b.w.が適切ではなくなったと結論。
MOEアプローチを採用した。
成人の心血管系影響に関するBMDL01が1.50 µg/kg b.w. per day
腎臓への影響が0.63 µg/kg b.w. per day
子どもの知能への影響が0.50 µg/kg b.w. per dayとしている

関連

  • 子どもの環境鉛暴露のベンチマーク用量を得るための国際プール解析

An international pooled analysis for obtaining a benchmark dose for environmental lead exposure in children (Question No. EFSA Q 2010 01078)
20 April 2010
http://www.efsa.europa.eu/en/scdocs/scdoc/47e.htm
BMDL01は、フルIQ指数が1ポイント下がる鉛濃度の95%信頼下限